「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus

第315回

経営の主語を自社に戻す

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤伸夫

 



変化の激しい時代、誰が経営判断しているかが、これまで以上に重要になっています。今回は「経営内製化」でポイントとなる考え方について、検討します。



経営外製化が普通の時代があり、今でも残るDNA

「経営を他人任せにするなんて、信じられない」との声が聞こえてきそうですが、実は経営判断を他人任せにしても、あまり問題が生じなかった時代がありました。高度成長期です。経済全体が急速に成長したので奇をてらった経営をするより「周囲の上手くいっている企業」の真似をすれば、上手くいったのです。そのような会社との取引ができれば、ビジネスそのものもあまり工夫せずとも進展する場合もありました。

当時は特に問題視されませんでしたが、今改めて考えると「この時代に経営外製化のタネが播かれたな」と感じます。そのDNAが ままの姿で生き残る例は減りましたが、それでも今でも残っています。代表者が代替わりしても経営を他人任せにする体質が残ると感じる企業も、時折見かけます。


ではなぜ今、経営の外製が危険なのか?K字回復の時代だからです。コロナ禍による経済失速の後、回復期は一律に景気が改善するのではなく、上向きの企業と下向きの企業との乖離が鮮明になりました。

「デジタル・グローバル・高付加価値」テリトリーにある企業には強力な追い風が吹いていると言われていますが、それ例外の業種でも発展を遂げている企業があります。一方で、例え同じ業種の中にコロナ禍の不調から脱することができない、悪化している企業もあるのです。


このような状況下、何がポイントか?K字回復の上向きラインに乗るのか、下向きラインに乗るのかは、市場環境などによる部分もありますが、経営の「意思」によるところも大きいと感じます。構造不況業種でありながら上向きラインの経営者の話を聞くと、例外なく「我が社は上向きラインに乗る」と強い意思を抱いています。回復を遂げた企業の多くは「運命は自ら切り拓く」と考えていました。

「業界では、それが普通だから」、「競合他社もやっていないから」、「取引先が嫌がるかもしれないから」、「社員が納得しないと思うから」と判断を外製化しながら成長した企業は皆無だと感じています。「上向きラインに乗る」との強い意思が、経営内製化の出発点だといっても、過言ではないでしょう。



強い意思の第1歩は「主語を自社・私にすること」

「そう言っても、そんな強い意思を持つのは難しい。そもそも経営の内製化といっても、意味が分からない」先に挙げた企業も最初から強い意思を持っていたのではないようです。出発点は「自社・私を主語にした言葉」だったようです。経営の主語を自社に戻したのです。


経営の主語を自社に戻すとは、まず経営者自身が「私はどうしたいか」を考え、それを「私たち・我が社はどうするか」との意思に繋げることです。先ほど挙げた「我が社は上向きラインに乗るのだ」や「運命は自ら切り拓く」という言葉の主語は「我が社(私たち)」あるいは経営者としての「私」です。


すると次は「それを実現するためには何でもする」に繋がります。他人の意見を聞いて「それは良い」と思う策ではなく、「○○こそ我が社を上向きラインに乗せる策だ」と考えたものを選びます。すると実行にブレがなくなり、途中で気が抜けることもありません。

思った成果が出なくても「他社は上手くいっているのにおかしい!諦めるしかない」と結論付けるのではなく、「我が社で上手くいかないのはなぜだろう?調整が必要なのか、見直しが必要なのか」と探っていき、対応策を打ちます。時には抜本的に改めるのも厭いません。

この時、他人の意見を参考にすることは可能です。上向きラインに乗った企業の多くは交流会や勉強会などを利用して他人の話を聞いていました。上手くいっている経営者、顧客、取引先、社員、専門家等からです。彼らが聞く目的は「良さげな選択肢を探し、それを選ぶ」ではありません。「自社(私)に最善の選択肢を自ら作るための参考とする」ためです。参考になる話を聞くために「なんでもする」精神を発揮しています。


上向きラインに乗った会社・経営者は、選択肢を作ったら、選び実施することまで躊躇なく進んでいきます。上向きラインに乗れるのは、計画を作った結果ではなく実行した結果だと分かっているからです。

完全な計画を目指して時間をかけ過ぎるのは「休むに似たり」と理解し、行うべき行動が見えてきたら実行に移します。「実行して、結果を見て、また判断する」を実践しています。

「息の長い取り組みだな。伴走者がいるとありがたいのだが。」是非、顧問税理士等に相談してみてください。StrateCutionsでもご相談に応じています。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


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【筆者へのご相談等はこちらから】

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なお、冒頭の写真はChatGPTにより作成したものです。

 

プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)

中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA

日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。

平成27年に「事業性評価」が金融庁により提唱されて以来、企業にも「事業を評価してもらいたい。現在の状況のみならず将来の可能性も見越して支援してもらいたい」との意識を持ち、アピールしてもらいたいと考えて『「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?』コラムを連載(2017年1月スタート)。当初は読者として企業経営者・支援者を対象していたが、金融機関担当者にも中小企業の事業性評価を支援してもらいたいと考え、2024年1月からは『「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus』として連載を再スタートさせた。

現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。

【落藤伸夫 著書】

『日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル』

さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。

Webサイト:StrateCutions

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