第20回
「気負わない共創」きっかけをどう掴むか
StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ 落藤伸夫

順調な企業が飛躍を目指す場合でも、不調な企業が現状打破を目指す場合でも「共創」が切り札になる可能性があります。今まで進んできた道ではない道を選ぶことによって、今までとは違った結果を得られる可能性が生まれるからです。今回も、あまり気負わずに始められる共創について考えていきます。
コストのかからない共創を模索する
「共創」に、なかなか前向きになれない企業・経営者が少なくないと感じています。話を聞いてみると、上手くいかなかった場合のコストが莫大(費やした時間や労力を別に振り向けたら得られるメリットが得られない)なので消極的になってしまうとの理由が挙げられます。
共創には「はじめまして」からスタート、時間や労力をかけて関係性を構築した上でやっと軌道に乗る共創があるため、このような意識を持つのも理解できます。
とはいえ、現状を打破しようとする時、共創がとても良いきっかけになることは、前回にお伝えした通りです。潜在コストの可能性を軽減することでメンタルブロックを外せるなら、是非とも試みたいところです。どうすれば、発生し得るコストを軽減できるでしょうか?
第1は「共創できる関係性」を関係者が納得するまでの時間や労力が少ない関係性を模索することです。共創の形として異業種交流があり、参加したことがあります。たまたま同席したメンバーの中に「この企業・経営者なら共創できそうだ」と感じたら、関係を継続して共創に繋げていくよう促すイベントでした。
もともと共創に関心が高い人が集っているので「是非一緒に取り組みましょう」との合意は簡単に形成されますが、毎月の会合を一年続けても共創に繋がりそうな接点は見つかりませんでした。コストの高いアプローチと感じた次第です。
一方で「地元を活性化したい」等のテーマで集まり、そのために何をするのかのゴールが明確だと、共創に向けて具体的な動きに入っていける例が多いと感じます。
もちろん「イベントを催せばよい」などの安易なゴール設定は感心しませんが、ゴールと、そのために各人・各企業がどんな貢献をするかについてシンプルに答えが出やすい場合、共創が円滑にスタートできるようです。
求めるのではなく、持ち寄ること
第2は、相手に何かを求めるのではなく、自分たちにあるものを持ち寄って『共通の理想』を創造するよう目指すことです。
共創に積極的な企業・経営者には「自分は○○を成し遂げたい、完成させたい」との意識が強い人がいると感じています。目的実現に必要なピースを自分は持っていないので、持っている人・企業とのタイアップを目指すのです。
このような姿勢は「相手に求める」アプローチになりやすく、結局は空中分解することが多いと感じています。求められる方が感じ取ってしまう「負担感」が原因かも知れません。
こういうと「全メンバーの負担を均等にするのは不可能だ」との意見が聞こえそうです。その指摘は当たっているでしょう。メンバーが負担の平等・不平等を口に出すようになると、共創関係は難しくなると感じています。
そうではなく「共通の理想」を掲げ、その実現のため各メンバーが持つものを持ち寄るようになると、共創関係がスタートしやすいと感じています。
「自分の努力はとりもなおさず共通理想の実現のため、ひいては自分のため」と納得することで、力を尽くすことができるのです。
ポイントは共通理想と我が社理想の軸を合わせること
「とはいえ『共通理想』つまり『みんなのための理想』実現のため尽力することも難しいだろう。特に今、現状を打破したい苦境にある企業について考えている。このような企業は『みんなのため』ではなく『じぶんのため』に努力する必要がある。」仰る通りです。「みんな」が自分を含めない集団であれば、そのために努力するのは難しいでしょう。「みんな」の中に自分も含まれていたら、努力できるようになります。
これはつまり「共通理想」と「我が社理想」の軸を合わせることを意味しています。例えば地域の活性化と自社事業の活性化が同時に実現できるようにするのです。
「共創の取組みには多大な努力が必要だが、それが実を結べば地域が活性化するだろう。すると我が社の事業も上手くいくようになる」と考えられると、努力は単なる負担ではなく、取り組む価値のあるものになります。
共創を成功させられるか否かは「みんなと我が社の軸を合わせていくこと」、そのぶれをできるだけ減らすことが、前向きに共創に取り組めるポイントだと考えられます。
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なお、冒頭の写真はChatGPTにより作成したものです。
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プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)
中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA
日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。
現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。
新型コロナウイルス感染症が収束して社会的にも中小企業金融においても「平時」に戻ったとの声がある中、今後は「共創」を目指す企業が躍進していく時代になると確信、全ての中小企業がビジョンを描いて持続と発展を目指すよう提案することとして「共創型金融の時代!あなたはビジョンを描けますか?」コラムを2025年10月からスタートさせた。
【落藤伸夫 著書】

『日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル』
さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。
Webサイト:StrateCutions
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