共創型金融の時代!あなたはビジョンを描けますか?

第8回

金融機関と共創する出発点

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



先行き不透明な中で道を切り拓いていくため「共創」を目指そうというのが、本コラムのメインテーマです。地域や競合企業との共創可能性を検討した後、前回は金融機関との共創の重要性を考えました。今回は金融機関と共創する出発点について考えていきます。



「分かっているが、できない」

世の中には「分かっていても、できない」ことが沢山あり、その理由も様々です。「健康のためには毎日欠かさず運動すれば良い」と分かっていてもできないのは、時間を調整・捻出するのが難しいという理由、「社員とのコミュニケーションを密にするのが良い」と分かっていてもできないのは、「こうすればコミュニケーションできる」と考えていたことを実践しても上手くいかないことが多い、という理由からでしょう。


同様に「先行き不透明な事業環境下、中小企業は金融機関との共創がポイント」と理解できたとしても、その実践は難しいと思われます。具体的に何をすれば良いのかが分からないのです。

「今日こそ金融機関との共創をまとめたい」と思っても、企業が現況説明して金融機関がコメントする、最後は「難しい事業環境下ですが、頑張っていきましょう」と終わることが多いと思われます。


「そんなに難しいなら、金融機関から声掛けしてくれたら良いのに。」確かにそうです。が、たぶん金融機関も企業との共創について考えをまとめきれないでいると推察されます。

少なからぬ金融機関にとって中小企業との共創は、今後の地盤固めのために必須の取組みです。地域が活性化しなければ、その前段階として企業が元気にならなければ、金融機関としても存在意義を示せない、確固とした地盤を築けないからです。


必要性が分かっていても、個々のケースでどのような共創を描けばよいか具体的に掴むことが難しいのは、金融機関にとっても同じです。

各企業はユニークな存在で、例え業種・業態が似ていても事情は異なり、抱えている問題・課題も違い、強みなどをベースにした解決の方向性も異なっています。そこまで捉えて的確な提案を行うことは、金融機関には難しいのです。



小さなきっかけを掴む

もし金融機関が「主催する物産展に参加しないか」と声をかけてきたら、共創のきっかけとして是非とも掴みたいと思います。支店での交流会も同様に考えられます。

「そんなイベント、金融機関の単なる実績作りなのでは?」このような考えは、とても勿体ないと思います。金融機関としては企業や地域の活性化に貢献したいと考えて、これらのイベントを企画しています。「お付き合いだから形だけ参加しておこう」という姿勢だと、共創に向けてのチャンスを十分に生かすことは難しいでしょう。


「イベントに参加するとなれば、自社〇〇という特徴をしっかり伝えたい」あるいは「◇◇な企業と繋がりたい」と明確な目標を持つことが共創に繋がります。

このような意識を持つことができると、金融機関への期待が変わってくると思われます。今までは「資金調達したい。リスクを取って融資して欲しい」と願う相手だったと思われますが、自社の活性化を目指した共創を模索する相手になると、別の情報が欲しくなるのです。


「当社もイベントに参加させてもらおうと思うが、どうやったら成果に繋がるのだろうか?これまでの出展社で、成果があった企業を知っているか?その企業は、どんな工夫をしていたか?」と聞きたくなるかもしれません。

あるいは例えば「我が社は◇◇な企業と繋がりたいと考えている。そのような会社がいたら、我が社のブースを訪れるよう、手配してくれることは可能だろうか?」と申し入れられるかもしれません。


これらの要望に金融機関が即、満足できる形で対応してくれるとは限りません。但しこのように考えて申し出ることで、自社には「自社なりの共創を考えるよう促される」、金融機関には「あの会社には△△すると共創ができそうだとの方向性が見えてくる」という2つのメリットが生じます。このような積み重ねで共創が可能になっていく、そして成果に繋がっていくと考えられます。


金融機関は地域の多くの企業を深く知り、関係を築いている、他にない関係性を持っている存在です。そのような金融機関と共創を模索することで、今までなかった道が拓けるかもしれません。トライする価値があります。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


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なお、冒頭の写真はChatGPTにより作成したものです。

 

プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)

中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA

日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。

現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。

新型コロナウイルス感染症が収束して社会的にも中小企業金融においても「平時」に戻ったとの声がある中、今後は「共創」を目指す企業が躍進していく時代になると確信、全ての中小企業がビジョンを描いて持続と発展を目指すよう提案することとして「共創型金融の時代!あなたはビジョンを描けますか?」コラムを2025年10月からスタートさせた。

【落藤伸夫 著書】

日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル

さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。

Webサイト:StrateCutions

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