多言語化を制するものがグローバル化を制する

第87回

世界の商談ミーティング: フィリピン編 (独断と偏見シリーズ)

WIPジャパン株式会社  上田 輝彦

 

世界の商談ミーティング: フィリピン編 (独断と偏見シリーズ)

もしあなたがマニラのオフィスビルに足を踏み入れたら、その流暢で美しい英語に驚くかもしれません。

フィリピンは世界最大の「BPO(コールセンター等の業務委託)」大国であり、欧米企業の最前線基地です。しかし、アメリカ人のように「Hi, John!」とファーストネームで呼び捨てにするのは少し待ってください。

彼らはアジア特有の強い「長幼の序」と「権威への敬意」を持っています。相手が年下であっても、ビジネスの場では必ず「Sir(サー)」「Ma'am(マム)」をつけるのが鉄則。この丁寧さと、底抜けに明るいホスピタリティが、彼らの最強の武器なのです。

彼らのビジネスの根底に流れるOS、それは「パキキサマ(Pakikisama=調和・協調性)」です。

日本の「空気を読む」文化に非常に近く、対立や面子を潰すことを極端に嫌います。そのため、商談で彼らが「Yes」と言っても、それは「(あなたの言うことは理解したけれど、できるかどうかは別の話としての)Yes」である確率が高いです。

「Maybe」や「I'll try」は、実質的な「No」のサイン。ここでドイツ人のように「イエスかノーかハッキリしろ!」と机を叩けば、彼らは笑顔のまま、二度と連絡をくれなくなるでしょう。

そして、この国を語る上で欠かせないのが「フィリピノ・タイム」と「バハラ・ナ(Bahala na)」の精神です。

渋滞の名所であるマニラでは、10時の会議に10時半に人が集まるのは「定刻」です。さらに、トラブルが起きて納期が絶望的になった時、日本人が胃を痛めて青ざめる横で、彼らは「バハラ・ナ(神の御心のままに=なるようになるさ)」と笑ってバンドゥリアやギターを弾き始めたりします。

一見無責任に見えますが、これは度重なる自然災害や困難を乗り越えてきた彼らなりの「究極のポジティブ思考(レジリエンス)」。パニックにならず、今ある状況で最善を尽くし、最後は笑ってなんとかしてしまう不思議な底力があるのです。

商談の合間には「メリエンダ」と呼ばれるおやつタイムが頻繁に挟まれ、ビジネスの話よりも「家族」の話が重視されます。彼らの人生の優先順位のトップは圧倒的に「家族」だからです。

ドライな契約社会ではなく、一緒に甘いお菓子を食べ、カラオケでマイクを握り、家族の健康を祈り合えるか。この「ウェットで温かい絆」を結べた時、彼らはどんなピンチでも笑顔で助けてくれる、最高のチームメイトになります。


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WIPジャパン株式会社
代表取締役社長 上田輝彦(うえだ てるひこ)

福井・兼業農家出身。中・高では卓球選手。数学・世界史・世界地理を愛好。上智大学(法学部)在学中、欧州各国や中国等を跋渉、その後、住友銀行(大阪)、英国ケンブリッジ大学大学院留学(歴史学部)を経てWIP創業。オリンピック関連調査を端緒として、多言語および海外市場を対象にした事業のみに特化し現在に至る。「グローバルビジネスほど面白いものはない」が信条。

一般社団法人クールジャパン協議会 代表理事


Webサイト:WIPジャパン株式会社

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