第2回
「相続の話ができない」その理由に向き合う
株式会社 繋ぐコンサルタントオフィス 松本 恵
「相続の話ができない」その理由に向き合う
相続の相談を受けていると、
多くの方がこうおっしゃいます。
「本当は、ちゃんと話しておかないといけないと思っているんです」
ですが、その一方で――
「でも、なかなか切り出せなくて…」
この言葉を、私は何度も聞いてきました。
なぜ、人は相続の話を避けてしまうのか
相続の話が進まない理由は、
決して知識がないからではありません。
本当の理由は、もっとシンプルです。
それは――
“感情に触れるから”です。
・親に「その話はまだ早い」と言われそう
・兄弟との関係がぎくしゃくしそう
・お金の話をすることへの抵抗感
・「死」を連想してしまうことへの避けたい気持ち
こうした感情がある限り、
どれだけ正しい知識があっても、行動にはつながりません。
現場で実際に起きていること
あるご家族のケースです。
70代のご両親と、2人のご兄弟。
ご両親は、
「うちは仲がいいから大丈夫」とおっしゃっていました。
そして、相続の話は一切していませんでした。
しかし、いざ相続が発生すると――
「こんなはずではなかった」
その言葉とともに、
兄弟の関係は大きく崩れてしまいました。
このケースに限らず、
・話していなかったこと
・確認していなかったこと
・なんとなく避けてきたこと
それらが一気に表面化するのが、相続です。
問題は「相続」ではなく「準備不足」
私は、相続の現場に立つ中で、
はっきりと感じていることがあります。
それは――
問題は相続ではなく、“準備不足”にあるということです。
相続そのものは、
誰にでも必ず訪れる出来事です。
しかし、その前に
・家族でどこまで話せているか
・どんな想いを共有できているか
・未来の方向性が見えているか
この差が、その後の人生を大きく左右します。
「話すこと」からすべてが始まる
では、何から始めればいいのか。
答えは、とてもシンプルです。
「話すこと」です。
ただし、ここで大切なのは、
いきなり財産の話をすることではありません。
・これからどんな人生を送りたいか
・どんな老後を望んでいるのか
・家族にどんな想いを持っているのか
こうした話から始めることが、
結果として、相続の準備につながっていきます。
相続は「人生の会話」である
私は、相続を
「財産の分配」ではなく、
「人生の会話」だと考えています。
この会話ができている家族は、
たとえ課題があったとしても、乗り越えていけます。
一方で、この会話ができていない場合、
どれだけ財産が整っていても、問題が起きてしまうことがあります。
次回予告
では実際に、
「どのように話せばいいのか」
「どんな順番で進めればいいのか」
ここは、多くの方がつまずくポイントです。
次回は、
“相続の話を自然に始めるための具体的なステップ”
について、現場の視点からお伝えしていきます。
プロフィール

松本 恵(まつもと めぐみ)
相続コンサルタント
株式会社繋ぐコンサルタントオフィス 代表
一般社団法人繋ぐライクファミリーサポート 代表理事
メガバンク、信託銀行、証券会社、外資系保険会社での金融業界経験を経て独立。
現在は全国50事業所のネットワークを持つ「繋ぐ相続サロン®」を主宰し、相続コンサルティングの第一線で活動している。
財産対策だけでなく「心置きなく生ききる人生」をテーマに、相続・終活・家族支援を統合した独自のコンサルティングを提供している。
Webサイト:株式会社繋ぐコンサルタントオフィス
- 第2回 「相続の話ができない」その理由に向き合う
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