第1回
なぜ今、相続コンサルタントという仕事が必要なのか
株式会社 繋ぐコンサルタントオフィス 松本 恵

相続の問題は「お金」だけではない
相続という言葉を聞くと、多くの方は「財産」や「税金」の問題を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、私がこれまで現場で見てきた相続は、決してそれだけの問題ではありません。
むしろ、本当の問題は「家族」にあります。 兄弟の関係、親子の距離、長年積み重なった家族の歴史。
相続の現場では、それまで表に出てこなかった感情が一気に噴き出す瞬間があります。
「こんなはずではなかった」
「兄弟で争うなんて思ってもいなかった」
そうした言葉を、私は何度も聞いてきました。
金融業界で感じた違和感
私は現在、相続コンサルタントとして活動しています。
全国の専門家とネットワークを築きながら、相続に関する相談を受け、家族の未来を整えるサポートをしています。
しかし、最初からこの仕事をしていたわけではありません。
私はこれまで、メガバンク、信託銀行、証券会社、外資系保険会社と、金融業界でキャリアを積んできました。
金融業界では、常に「商品」が存在します。
預金、投資信託、保険、信託商品。
それぞれの分野で、お客様の資産を守り、増やすための提案を行ってきました。
もちろん、それらは大切な仕事です。
ですが、あるときから私は違和感を抱くようになりました。
それは、相続の相談に関わるようになったときでした。
相続の問題は、金融商品だけでは解決できないことが多いのです。
相続の現場で起きている現実
たとえば、あるご家族の相談では、財産の分け方を巡って兄弟の関係が崩れてしまいました。
また別のケースでは、親が認知症になり、財産の管理ができなくなったことで、家族が大きな混乱に陥りました。
そこには税金の問題もあります。
法律の問題もあります。
そして何より、家族の感情の問題があります。
金融機関、税理士、司法書士、弁護士。
それぞれの専門家は、非常に重要な役割を担っています。
しかし、その専門分野の枠を超えて、家族全体の問題を俯瞰して見る人は意外と少ないのです。
誰がこの家族の未来を考えるのか。
誰が全体を見て舵を取るのか。
その必要性を強く感じたことが、私が相続コンサルタントという仕事を志すきっかけになりました。
相続は「財産」ではなく「人生」の問題
相続は「財産をどう分けるか」という問題ではありません。
本来は
「家族がどう生きていくのか」
「人生の終盤をどう整えるのか」
という、とても大きなテーマなのです。
だからこそ私は、相続の相談を受けるとき、必ず次のことを考えます。
この家族は、これからどう生きていくのか。
この財産は、どのように未来へつながっていくのか。
そして、家族が心置きなく人生を生ききるために、今何を整えるべきなのか。
この連載で伝えたいこと
相続という出来事は、多くの家庭にとって一生に何度も経験するものではありません。
だからこそ、準備ができていないまま、その時を迎えてしまうケースが非常に多いのです。
相続の現場で起きていることを知ると、
「もっと早く話し合っておけばよかった」
という言葉を、本当によく耳にします。
この連載では、実際の相談現場で起きている出来事や、そこから見えてくる家族とお金のリアルをお伝えしていきたいと思います。
相続を「争族」にしないために。
そして、人生の終盤を安心して迎えるために。
そのヒントを、現場の視点からお届けできればと思います。
プロフィール

松本 恵(まつもと めぐみ)
相続コンサルタント
株式会社繋ぐコンサルタントオフィス 代表
一般社団法人繋ぐライクファミリーサポート 代表理事
メガバンク、信託銀行、証券会社、外資系保険会社での金融業界経験を経て独立。
現在は全国50事業所のネットワークを持つ「繋ぐ相続サロン®」を主宰し、相続コンサルティングの第一線で活動している。
財産対策だけでなく「心置きなく生ききる人生」をテーマに、相続・終活・家族支援を統合した独自のコンサルティングを提供している。
Webサイト:株式会社繋ぐコンサルタントオフィス
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