第9回
共創の環に地域金融機関を加えてみる
StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ 落藤 伸夫

中小企業が更なる飛躍を考える上で、あるいは長年にわたって抜け出せない隘路からの出口を模索する上で是非とも選択肢の一つに入れて欲しいのが「共創」です。今回は、考えついた共創を実現に向けて推し進めるため金融機関に相談してみるメリットについて考えます。
会社が変化を遂げる決定打となる「共創」
どんな企業にとっても「現状から抜け出る」ことは簡単ではありません。最近の物価・人件費の高騰や人手不足、コロナ禍あるいは失われた10年・20年・30年などから影響を受け続けている企業がその状況から脱することはもちろん、現在は順調なところ更に飛躍を遂げたいという場合であっても、「今とは違った、より良い状況」に到達するには困難が伴います。
誰でも「より良い状況」を望ましく感じるでしょう。一方で「そのためには慣れない取組みを行わなければならない」あるいは「取り組んでも失敗する可能性がある」と考えると、敢えて取組みを行うより現状維持を望んでしまうのです。
変化が困難なのは企業だけでなく、人の場合でも同様です。但し人の場合には「決め手」があるとも言われています。「時間配分を変える、住む場所を変える、付き合う人を変える」ことで意識と行動が変わり、変化を遂げることができると言われています。
では同様の決め手が企業にもあるのでしょうか?その一つに「共創」があると考えられます。
社内を観察・分析して冗費があれば削って利益を確保する、利用できる資源を見つけ出せたら活性化への土台として活用する、これらのアプローチで力を尽くし「できることは全て行った、もう他にできることはない」と感じたならば、会社の外に目を向けて共創のチャンスを探すのです。
共創を模索する相手は、実は沢山あります。本シリーズではこれまで地域、社員、競合そして金融機関との共創について考えてきました。それ以外に顧客や取引先も共創のパートナーになり得るのは言わずもがなでしょう。地域の自治体や国の行政も共創パートナーになり得ます。
自社だけでは行うことも成果を出すことも難しかった取組みが、これらと共創することで可能になるのです。
地域金融機関に共創を相談する
「様々な相手が共創のパートナーになり得ること、理解した。以前に地域商店街イベントを企画したが、それには競合も含めた共創の意味合いがあったのだな、コミュニケーションができて有意義だった。しかしイベントは参加メンバーだけでは集客できる自信がなく実現に至らなかった。共創相手を幅広に考えたら活路が拓けるという簡単な構図ではない。」その通りだと思います。
地域商店街イベントの成功に関連するのは企画だけではありません。集客が必要で、宣伝や声掛けなどが必要になりますが、十分に行える人手も資金もままなりません。
当事者だけでは成功が危うい場合、関わる者を増やすというアプローチがあります。「とはいえ、共創に誰を誘うかも、簡単な話ではない。我が商店街イベントに参加する各社だけでは足りないからと、他商店街の店舗を迎えると話がややこしくなる。それこそ企画がとん挫しかねない。」その危惧も、理解できます。
この点で取引のある地域金融機関が、相談相手になってくれるかもしれません。
地域金融機関は、営業テリトリーの企業をきめ細かく知っており、イベントの趣旨を損ねることなく協力できる、相乗効果を期待する企業を紹介してくれる可能性があります。地域行政(市町村)や商工団体などともコミュニケーションをとっており、それらと連携できるよう模索してくれるかもしれません。あるいは共創をサポートしてくれる国の関連団体などを知っており、紹介してくれるかもしれません。
あるいは地域金融機関として、地域での共創の取組みに協力してくれる可能性もあります。
ある地域では地域金融機関がイベントのために駐車場を開放、企画商品を販売するその日限りの共同店設置をサポートしました。広告チラシを店舗内に貼り出したり顧客への訪問時に手渡すなどのサポートを行っている例もあります。
金融機関を「お金を預ける、借りる、送金するところ」とだけ認識するのは、今やもったいない話だと感じています。地域金融機関は地域の活性化を目指しており、それに貢献する意欲がある場合があるのです。
共創の環に誘うと、力強い味方になってくれるかもしれません。
本コラムの印刷版を用意しています
本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。
<印刷版のダウンロードはこちらから>
https://www.innovations-i.com/shien/id/panf_id/?id=828
【筆者へのご相談等はこちらから】
https://stratecutions.jp/index.php/contacts/
<日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル>
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DYDL46H6/
なお、冒頭の写真はChatGPTにより作成したものです。
プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)
中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA
日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。
現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。
新型コロナウイルス感染症が収束して社会的にも中小企業金融においても「平時」に戻ったとの声がある中、今後は「共創」を目指す企業が躍進していく時代になると確信、全ての中小企業がビジョンを描いて持続と発展を目指すよう提案することとして「共創型金融の時代!あなたはビジョンを描けますか?」コラムを2025年10月からスタートさせた。
【落藤伸夫 著書】

『日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル』
さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。
Webサイト:StrateCutions