第12回
社員を実行者から共創パートナーに変える
StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ 落藤 伸夫

アメリカ&イスラエルとイランが戦争状態に突入して原油が高騰、日本にも大きな経済ショックが襲う可能性が高まってきました。
拙速な対応は勧められませんが「副作用の少ない、幅広いメリットが期待できる策」は積極的に取り組みたいところです。
その一つに社員との共創があり、今回はそのメリット等について考えます。
閉塞感に繋がる「経営者=考える人、社員=実行する人」
困難な状況において中小企業が持ち堪えるにはどうすれば良いか?
経営者が明確なビジョンと戦略を打ち出し、それを受けた社員が一致団結して迅速に実行に移す、という姿を思い描くことが多いと思います。
「経営者は決める人、社員は動く人」という構図、長らく組織運営の王道でした。日本の、というか世界の企業が成長・発展した基盤常識とも言えます。
この中で経営者は「最終的な責任を負い、答えを出す役割」を担ってきたのです。
しかし、現代のように変化が激しく、明日の予測さえ困難な時代においては、この「経営者がすべての正解を持ち、社員はその実行を担う」という役割分担でもって全ての事象に対応できるとは考えられません。
一昔前は経済・国際情勢や先進的技術などに関する情報へのアプローチは一部の特権階級(企業なら経営者)に限られていましたが、今では情報がふんだんにあり、特にIT・AIでは立場や長幼の別よりも「関心を持って取り組む」ことの方がポイントになっています。
経営者よりも社員の方が知識面でも実行面でも長けている分野があったとしても不思議ではありません。
この状況下で経営者だけ悩み、答えを出し続けなければならないとするなら、それは経営者自身の疲弊を招くだけでなく、組織としての柔軟性や創造性を抑制する可能性があります。
問いに対する答えがいつも同じような内容になってしまい「新しい施策」と銘打たれても実は過去の延長線上にある、時には「以前は理想に燃えていたが、今は失敗体験をもとに妥協劣化版になってしまっている」状況すらあり得ます。
あるいは現場に実行を求めても理解や共感が得られない、このため実行への熱量が生まれないなどの閉塞感が漂ってしまうのです。
最も身近で強力な社員という共創パートナー
「共創」と聞くと他社や外部専門家等との連携を思い浮かべることが多いと思われますが、最も身近にあり、かつ最も大きな可能性を秘めているのは、毎日顔を合わせている社員です。
彼らは、現場最前線に立って商品・サービスの使い勝手や不具合あるいは現場での不適切な対応などに係る顧客の声を聞いています。
社員自身が自社商品のユーザーで、普通なら口に出されることもない「小さな違和感」に気付いているかもしれません。
社員は「他が真似できない鋭敏なセンサー」であり「常に自社にあって自社を想うコンサルタント」そして「部外者と関係者の2つの心を持つ知恵者」です。それゆえ彼らの知恵を引き出し、経営の意思決定に組み込む「共創」の姿勢が、停滞を打ち破る鍵となり得るのです。
センサーでありコンサルタントそして知恵者である社員を共創パートナーとすることで得られるメリットは、現場の生きた知恵が経営に活かされるだけではありません。
施策の実行力が飛躍的に高まることが挙げられます。
トップから一方的に降りてきた指示とは違い、自分たちも議論に関与し、自分たちの意見が反映された取り組みであれば、社員はそれを「自分たちの仕事」として捉えるようになります。
この主体的・能動的な姿勢こそが、実行のスピードと質を決定づけます。
こうして組織に強い一体感が生まれます。
社員が「自分は単なる歯車ではなく、会社を良くする一翼を担っている」と実感できると「やらされ感」がなくなり、エンゲージメントを高め、離職の防止にも大きく寄与します。
また変化に対する適応力が高まります。
指示を待つ組織は、状況が変わった時に動きが止まってしまいますが、共創の文化がある組織では、現場発の柔軟な対応が日常的に行われます。
トップダウンとボトムアップが有機的に融合して変化に強い組織体質へと変わっていくのです。
加えて共創のプロセスが優れた人材育成の場となります。
自ら問いを立て解決策を考える経験を積むことで、社員の視座は高まり、次世代を担うリーダー候補が育っていくのです。
ある意味、会社が持続可能性を高める最も確実な方法と言えるでしょう。
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なお、冒頭の写真はChatGPTにより作成したものです。
プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)
中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA
日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。
現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。
新型コロナウイルス感染症が収束して社会的にも中小企業金融においても「平時」に戻ったとの声がある中、今後は「共創」を目指す企業が躍進していく時代になると確信、全ての中小企業がビジョンを描いて持続と発展を目指すよう提案することとして「共創型金融の時代!あなたはビジョンを描けますか?」コラムを2025年10月からスタートさせた。
【落藤伸夫 著書】

『日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル』
さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。
Webサイト:StrateCutions