第7回
金融機関との共創を考える
StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ 落藤 伸夫

昨年から引き続いて新年も株価が上昇、景気の良いニュースが流れていますが、中小企業の周囲では「恩恵に与れていない」との声を耳にします。ではどうすれば良いか?本コラムは「共創」をキーワードに据えて考えています。地域や競合企業とも共創できることを考えた後、今回は金融機関との共創を考えていきます。
金融機関との共創を考えにくい理由と考えられる可能性
中小企業が共創を考える場合、そのパートナーとして金融機関も検討に含めるメリットは何か?それは金融機関、特に地方銀行や信用金庫、信用組合などの地域金融機関は「地域の活性化」に重きを置いているからです。「地域」には中小企業も含まれており、その中に個々の企業もあります。
一方の中小企業はまず、自社の活性化を一番に考えるでしょう。それは大切なことです。ではどうやって活性化するか?「できることは全部やった、でも活性化は難しかった。どうすれば良いだろう?」と考える企業・社長に、そのソリューションとして地域活性があると勧めるのが本コラムの目的です。この構図をベースに考えると、中小企業と金融機関の共創は自然に導き出されると理解できるでしょう。
とは言え「金融機関との共創?考えたこともない」と感じる企業も多いと考えられます。それはなぜか?「金融機関はお金を借りる相手」と考えているからでしょう。それに付随して「自社を審査し、厳しい条件を提示する者」そして「一番困っている時に断る存在」との記憶もある(あるかもしれない)ので、どうしても必要な時にだけ相談する、しかし距離があり、本音を語りにくい、理解しにくい相手と考えてしまうのです。このような感情を抱いている社長は、決して珍しくありません。
本コラムでは、企業・経営者には金融機関に対して「相談できる、理解し合える相手」との気持ちを抱いてもらいたいと考えています。難しそうな話ではありますが、両者の利害が一致している場面では、もしかしたら理解し合えるかもしれません。それが地域活性の場面、地域のために共創を考える場面です。
方向性をずらし、金融機関との共創構図を描く
金融機関との共創は、資金調達から入らない方が良いでしょう。事業環境が大きく変化し経営の難易度が高まる今、資金だけで会社は良くなるのか?売上が足りないなら、収益性が低いなら、会社にお金がキープできないなら、資金調達の効果は一時的でしょう。ほどなくして流出してしまいます。原因に対処する必要があります。
「しかし金融機関は個々企業の経営には踏み込んで来ないだろう。こちらもあまり歓迎しない」との意見もあると思います。確かに資金繰りが厳しくなったら金融機関に相談する、業績が良い時は特段の説明は不要だが、不調だと前期決算内容や業況・会社の状況を説明する、条件を示される満たすのは難しい、その結果として「この状況では追加融資はできません。逆に返済を進めて欲しいと考えます」との会話になるのなら、金融機関との会話を遠慮したくなる気持ち、理解できます。
とはいえ環境変化が激しくなり、資金需要は今まで以上に高まっています。金融機関との良好な関係性が重要な中、過去と同じ問いを立て、同じ答えを繰り返していては、状況は好転しません。
必要なのは問いをずらし、新たな発想で関係性を捉え直すことです。例えば「どうしたら地域を活性化できると共に、何より自社が元気になれるか?そんな取組みはないか」と考えるのです。
実は、地域を活性化する方向性は、政府から力強く提案されています。「物価高に上回る所得増へ」の取組みで、中小企業の「稼ぐ力」を高めて賃上げを後押しするため「中小企業省力化投資補助金」などが準備されています。
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/chinage/index.html
金融機関との共創は、資金調達の手段ではありません。これまで自社を元気にする方法を真剣に継続的に検討して取り組んでいたが今一つ成果が出なかった企業でも、目を外に向けて地域や従業員との共創を目指したところ、例えば積極投資という方向が見付かった、それを実現するために金融機関との共創ができなかと相談するという構図です。
自社の活性化は、ひいては地域活性化にも繋がると金融機関も理解しています。その順序を踏まえて相談することで、共創の実現性が高まると考えられます。
本コラムの印刷版を用意しています
本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。
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なお、冒頭の写真はChatGPTにより作成したものです。
プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)
中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA
日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。
現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。
新型コロナウイルス感染症が収束して社会的にも中小企業金融においても「平時」に戻ったとの声がある中、今後は「共創」を目指す企業が躍進していく時代になると確信、全ての中小企業がビジョンを描いて持続と発展を目指すよう提案することとして「共創型金融の時代!あなたはビジョンを描けますか?」コラムを2025年10月からスタートさせた。
【落藤伸夫 著書】

『日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル』
さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。
Webサイト:StrateCutions