中小企業の「シン人材確保戦略」を考える

第116回

【経営者必読】2026年4月「130万円の壁」新ルール:パート社員の労働条件通知書、今すぐ見直すべき理由

一般社団法人パーソナル雇用普及協会  萩原 京二

 

はじめに:あなたの会社、準備できていますか?


「繁忙期に残業をお願いしたいのに、『130万円を超えたら困る』と断られてしまった」 「人手不足なのに、扶養の壁があって思うように働いてもらえない」

こんな悩み、経営者の皆さんなら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

2026年4月から、この問題を解決する新しいルールがスタートします。「130万円の壁」の判定方法が大きく変わり、パート社員が安心して働ける環境が整うはずです。

しかし、多くの経営者が知らない「重大な落とし穴」があります。それは、現在使っている労働条件通知書のままでは、新ルールに対応できないという事実です。

このコラムでは、2026年4月からの新ルールの概要、実務対応の課題、そして今すぐできる具体的な対策について、中小企業経営者の視点から分かりやすく解説します。正式な書式が公表されていない現時点でも、すぐに取り組むべき実務対応をご提案します。



1.何が変わる?「130万円の壁」新ルールの基本


<これまでの問題点>

社会保険の扶養に入るためには、年収が130万円未満である必要があります。しかし、これまでの判定方法には大きな問題がありました。

従来は、過去の収入実績や現時点の収入から「今後1年間の収入見込み」を総合的に判断していました。残業代の見込みも含めて計算されるため、繁忙期にたくさん働いた月があると「このペースだと年収130万円を超える」と判断され、扶養を外れてしまうケースがあったのです。

このため、「本当はもっと働けるけど、扶養を外れるのが怖いから時間を抑えている」「繁忙期に協力したいけど、残業すると扶養から外れるかもしれない」という不安から、パート社員が就業調整をする事態が多発していました。経営者側から見れば、人手不足で困っているのに、せっかく戦力になるパート社員に働いてもらえないという、非常にもどかしい状況でした。


<新ルールの3つのポイント>

2026年4月から適用される新ルールでは、以下の3点が大きく変わります。それぞれ詳しく見ていきましょう。


ポイント1:判定基準が「労働契約ベース」に変更

これまでの「実際に働いてみないと分からない」方式から、「労働契約の段階で判定できる」方式に変わります。具体的には、労働条件通知書に記載された時給、労働時間、日数などから年間収入を計算し、それが130万円未満であれば扶養に入れる、という判定になります。

つまり、「働く前に扶養に入れるかどうかが分かる」ようになり、予見可能性が大幅に向上するのです。これは、パート社員にとっても経営者にとっても、大きな安心材料となります。


ポイント2:残業代は契約に明記がなければ年収計算に含まれない

最も重要な変更点がこれです。労働契約に明確な規定がなく、契約段階で見込み難い時間外労働に対する賃金(残業代等)は、年間収入の見込みに含まないことになります。

分かりやすく言えば、契約書に「月平均80時間」と書いてあれば、実際に繁忙期に残業して月100時間働いたとしても、その超過分の残業代は扶養認定の判定には影響しないということです。これにより、繁忙期の人手確保が格段にしやすくなります。


ポイント3:一時的な収入増なら扶養から外れない

認定後、翌年度以降の確認において、一時的な残業や予期せぬ手当により結果的に年収が130万円を超えた場合でも、その超過が「社会通念上妥当な範囲」であれば、扶養認定を取り消す必要はありません。

ただし注意が必要なのは、労働契約内容を不当に低く記載していた場合や、実際の年収が契約内容と大きく乖離している場合は、扶養認定が取り消されるリスクがあるという点です。つまり、最初の契約書をしっかり作ることが、何より重要になります。


<経営者にとってのメリット>

この新ルールは、パート社員だけでなく、経営者にとっても大きなメリットがあります。具体的に見ていきましょう。

まず第一に、パート社員が安心して働けるようになります。扶養に入れるかどうかが契約段階で分かるため、パート社員は安心して応募・採用を受けることができます。「働いてみたら扶養から外れてしまった」というトラブルが減り、採用活動もスムーズになるでしょう。

第二に、繁忙期に残業を頼みやすくなります。契約に残業代の見込みが書かれていなければ、実際の残業は年収計算に含まれません。つまり、繁忙期に「扶養が心配だから残業できません」と断られることが大幅に減ります。これは、季節変動の大きい小売業や飲食業にとって、非常に大きな改善です。

第三に、就業調整による人手不足が緩和されます。扶養の不安が減ることで、パート社員がもっと働きたいと思えば、労働時間を増やしてもらうことも可能になります。人手不足に悩む中小企業にとって、これは見逃せないメリットです。



2.経営者が知らない「重大な問題点」


新ルールは一見すると素晴らしい改正に見えますが、実は現場の経営者にとって見過ごせない問題があります。ここでは、その問題点を詳しく解説します。


<労働条件通知書の「シフトによる」では通用しない>

多くの中小企業、特に小売業、飲食業、サービス業などでは、パート社員の勤務をシフト制で管理しています。そして、現在使われている労働条件通知書には、こんな記載がされていることが多いのではないでしょうか。

「労働時間:シフトによる」 「勤務日数:シフトによる」

実は、この記載方法には大きな問題があります。それは、年収が計算できないということです。

新ルールでは「労働契約から年間収入を計算して扶養認定する」とされています。しかし、「シフトによる」としか書かれていなければ、具体的な労働時間も日数も分かりません。時給1,200円と書いてあっても、月に何時間働くのか分からなければ、年収は計算できないのです。

つまり、現在多くの事業所で使われている労働条件通知書では、新ルールに対応できないということになります。これは、シフト制を採用している多くの中小企業にとって、深刻な問題です。


<制度と実態のギャップ>

さらに問題なのは、厚生労働省や日本年金機構も、この問題に対する明確な答えを出していないということです。

2025年12月時点で、日本年金機構の公式発表には「上記取り扱いにおいて必要な添付書類等は追ってお知らせします」と書かれています。つまり、具体的な書式や記載方法は、まだ正式に公表されていないのです。新ルールの施行は2026年4月1日。あと数ヶ月しかないのに、「追ってお知らせ」という状況なのです。

制度設計側は「労働契約から計算する」と言います。しかし、現場の実態として、シフト制のパート社員の労働時間を契約書に具体的に書くことは難しい。この制度と実態のギャップが、経営者を悩ませることになります。


<このままだと起こること>

もし労働条件通知書を見直さないまま2026年4月を迎えると、以下のような問題が起こる可能性があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

第一に、扶養認定が受けられないという問題です。「シフトによる」という記載では年収が計算できないため、扶養認定を受け付けてもらえない可能性があります。その場合、従来通りの方法(収入証明書や課税証明書)による判定となり、新ルールのメリットを享受できません。

第二に、従業員からのクレームが発生するリスクがあります。「新しいルールで扶養に入りやすくなったと聞いたのに、会社の契約書がちゃんとしていないから認定されなかった」という不満が出てくるかもしれません。これは、従業員との信頼関係を損ねることにもつながります。

第三に、毎回、保険者への説明・証明が必要になるという事務負担の問題です。労働条件通知書だけでは判定できないため、パート社員が扶養認定を申請するたびに、会社が別途証明書を発行したり、説明資料を作成したりする手間が発生します。人手の限られた中小企業にとって、この事務負担は無視できません。

第四に、実態と契約の乖離で後からトラブルになるリスクがあります。曖昧な契約書のまま扶養認定を受けても、後から「実際の労働時間が契約と大きく違う」と指摘され、扶養認定が取り消される可能性があるのです。



3.「通勤手当」も盲点!意外と知られていない注意点


新ルールでもう一つ注意すべきなのが、通勤手当の扱いです。多くの経営者が見落としている重要なポイントですので、詳しく解説します。


<社会保険の収入には通勤手当も含まれる>

税法と社会保険法では、通勤手当の扱いが異なります。この違いを理解していないと、思わぬところで扶養から外れてしまう可能性があります。

税法上(所得税)では、通勤手当は一定額まで非課税です。例えば、公共交通機関を使った通勤の場合、月15万円まで非課税となります。しかし、社会保険上(被扶養者認定)では、通勤手当は全額が収入に含まれます。金額に関わらず、支給された通勤手当はすべて年収に加算されるのです。

この違いを知らない経営者は意外と多く、「通勤手当は非課税だから年収に入らない」と誤解しているケースがあります。この誤解が、後々のトラブルにつながることがあるのです。


<実例で見る影響>

具体的な例で、通勤手当の影響を見てみましょう。

遠方から通勤するパート社員のケースを考えてみます。時給は1,200円、月労働時間は80時間、基本給は96,000円です。ここに、遠方からの通勤のため、月15,000円の通勤手当が加わります。

この場合、月収は96,000円+15,000円で111,000円となります。これを年間で計算すると、111,000円×12ヶ月で1,332,000円です。通勤手当を含めなければ年収115万2千円で扶養に入れるのですが、通勤手当を含めると133万2千円となり、わずか3万2千円オーバーで扶養から外れてしまうのです。これは、非常に微妙なラインです。


<遠方から通勤する従業員への配慮>

通勤手当が高額になる従業員(遠方から通勤する方、交通費が高い地域など)については、以下の対応が必要になります。

まず、雇用前に試算することです。採用面接の段階で、通勤手当を含めた年収見込みを計算し、扶養に入れるかどうかを確認します。この確認を怠ると、採用後にトラブルになる可能性があります。

次に、労働時間を調整することです。通勤手当を含めて130万円未満になるよう、労働時間を調整します。上記の例であれば、月労働時間を75時間程度に抑える必要があります。

ただし、これは従業員の収入減にもつながるため、慎重な対応が求められます。

また、従業員に状況を説明することも重要です。通勤手当を含めると扶養を超えることを事前に説明し、扶養を外れて働くか、労働時間を抑えるか、従業員に選択してもらいます。一方的に決めるのではなく、従業員の意向を尊重することが大切です。

さらに、今後の採用では、近隣からの雇用を検討することも有効です。通勤手当の問題を避けるため、できるだけ近隣から雇用することを検討します。これは、長期的な対策として考えておくと良いでしょう。

いずれにしても、労働条件通知書には、通勤手当の金額または算定方法を必ず具体的に記載することが重要です。



4.今すぐできる!労働条件通知書の見直しポイント


それでは、具体的にどのように労働条件通知書を見直せば良いのでしょうか。正式な書式が公表されていない現時点でも、すぐに取り組むべき記載方法をご提案します。


<最低限、これだけは記載すべき項目>

以下の記載方法を参考に、自社の労働条件通知書を見直してください。それぞれの項目について、詳しく解説していきます。


・時給または月給

これは従来通りです。明確に記載してください。例えば、「時給 1,200円」といった形で記載します。これは基本中の基本ですが、改めて確認しておきましょう。


・所定労働時間・日数(シフト制でも平均を明記)

ここが最も重要な見直しポイントです。従来のように「労働時間:シフトによる」という記載では、年収が計算できません。そこで、推奨する記載方法として、以下の3つのパターンをご提案します。

方法Aは、月平均時間を明記する方法です。「1ヶ月の所定労働時間:平均80時間程度」というように、月単位で平均的な労働時間を記載します。この方法は、最もシンプルで分かりやすい記載方法です。

方法Bは、週平均と1日の時間を明記する方法です。「所定労働時間:週平均20時間程度(1日4時間×週5日程度)」というように、週単位と日単位の両方で記載します。この方法は、週ごとのシフトを組んでいる事業所に適しています。

方法Cは、幅を持たせた記載をする方法です。「1ヶ月の所定労働時間:70~90時間程度(繁忙期・閑散期により変動)」というように、範囲を示して記載します。この方法は、季節変動が大きい業種に適しています。

シフト制であっても、過去の実績や従業員の希望をもとに、合理的な見込み時間を設定して記載することが重要です。「計算できる数字」を書くことが求められているのです。


・通勤手当(金額または算定方法を具体的に)

曖昧な記載は避け、具体的に書いてください。例えば、「通勤手当:実費支給」という記載は不十分です。これでは具体的な金額が分からないため、年収計算ができません。代わりに、「通勤手当:実費支給(月額上限10,000円)」「通勤手当:月額5,000円」「通勤手当:1日あたり往復500円」といった具体的な記載が必要です。これにより、年収見込みが正確に計算できるようになります。


・年収見込み額(別紙でも可)

従業員が扶養に入れるかどうかを判断しやすいよう、年収見込み額を明記します。これは法定の記載事項ではありませんが、扶養認定をスムーズに進めるために、強く推奨します。

記載例としては、以下のような形が考えられます。

【年収見込み額】 本契約に基づく年収見込み額:約121万2千円

(内訳) 基本給:1,200円×80時間×12ヶ月=1,152,000円 通勤手当:5,000円×12ヶ月=60,000円 合計:1,212,000円

※この年収見込み額は、所定労働時間に基づく見込みであり、時間外労働による収入は含まれていません。」

このように、計算過程も含めて明記することで、従業員も保険者も、年収見込みを正確に把握できます。


・所定外賃金(残業代)の扱い

残業代を契約に見込むか、見込まないかを明確にします。これは、新ルールの最大のポイントです。契約に残業を見込まない場合は、以下のように記載します。

「時間外労働が発生した場合は別途支給します。(本契約の年収見込みには時間外労働手当は含まれていません)」

この記載をすることで、実際に残業が発生しても、その分は扶養認定の年収計算に含まれないことが明確になります。これにより、繁忙期に安心して残業を依頼できるようになるのです。


<シフト制事業所の具体的対応法>

シフト制で労働時間が確定しない場合、どのように見込み時間を設定すれば良いのでしょうか。3つのアプローチをご提案しますので、自社の状況に合わせて選択してください。


アプローチ1:過去実績ベース

過去6ヶ月から1年の実績データをもとに、平均労働時間を算出する方法です。

具体的な実施手順としては、まず過去6ヶ月~1年の勤務実績を確認します。次に、月平均労働時間を計算します。そして、その数字をもとに契約書に記載します。

例えば、過去6ヶ月の平均労働時間が月82時間だった場合、契約書には「月平均80時間程度」と記載します。既存のパート社員の契約更新時には、この方法が最も合理的です。なぜなら、実際のデータに基づいているため、説得力があるからです。


アプローチ2:従業員希望ベース

新規採用時や、従業員の希望が明確な場合は、希望をヒアリングして記載する方法です。

実施手順としては、まず面接時または契約時に希望労働時間をヒアリングします。「扶養内で働きたいので月80時間程度希望」などの要望を確認します。そして、その内容を契約書に反映します。

例えば、従業員が「扶養内で働きたい(月80時間程度)」と希望した場合、契約書には「月平均80時間程度」と記載します。この方法は、従業員の納得感が高く、トラブルも起きにくいというメリットがあります。


アプローチ3:繁閑差を明示

繁忙期と閑散期の差が大きい業種では、幅を持たせた記載が現実的です。

記載例としては、「所定労働時間:月70~90時間程度(繁忙期:3~4月、12月は上限近く、閑散期:6~8月は下限近く、その他の月:平均80時間程度)」といった形になります。

このように記載することで、季節変動を明示しつつ、年収見込みは中間値(月80時間)で計算することができます。小売業や観光業など、季節変動が大きい業種では、この方法が適しています。


どのアプローチを選ぶべきかは、状況によって異なります。既存社員の契約更新であればアプローチ1(過去実績ベース)、新規採用であればアプローチ2(従業員希望ベース)、繁閑差が大きい業種であればアプローチ3(繁閑差を明示)が適しています。

複数のアプローチを組み合わせることも可能です。重要なのは、「合理的な見込み」を設定し、「計算できる数字」を記載することなのです。



5.今すぐ始めるべき3つのアクション

2026年4月の新ルールまで、残り数ヶ月となりました。しかし、正式な書式はまだ公表されていません。だからこそ、「待つ」のではなく「動く」経営者が勝ち組になります。

完璧な書式が出るまで待っていては、準備期間がありません。現時点でできる最善の対応を今すぐ始めることが、パート社員の安心と会社の安定につながります。


アクション1:現在の労働条件通知書をチェック(今日)

まずは、現在使っている労働条件通知書を手に取ってください。以下の点を確認してください。

「シフトによる」だけの記載になっていないかどうか、通勤手当の記載は具体的かどうか(金額または算定方法)、年収が計算できる内容になっているかどうか、所定外賃金(残業代)の扱いが明確かどうか、これらのチェック項目を確認します。

このチェックは、今日、この記事を読み終わった後すぐにできます。まずは現状把握から始めましょう。問題点が見つかれば、次のステップに進む準備ができます。


アクション2:パート社員の実態調査(2週間~1ヶ月以内)

次に、パート社員の勤務実態を調査してください。過去6ヶ月の平均労働時間を算出し、扶養内で働きたい従業員をリストアップします。そして、各従業員の年収見込みを試算してください。この際、通勤手当も必ず含めて計算することが重要です。

また、通勤手当を含めて130万円を超える従業員がいないかも確認してください。この作業には少し時間がかかりますが、2週間~1ヶ月程度で完了させることを目標にしてください。給与計算ソフトやタイムカードの記録を活用すれば、効率的に進められます。

この実態調査を丁寧に行うことで、次のステップである労働条件通知書の改訂作業がスムーズに進みます。急がば回れで、この段階をしっかり行うことが大切です。


アクション3:労働条件通知書の改訂作業(2026年3月末まで)

実態調査が完了したら、労働条件通知書の改訂に取り掛かってください。

まず、本コラムの推奨記載方法を参考に、ひな形を作成します。次に、扶養内で働きたい従業員から優先的に対応します。そして、従業員と面談し、新しい契約内容を説明してください。説明する際は、年収見込みがどのように計算されているか、扶養に入れるかどうか、残業があっても大丈夫なことなど、丁寧に説明しましょう。

その後、新しい労働条件通知書を交付し、控えを保管します。従業員の受領サインをもらうことを忘れないでください。

自社だけでは不安な場合は、社労士などの専門家に相談することも検討してください。特に、パート社員が50名以上いる場合、複雑なシフト体制を組んでいる場合、通勤手当の問題で130万円を超える従業員が多い場合、過去に扶養認定でトラブルがあった場合などは、専門家のアドバイスが有効です。

相談費用は発生しますが、トラブルを未然に防ぐための投資と考えれば、決して高くはありません。むしろ、後でトラブルが発生してから対応するよりも、はるかに安上がりです。



おわりに


2026年4月の新ルールは、パート社員が安心して働ける環境を作る大きなチャンスです。「扶養の壁」という不安から解放されれば、パート社員はもっと積極的に、もっと長く働いてくれるでしょう。人手不足に悩む中小企業にとって、これは大きなメリットです。

しかし、準備不足の事業所では、混乱とトラブルを招きます。「うちは小さい会社だから関係ない」「パートは数人だけだから大丈夫」「厚生労働省が何か言ってくるまで待とう」、こんな考えは、今すぐ捨ててください。

パート社員を1人でも雇用していれば、対応が必要です。規模の大小は関係ありません。むしろ、小規模な事業所ほど、一人ひとりのパート社員が貴重な戦力です。その方々が安心して働ける環境を整えることは、経営者の責任でもあります。

完璧な書式が出るまで待つのではなく、現時点でできる最善の対応を今すぐ始めましょう。正式な書式が公表されたら、それに合わせて修正すれば良いのです。重要なのは、早めに準備を始めることです。早く始めれば始めるほど、余裕を持って対応できます。

大切なのは「パート社員が安心して働ける環境を整える」という経営者の姿勢です。労働条件通知書はただの書類ではありません。それは、経営者とパート社員の約束であり、信頼の証です。

形式的に書類を整えるだけでなく、「この会社で安心して働いてもらいたい」という気持ちを込めて、労働条件通知書を見直してください。その姿勢が、パート社員のモチベーション向上につながり、ひいては会社の発展につながります。

あなたの会社のパート社員は、明日も安心して働けますか? その答えは、今日のあなたの行動にかかっています。


 

プロフィール

一般社団法人パーソナル雇用普及協会
代表理事 萩原 京二

1963年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒。株式会社東芝(1986年4月~1995年9月)、ソニー生命保険株式会社(1995年10月~1999年5月)への勤務を経て、1998年社労士として開業。顧問先を1件も持たず、職員を雇わずに、たった1人で年商1億円を稼ぐカリスマ社労士になる。そのノウハウを体系化して「社労士事務所の経営コンサルタント」へと転身。現在では、200事務所を擁する会員制度(コミュニティー)を運営し、会員事務所を介して約4000社の中小企業の経営支援を行っている。2023年7月、一般社団法人パーソナル雇用普及協会を設立し、代表理事に就任。「ニッポンの働き方を変える」を合言葉に、個人のライフスタイルに合わせて自由な働き方ができる「パーソナル雇用制度」の普及活動に取り組んでいる。


Webサイト:一般社団法人パーソナル雇用普及協会

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