中小企業の「シン人材確保戦略」を考える

第1回

「労働供給制約社会」がやってくる!

一般社団法人パーソナル雇用普及協会  萩原 京二

 

近年、我が国の労働力人口は減少の一途をたどっており、特に中小企業においては人材の確保・定着が非常に難しくなっています。リクルートワークス研究所のレポートによると、これからの日本社会では「労働供給制約」という深刻な問題が浮上してきていると指摘されています。たとえば、物流、建設、福祉などの分野で人手不足が顕著となっており、これが放置されると社会全体に大きな影響が出る恐れがあります(いわゆる2024年問題)。その原因として、日本の急速な高齢化とそれに伴う労働力の供給不足が挙げられます。労働供給制約が続けば、サービスの水準低下や事業の継続困難、社会インフラの削減など、さまざまな問題が予想されます。外国人(移民)の受け入れは解決策の一つとして考えられますが、それだけでは全ての問題を解決するわけではありません。高齢者や女性の労働参加は増加しているものの、その余力は限られており、継続的な解決策が求められています。

一方で、コロナ禍を経験したことにより、企業における働き方や働く人の意識も大きく変わりました。在宅勤務やテレワークが当たり前となり、毎日会社に行くことが当たり前ではなくなりました。勤務地を限定する制度の導入や転勤を廃止する会社も出ていました。副業や複数の会社に雇用される働き方(マルチワーク)も普及しつつあり、まさに働き方が多様化しています。こうした変化により、これまでのような伝統的な雇用制度や働き方では、多様な働き手のニーズに応えることが難しいという現実に直面しているのです。

今後ますます労働力人口が減少し、働き手のニーズが多様化する中で、企業にとって優秀な人材をいかに確保(採用)して定着(離職防止)させるのかは、今や最も重要な経営課題となっています。こうした問題を解決するために、私たち一般社団法人パーソナル雇用普及協会では、個々の従業員のライフスタイルや価値観に合わせた「カスタマイズ型の働き方」を実現する新しい雇用制度のご提案をしています。それが「パーソナル雇用制度」です。この制度では、従業員と企業が直接交渉して、個別の条件を合意する形を取ります。これにより、多様な働き手の要望に柔軟に応え、長期的な雇用の安定を図ることができます。時代の変化を先取りし、新しい働き方の提案としてのパーソナル雇用制度は、今後の中小企業の成長と持続性に繋がる大きな鍵となるでしょう。

私たち一般社団法人パーソナル雇用普及協会は、経営者の皆様と共に、新しい働き方の実現をサポートいたします。このコラムを通して、中小企業が抱える人材の課題を共有し、解決策を提案してまいります。次回以降もどうぞお楽しみに。


 

プロフィール

一般社団法人パーソナル雇用普及協会
代表理事 萩原 京二

1963年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒。株式会社東芝(1986年4月~1995年9月)、ソニー生命保険株式会社(1995年10月~1999年5月)への勤務を経て、1998年社労士として開業。顧問先を1件も持たず、職員を雇わずに、たった1人で年商1億円を稼ぐカリスマ社労士になる。そのノウハウを体系化して「社労士事務所の経営コンサルタント」へと転身。現在では、200事務所を擁する会員制度(コミュニティー)を運営し、会員事務所を介して約4000社の中小企業の経営支援を行っている。2023年7月、一般社団法人パーソナル雇用普及協会を設立し、代表理事に就任。「ニッポンの働き方を変える」を合言葉に、個人のライフスタイルに合わせて自由な働き方ができる「パーソナル雇用制度」の普及活動に取り組んでいる。


Webサイト:一般社団法人パーソナル雇用普及協会

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