中小企業の「シン人材確保戦略」を考える
筆者:一般社団法人パーソナル雇用普及協会 萩原 京二
中小企業の経営を取り巻く環境は日々厳しさを増しており、特に人材確保は多くの企業が直面する大きな壁となっています。旧来の採用方法や考え方だけでは対応が難しい現代。本コラムでは、これからの時代を生き抜くための「新しい人材確保戦略」に焦点を当て、具体的な方法や考え方を深堀りしていきます。経営者や人事担当者が直面する難題を解決するヒントや、成功事例をもとに、実践的な策を紹介します。中小企業の未来を担う人材を確保し、持続的な経営の実現に向けての第一歩を、共に考えてまいりましょう。
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採用市場は少子高齢化と技術革新の影響で大きく変化しています。採用活動の早期化が進行し、学生には選択肢拡大というメリットがある一方、焦りによる不十分な意思決定や学業との両立困難というデメリットも生じています。企業と学生のミスマッチによる早期離職も深刻な問題です。これからの就活では、学生は自己理解と柔軟な対応力を養い、企業は継続的コミュニケーションと魅力的な職場環境の整備が求められます。重要なのは早期化のメリットを活かしつつデメリットを最小化し、学生の成長と企業の人材育成を両立させる方策を見出すことです。バランスの取れた採用活動は、個人の成長と企業の発展、そして社会全体の持続的発展につながります。
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第74回 2025年の採用戦略:中小企業が勝ち抜くための5つの鍵
「2025年の採用戦略:中小企業が勝ち抜くための5つの鍵」は、大手企業による初任給の大幅引き上げが進む中、中小企業が採用市場で競争力を維持するための戦略を提案しています。具体的には、①独自の魅力の発信(経営者との直接対話など)、②柔軟な働き方の提供(リモートワークなど)、③キャリア成長機会の創出(若手への重要案件任命など)、④総合的な報酬パッケージの設計(業績連動型賞与など)、⑤デジタル技術の活用(AIを活用した適性診断など)の5つが鍵となります。これらの戦略を効果的に実施するためには、現状分析と目標設定、アクションプランの策定、実行とフィードバックの3ステップが重要です。給与競争に巻き込まれず、中小企業ならではの強みを活かすことが成功への道筋となります。
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令和7年度の雇用保険施行規則の改正案が発表され、令和7年度の助成金制度の変更が明らかになりました。本コラムでは、キャリアアップ助成金、人材確保等支援助成金、両立支援等助成金、65歳超雇用推進助成金、人材開発支援助成金の主な変更点を紹介し、企業が活用すべきポイントを解説します。正社員転換の助成額の見直しやテレワーク助成の簡素化、研修助成額の増額など、多岐にわたる改正内容を詳しく説明します。人材確保・定着・職場環境の改善を進めるために、これらの助成金の活用を検討することをおすすめします。
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第72回 変革の時代:2025年労働基準法改正が描く新しい働き方の未来
2025年は40年ぶりとなる労働基準法の改正が予定されており、日本の労働環境に大きな影響を与える見込みです。主なポイントとして、①プラットフォームワーカーの法的位置づけの見直しにより、最低賃金や社会保障の適用が検討されていること、②副業・兼業に関する労働時間通算ルールの緩和により、柔軟な働き方が促進されること、③労働安全衛生法の改正により、フリーランスの労災報告義務化や小規模企業へのストレスチェック義務化が進められることなどが挙げられます。また、連続勤務制限やテレワーク管理の強化も検討されています。企業には人事管理の見直しが求められ、労働者の権利意識やワークライフバランスの向上が期待されています。
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第71回 法改正に対応!中小企業が知っておくべきカスタマーハラスメント対策のポイント
近年、カスタマーハラスメント(カスハラ)が深刻化し、企業には従業員を守る責任が求められています。政府は「労働施策総合推進法」の改正により、企業に対しカスハラ対策の義務化を決定。具体的には、①カスハラを許容しない方針の明確化、②相談窓口の設置、③トラブル時の迅速な対応が求められます。中小企業でも、社内ルールの整備や研修、専門家との連携で実践可能です。適切な対策により、従業員の安心感が向上し、企業の生産性やイメージ向上にもつながります。経営者は早急に対応を進め、持続可能な職場環境を実現しましょう。
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第70回 中小企業経営者のための「賃上げ支援助成金パッケージ活用術」
本コラムでは、中小企業における賃上げの重要性と「賃上げ支援助成金パッケージ」の活用方法について解説しています。賃上げは一時的なコスト増ではなく、人材の定着や生産性向上につながる「未来への投資」です。物価高や人手不足が深刻化する中、賃上げは従業員の生活を守り、企業の成長にも貢献します。政府の助成金制度を活用することで、企業は負担を軽減しながら賃上げを実現できます。パッケージには「業務改善助成金」「キャリアアップ助成金」などが含まれ、企業の課題に応じた活用が可能です。助成金を上手に活用し、人材を大切にする企業文化を築くことで、持続可能な経営と地域経済の活性化につなげていきましょう。
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2025年春闘では、連合が「5%以上」の賃上げを要求し、中小企業に対しては「6%以上」が掲げられています。物価高や人手不足が背景にあり、大企業は積極的に賃上げを進めていますが、中小企業は人材流出や価格転嫁の難しさ、生産性向上の必要性など、厳しい課題に直面しています。解決策として、政府の助成金活用やデジタル化、従業員教育への投資などが挙げられます。中小企業が持続可能な成長を遂げるためには、柔軟な経営戦略とイノベーションが不可欠であり、社会全体での支援が重要です。
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第68回 定年延長か継続雇用か ? データから見る高齢者雇用の最適解
厚生労働省が最新の「高年齢者雇用状況等報告」を公表しました。この報告書は、日本企業における高齢者雇用の現状と今後の展望を示す重要な指標となっています。 本コラムでは、この報告書の詳細な分析を通じて、高齢者雇用に関する最新のトレンドと、企業が直面する課題を明らかにしています。65歳までの雇用確保措置はほぼ全ての企業で実施されている一方、70歳までの就業確保措置はまだ発展途上にあることがわかります。 特に注目すべきは、企業規模による対応の違いや、定年延長と継続雇用制度の選択における傾向です。これらの情報は、経営者の皆様が自社の高齢者雇用戦略を検討する上で、貴重な指針となるでしょう。
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第67回 2025年、退職代行サービス利用が過去最高に ~ 現代の労働環境が映し出す課題とは
2025年1月6日、退職代行サービス「モームリ」の利用件数が過去最高の256件を記録しました。特に正社員の利用が多く、職場環境の課題が浮き彫りになっています。背景には、過酷な労働条件やハラスメント、職場内コミュニケーション不足があり、年末年始の長期休暇中にキャリアを見直したことが決断を後押ししました。経営者には、労働環境の改善や従業員との対話促進、ハラスメント防止策の強化が求められます。退職代行が不要な職場を目指し、従業員が安心して働ける環境を整えることが、企業の持続可能な成長につながります。
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2025年の育児介護休業法改正は、仕事と家庭の両立支援を強化し、柔軟な働き方を促進します。主な改正点は、所定外労働制限の対象拡大、テレワーク導入の努力義務化、育児休業取得状況の公表義務拡大などです。企業は就業規則の見直し、制度設計、従業員への周知教育が必要です。この対応は、人材確保・定着率向上、生産性向上、多様性促進などのメリットをもたらします。将来的な社会変化も見据え、法改正を持続可能な組織づくりの機会と捉え、積極的に取り組むことが重要です。真に働きやすい職場環境の実現が、企業の長期的成長と社会発展につながります。
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第65回 「年収の壁」から「労働時間」の壁へ移行する社会保険適用の新時代(その3)
前々号、前号に引き続き「年収の壁」シリーズその3(最終稿)です。「労働時間の壁」への移行に対応するため、企業は労働契約の見直しや勤怠管理システムの導入、従業員への教育を徹底し、法改正や助成金活用に備える必要があります。労働時間管理の透明性向上により、社会保険の適用基準への適応が可能となり、従業員満足度や企業ブランドの向上、持続可能な経営基盤の構築につながります。また、柔軟な働き方の提供や専門家の活用、リスク管理を重視することで、企業は競争力を維持できます。この取り組みは、企業と労働者が協力して、公平で柔軟な社会を実現するための重要なステップです。
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第64回 「年収の壁」から「労働時間」の壁へ移行する社会保険適用の新時代(その2)
前号の続きです。社会保険の適用基準が「年収」から「労働時間」へと変わり、企業は労働時間を正確に管理することが求められるようになります。今回のコラムでは、労働時間管理の重要性や具体的な手法、そして社会保険適用拡大がもたらす未来の労働環境について解説しています。企業は、労働時間管理を徹底し、人材確保や労働環境改善の機会と捉え、社会保険適用拡大に対応するための戦略を立てる必要があります。
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第63回 「年収の壁」から「労働時間」の壁へ移行する社会保険適用の新時代(その1)
最低賃金の引き上げや労働市場の変化により、「年収の壁」から「労働時間の壁」へと移行する社会保険適用基準の改革が進んでいます。従来の「年収基準」は、働く意欲を阻害し、短時間労働者の社会保険加入を難しくしていましたが、週20時間以上の労働を基準とする新制度は、こうした課題を解消します。この移行により、短時間労働者も社会保険の恩恵を受けやすくなる一方、企業には契約や勤怠管理の精度向上、新たなコスト負担への対応が求められます。適切な対応を進めることで、企業は労働環境を改善し、持続可能な経営基盤を構築可能です。この改革は働き方の多様化を促進し、企業と労働者が協力して公平で柔軟な社会を実現する契機となるでしょう。
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女性活躍推進法の改正により、従業員101人以上の企業に対して、女性管理職比率や男女の賃金格差の公表が義務化されます。また、女性の健康課題への配慮も行動計画に盛り込むことが推奨されます。この改正は、透明性向上や課題の可視化を通じて、企業にとって競争力強化や信頼性向上の機会となります。特にデータ公開を活用し、課題を改善する取り組みは、企業文化の活性化やイノベーション促進につながります。助成金の活用などでコスト負担を軽減しつつ、多様性を受け入れる経営モデルを構築することで、持続可能な成長が可能になります。この改正は企業と社会がともに成長する重要な転換点です。
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働き方の多様化が進む中、従来の一律的な転勤制度や雇用形態では対応が難しくなっています。若い世代の転勤回避志向や中高年の介護事情などを背景に、企業は個別ニーズに応える雇用制度の導入を迫られています。当協会が提唱する「パーソナル雇用制度」は、勤務地や勤務時間、職務内容を柔軟に設定し、従業員のライフステージやキャリアに応じた働き方を可能にする仕組みです。この制度は中小企業向けに開発されましたが、大企業でも導入が広がっています。労働力人口の減少が進む中、多様な働き手を受け入れる柔軟な雇用制度は、企業の競争力向上と持続可能な成長に不可欠です。
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最低賃金1500円時代において、中小企業経営者は賃金決定に際し「標準生計費」を意識することが重要です。社員の最低限の生活を支える水準が確保されていなければ、定着率が低下し、企業の持続可能性にも影響が出ます。評価制度を活用した賃金差の設定や、同業他社との市場比較も必要です。また、連合のリビングエッジ等のデータを活用して自社の賃金水準を定期的に確認し、必要に応じて見直すことで、社員の生活と企業の成長を両立させることが求められます。
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第59回 顧客からの理不尽な要求にどう対応するか~カスタマーハラスメントの現状と対策(その3)
カスハラ対策には、従業員の記録や冷静な初動対応、企業のメンタルヘルスケアのサポート体制が必要です。企業は法的義務を理解し、弁護士等と連携して適切な対応を行い、従業員が安心して相談できる窓口を設けることが求められます。また、マニュアル整備と教育を通じ、従業員が対策を理解し実行できる環境を整え、顧客との信頼関係を築く企業文化を醸成することが重要です。社会全体でカスハラの防止に取り組む必要があります。
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第58回 顧客からの理不尽な要求にどう対応するか~カスタマーハラスメントの現状と対策(その2)
カスハラ対策には、企業がガイドラインやマニュアルを整備し、従業員への教育や相談窓口の設置を行うことが重要です。定期的なマニュアルの見直しや従業員が冷静に対応できるよう研修を行い、組織全体で支援する体制を整えることが求められます。さらに、企業には法的義務があり、労働契約法や労働施策総合推進法のもと、カスハラ防止のための体制を整備する必要があります。厚生労働省のガイドラインも参考にしながら、従業員の安全と企業の信頼性を保つ取り組みが求められます。
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第57回 顧客からの理不尽な要求にどう対応するか~カスタマーハラスメントの現状と対策
カスタマーハラスメント(カスハラ)は、顧客が企業や従業員に対して不当な要求や嫌がらせを行う行為であり、労働環境を悪化させる問題です。東京都は、カスハラ防止条例を全国で初めて制定し、企業に従業員保護の責務を促していますが、罰則はなく実効性に課題も残ります。カスハラと正当なクレームを区別することが重要で、企業は厚生労働省のガイドラインに基づき、社会通念に反する威圧的行動や違法な要求に対しては毅然と対応する必要があります。
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第56回 中小企業が注目すべきミドル世代の賃金上昇と転職動向~経験豊富な人材の採用でビジネス...
40~50代のミドル世代の賃金上昇が進む中、中小企業はこの層の即戦力としての価値に注目すべきです。スタートアップや大企業との競争が激化する一方、中小企業は安定性や柔軟な働き方、企業文化を強みとしてミドル世代を引きつけることが可能です。また、役職定年を迎えた人材や氷河期世代の採用は、中小企業にとって成長の機会となります。適切な賃金設定や職場環境の改善を通じて、競争力を強化し、持続的な成長を目指しましょう。
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第55回 中小企業が賃金制度を考えるときに知っておきたい基本ポイント
中小企業が賃金制度を設計する際、まず従業員が最低限の生活を送れるための標準生計費を基準に、適切な賃金を設定する必要があります。また、会社の支払い能力も考慮し、無理のない範囲で最大限支払える賃金を定めます。さらに、同業他社や市場の賃金水準を参考にし、競争力を維持しながら人材を引き留められる賃金制度を構築することが重要です。定期的な見直しや、福利厚生の充実を通じて、持続可能な賃金制度を目指しましょう。
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第54回 2024年10月からの社会保険適用拡大、対応はお済みですか?
2024年10月から社会保険の適用範囲が拡大され、従業員51人以上の企業では、週20時間以上働くパートタイム労働者も社会保険加入が義務化されました。これにより、企業は社会保険料負担の増加や労働条件の見直しを迫られることになります。対応が遅れると法令違反による罰則や労働環境の悪化、人材流出などのリスクが生じるため、早急に対応を進めることが重要です。社会保険整備は、従業員の満足度向上や企業の信頼性を高める機会でもあります。
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競業避止契約は、企業が退職者に対し一定期間、同業他社への転職や起業を制限する契約です。企業の営業秘密やノウハウを守るために重要ですが、労働者の職業選択の自由を制約する側面もあるため、制限の合理性が求められます。近年の司法判断では、1年以上の制限が認められにくくなり、契約内容の透明性や合理性が厳しく問われる傾向があります。企業は契約の慎重な設計と労働者への丁寧な説明が必要です。
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第52回 令和7年度 賃上げ支援助成金パッケージ:企業の成長と持続的な労働環境改善に向けて
令和7年度の助成金パッケージでは、生産性向上や正規・非正規の格差是正、賃金引き上げを支援する制度が拡充されます。企業が賃金規定や人事評価制度を導入し、離職率を低下させた場合に助成金が支給され、賃上げ5%以上で加算措置も導入されます。キャリアアップ助成金では、賃上げ率に応じた助成額の細分化と昇給制度の導入支援が強化され、企業が従業員の処遇改善に取り組むための重要な支援策となります。
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第51回 解雇の金銭解決制度とその可能性 〜自民党総裁選における重要テーマ〜
解雇の金銭解決制度は、企業が労働者を解雇した際に、復職の代わりに金銭補償を行う仕組みです。2024年の自民党総裁選では河野太郎氏がこの制度を推進しており、労働市場の流動性を高め、企業の人材運営を柔軟にする手段として注目されています。企業にとっては、解雇紛争を迅速に解決できるメリットがあり、労働者には新たな選択肢が提供されますが、労働者保護とのバランスが課題です。
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第50回 令和7年度予算概算要求:中小企業経営者が注目すべき重要ポイントと支援策
8月30日に発表された厚生労働省の令和7年度予算概算要求には、中小企業向けの支援策が多く含まれています。主なテーマは「持続可能な社会保障の実現」と「労働市場改革」で、中小企業も賃金引き上げや多様な働き方の推進が求められます。支援策には、業務改善助成金やキャリアアップ助成金などがあり、これらを活用することで賃上げや人材の定着を図り、生産性向上を目指すことができます。
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デジタル給与払いは、給与をデジタルウォレットで受け取る新しい支払い方法で、2024年8月にPayPayがサービスを開始しました。この方法は、従業員にとって即座に給与を確認・使用できる利便性があり、企業にとってもコスト削減や給与管理の効率化に寄与します。また、銀行口座を持たない従業員にも対応可能で、環境への配慮も期待されています。日本での普及が進めば、給与支払いの新たな標準となる可能性があります。
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最低賃金は、企業が労働者に対して支払うべき最低限の賃金を定めたもので、労働者の生活安定と労働条件の改善を目的としています。最低賃金には地域別と特定最低賃金があり、違反には罰則があります。賃金の計算は、時間給、日給、月給、出来高払制に応じて、最低賃金を上回る必要があり、複数の賃金形態が混在する場合はそれぞれを時間額に換算して比較します。最低賃金改定時には賃金額、賃金体系、規則の見直しが重要です。
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中央最低賃金審議会の小委員会は、2024年度の最低賃金を全国平均で時給1054円にすることを決定しました。現在の1004円から50円の引き上げで、過去最大の増加幅です。各地の審議会で最終的な実額が決まり、適用は10月中となる見通しです。中小企業は賃上げを実施する必要があり、早めの対応で「業務改善助成金」を活用できます。この助成金は、生産性向上を目的とした設備投資などの費用を助成する制度です。ぜひ積極的に活用しましょう。
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労働基準監督署の調査対応を誤ると書類送検されるリスクがあり、書類送検後は検察官が起訴・不起訴を判断します。逮捕より軽く見えますが、起訴されればほぼ確実に有罪となります。書類送検だけでは前科はつきませんが、起訴され有罪となると前科がつきます。不起訴でも送検事案は公表され、企業の信用低下や取引先からの信頼喪失、金銭的負担、社内モラルの低下など多大な影響があります。労働基準監督署の調査は非常に厳しく、軽視できません。
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労働基準監督署の調査によって書類送検された企業の事例を紹介します。大手コンサルティング会社の違法残業、人気洋菓子店の過労死ラインを超える長時間労働、賃金不払い、虚偽報告、無資格者のフォークリフト運転、外国人実習生への危険作業、検査証切れのクレーン使用、雇入れ教育の怠慢、労災かくしといった事例もあります。労基署の調査は厳しく、多くの企業が書類送検されていることが分かります。
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労働基準監督署の調査は、企業経営にとって避けては通れない重要な問題です。労働関係の法律を遵守し、適切な対応を心掛けることで、企業の信頼を守ることができます。労働基準監督官の権限や調査の種類を理解し、日頃から準備を怠らないようにしましょう。これにより、突然の調査にも冷静に対応し、労働環境の改善と企業の健全な運営を維持することができるのです。
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労働基準監督署(労基署)は、労働基準法や労災保険法などに基づいて労働条件の確保・改善、安全衛生の指導、労災保険の給付を行う機関です。経営者は税務署の調査には慣れていても、労基署の調査の重要性を軽視しがちです。しかし、労基署の調査で違反が見つかると、会社や経営者個人が書類送検されるリスクがあり、企業イメージや信用力が損なわれる可能性があります。法令遵守と適切な対応を徹底し、労基署との連携を強化することが重要です。
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パナソニックホールディングス(HD)の子会社は、2025年春から新卒社員の初任給を個別に設定するジョブ型人事制度を導入します。この制度は、従業員のスキルや経験に応じて給与を決定する「パーソナル雇用制度」と同じ考え方です。生成AIを活用し、労働時間を1年間で19万時間削減するなど、生産性向上の実績もあります。テクノロジーの進化により、働き方や人事制度は大きく変わり、企業と従業員双方にメリットをもたらす新しい雇用形態の普及が期待されます。
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第41回 高齢化社会と労働力不足への対応:エイジフレンドリー補助金の活用
日本では労働力不足が深刻化しており、高齢者の活用が重要な経営課題となっています。高齢者が安全に働ける環境を整備するためには、健康への配慮が必要です。また、健康経営への関心も高まり、従業員の健康増進が企業の人事施策として重要視されています。エイジフレンドリー補助金は、高齢者を含む全ての労働者が安心して働ける職場環境を整えるための支援制度です。労働災害防止のための設備導入、運動指導と健康チェック、健康保持増進の取り組みなどに対する費用を補助します。
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現代企業にとって人事評価制度の整備は、生産性向上や賃金アップ、離職率低下のために不可欠です。厚生労働省の「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」を利用すれば、最大80万円の支援を受けて、経済的に効果的な制度整備が可能です。この助成金は、賃金アップを伴う人事評価制度の整備によって生産性向上と従業員定着率向上を目指しています。申請手順は、整備計画の作成・提出、制度の整備・実施、賃金アップと離職率低下の目標達成後に助成金申請を行います。
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2024年6月10日に開催された「賃上げが難しい中小企業のための採用定着戦略サミット2024」では、賃金面での競争が難しい中小企業が企業の魅力を高める方法や、多様な働き方の提供について議論されました。私たち一般社団法人パーソナル雇用普及協会は、個人契約型雇用制度の導入事例を紹介し、企業の魅力向上と情報発信の重要性を強調しました。これからは、従業員から選ばれる企業が生き残るため、柔軟な働き方と企業の魅力発信が鍵となることを確認しました。
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第38回 2025年の年金制度改革が中小企業の経営に与える影響
次回(2025年)の年金制度改革で、中小企業に影響を与えるのはパート社員の社会保険適用拡大と3号被保険者制度の廃止です。パート社員の適用拡大は保険料と事務負担の増加を招きます。これに対処するため、コスト管理の徹底、事務管理の効率化、従業員への説明が必要です。3号被保険者制度の廃止は家庭の収入構造を変化させ、働き方の柔軟性や福利厚生の充実が求められます。企業は制度改革に対応し、経営の安定と従業員の満足度向上を目指すべきです。
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第37回 クリエイティブな働き方の落とし穴:裁量労働制を徹底解説
現代の働き方改革の一環として、多くの企業が採用を検討しているのが「裁量労働制」です。この制度は、特に企画職や専門職などのクリエイティブな業務に適しており、従業員が自己の裁量で仕事を進めることができるという利点があります。しかし、その一方で、適切な管理が求められる制度でもあります。本コラムでは、裁量労働制の概要、メリット・デメリット、そして効果的な労働時間管理の方法について詳しく解説します。
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昭和世代と令和世代の価値観の違いは、働き方や仕事へのアプローチに影響しています。昭和世代は仕事第一で長時間労働を重視し、会社への忠誠心が強いです。一方、令和世代はワークライフバランスを重視し、効率的な働き方や自己実現を追求します。また、デジタルツールの活用やハラスメントに対する意識も異なります。世代間のギャップを埋めるためには、お互いの価値観を理解し、多様な視点を受け入れることが重要です。これにより、より良い職場環境が築けます。
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第35回 時代に合わせた雇用制度の見直し: 転勤と定年の新基準
日本の労働環境は大きな転換期を迎えています。トヨタ自動車をはじめとする大企業が、高齢者の雇用拡大と転勤の柔軟性向上を推進し、70歳までの再雇用を全職種に拡大するなど、従来の終身雇用や転勤制度の見直しが進んでいます。これらの改革は、技術革新の進展と共に、労働市場の柔軟性を高め、多様な働き方を可能にしており、高齢者の経験を活用しながら、若い世代にもライフスタイルに合った働き方を提供する動きが加速しています。
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第34回 合意なき配置転換は「違法」:最高裁が問い直す労働契約の本質
仕事を特定の職種に限って働く人に対し、使用者が別の職種への配置転換を命じられるかが争われた訴訟で、最高裁は労働者の同意がない配転命令は「違法」とする判断を示しました。この判決では、仕事の内容を変更する場合、職場の上司だけでなく、その変更を受ける従業員の同意が必ず必要であると明確にされました。また、労働者と雇用主が平等に話し合い、お互いの同意を基に仕事内容を決めるべきだと判断しました。この裁判の結果、日本の職場では契約の内容がより透明になり、働く人々の権利が守られるようになることが期待されます。
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第33回 経営課題は「現在」「3 年後」「5 年後」のすべてで「人材の強化」が最多
持続可能な成長は、企業に新たな経営戦略を求める現代の最大の課題です。市場のグローバル化、技術革新の加速、環境問題への意識の高まりなどの外部環境の変化に適応し、社会的責任を果たすことが企業には求められています。2023年の日本能率協会の調査では、多くの企業が「人材の強化」を最重要課題として挙げており、これは適切な人材の確保と育成が企業成長の鍵となるためです。また、デジタルトランスフォーメーションの必要性が高まっており、企業は継続的な人材育成とキャリア開発に投資し、多様な才能を育てることが急務です。
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第32回 退職代行サービスの増加と入社後すぐ辞める若手社員への対応
新年度が始まり、特に新入社員からの退職代行サービスの利用が急増しています。ある退職代行サービス会社では、4月初旬に678件の依頼があり、その16%以上が新入社員によるものでした。主な退職理由は、入社前の情報と実際の職場環境のギャップにあります。多くの若者が仕事の内容や労働条件の違いに直面し、精神的または身体的な不調を訴えています。退職代行の増加は、コミュニケーションスキルの低下や対人関係の希薄化も一因とされています。
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第31回 中小企業の新たな人材活用戦略:フリーランスの活用と法律対応
中小企業が直面する主要な課題は、適切な人材を確保することです。市場の変化により、伝統的な雇用だけでは必要なスキルを持つ人材が見つからないことがあります。この問題に対処するために、フリーランスの活用が注目されています。フリーランスとの業務委託は専門性が高く、臨時のニーズに応じて柔軟に人材を確保でき、固定人件費を抑えることが可能です。しかし、2020年秋に成立したフリーランス保護新法(2024年秋施行予定)により、フリーランスとの取引には明確な契約書の交付が義務付けられており、不当な取引の禁止など法的な遵守が求められます。また、フリーランスとの契約においては「労働者性」の判断が重要であり、指示の有無や業務の性質、報酬の形態により労働契約とみなされる可能性があります。
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第30回 「ホワイト」から「プラチナ」へ:働き方改革の未来像
現代労働市場では、「働きがい」と「働きやすさ」のバランスが重要視されています。「モーレツ企業」の高い労働意欲と厳しい条件、「ホワイト企業」のワーク・ライフ・バランスの重視といった対照的なモデルを超え、「プラチナ企業」が目指されています。これらは従業員の自立と能力開発を促し、個々のポテンシャルを引き出すことを目指しています。GoogleやSalesforce、サイボウズなどの事例から、プラチナ企業が従業員満足度と企業業績の向上に貢献していることが示されています。
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新卒の初任給競争が激化する中、一部の企業では優秀な人材を確保するために30万円を超える高額初任給を設定しています。しかし、固定残業制度の適切な管理も重要な課題となっています。この制度は、事前に定められた残業時間に対して支払われ、メリットとして給与の予測容易性と人件費管理のしやすさがありますが、長時間労働の助長や実際の労働時間との不一致などのデメリットも伴います。企業は、初任給の高騰を超えた長期的な人材投資戦略を構築する必要があり、これには継続的な教育、適正な評価制度、働きがいのある文化の醸成が不可欠です。最終的に、企業の持続可能な成長と従業員の個人的成長の実現が、真の競争力の源泉となるでしょう。
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第28回 心理的安全性の力:優秀な人材を定着させる中小企業の秘訣
心理的安全性は、チームメンバーがリスクを恐れず、自由に意見を述べることができる環境を指し、中小企業の人材定着と企業成長に不可欠です。Googleの研究によると、心理的安全性はチーム成功の最大の要因であり、創造性やイノベーションを促します。中小企業は、オープンなコミュニケーションを促進し、多様性を重視し、失敗を学習の機会として捉えることで、心理的安全性の高い職場環境を実現することができます。この取り組みは、従業員の満足度を高め、長期的な成功へと導きます。
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第27回 賃上げラッシュに中小企業はどのように対応すべきか?
2024年春の労使交渉では多くの企業が賃上げを実施していますが、中小企業にとって賃上げは大きなチャレンジです。最低賃金の上昇と社会保険の適用拡大により、企業の人件費負担は増大します。中小企業は業務効率の向上、人材のスキルアップ、価格戦略の見直し、政府支援プログラムの活用などを通じて対応する必要があります。これらの取り組みは、賃上げの波を乗り越え、持続可能な成長を遂げるための鍵です。
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日本の労働市場では、正社員を目指す代わりに、柔軟な働き方を選ぶ人が増えています。特に若年層は「自分の都合の良い時間に働きたい」という理由で非正規雇用を選んでおり、これはライフスタイルや自己実現を重視する価値観の変化を反映しています。しかし、非正規雇用の増加は、女性や高齢者などにおける不安定な雇用と社会保障の問題を引き起こしています。今後は、働き方の多様性を支える政策とともに、全ての労働者が公平な待遇を受けられるような支援体制の整備が重要となります。
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2024年10月より、社会保険の適用範囲が拡大し、従業員数51人以上の企業も含まれるようになります。これに伴い、「年収の壁・支援強化パッケージ」が政府から提供され、特に「106万円の壁」と「130万円の壁」の対応策が提案されています。このパッケージは、社会保険料の負担による手取り収入の減少を防ぐため、企業に対して最大50万円の支援を行います。支援内容には、手当金の支給や労働時間の延長などが含まれ、社会保険適用促進手当を利用した手取り収入減少の防止措置が特に注目されます。この改正は、社会保険の適用拡大に向けた企業と従業員の働き方調整を促し、経営への影響を最小限に抑えるための支援を目的としています。
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2020年4月からの労働基準法改正により、労働契約の際に新たに就業場所や業務内容の変更範囲などが明示されるようになりました。この法改正は、「年収の壁」問題にも影響を及ぼしています。この問題は、社会保険の加入条件を避けるために非正規雇用の従業員が勤務時間や収入を調整する現象を指し、労働契約の不透明さが原因で起こり得ます。改正法は、契約内容をより透明にすることで、このような状況の解決を目指しています。明確な労働契約は、双方の理解と合意のもとで安定した雇用関係を築くために不可欠です。
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2024年4月1日より、労働基準法改正で労働契約締結・更新時の明示事項に新項目が追加されます。全労働者には就業場所・担当業務の変更範囲、有期雇用者には更新上限、無期転換申込機会、無期転換後の労働条件が必須です。就業規則の確認方法も明記が必要。労働条件通知書の整備、有期契約の再確認が求められ、職業安定法も改正、求人時の労働条件明示が強化されます。
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令和3年4月から、企業は70歳までの就業機会確保に努めることが努力義務化されました。これに伴い、「65歳超雇用推進助成金」が導入され、高齢者の定年引上げや継続雇用制度導入などを行う事業主を支援します。この助成金は、65歳以上の定年引上げ、定年の廃止、66歳以上の継続雇用制度導入を含む3コースから構成され、助成額は対象社員数や施策によって異なります。高齢者の活用は、労働人口減少時代における重要な人材確保策であり、国の施策としても70歳までの就業機会確保を推進しています。助成金利用には特定の条件があり、高年齢者の雇用管理に関する複数の施策実施が必要です。
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人材定着とスキルアップのため、リスキリングが世界的に推進されていますが、教育費用は企業にとって大きな負担です。人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」を活用することで、教育や研修のコストを削減しつつ、ハイスキル人材の輩出が可能になります。この助成金は、新製品製造や新サービス提供など、新たな分野への事業展開やデジタル化、グリーン化に伴う人材育成を高率で支援します。訓練経費や賃金の一部が補助され、助成率は中小企業で75%、助成限度額は1億円に達します。
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今回のテーマは「両立支援等助成金」です。この助成金は、育児や介護をしながら働く従業員を支援する事業主に対して提供されます。主なコースは出生時両立支援コース、育児休業等支援コース、介護離職防止支援コースです。それぞれ、男性の育児休業取得、育休取得・職場復帰支援、介護休業取得・両立支援などが対象となります。令和6年1月には「育休中等業務代替支援コース」が新設され、業務代替要員の新規雇用や手当支給が支援されます。これらの助成金を活用し、育児や介護が必要な従業員を支える環境を整えることは、企業にとっても価値ある取り組みです。
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これまでに「キャリアアップ助成金」と「特定求職者雇用開発助成金」の活用方法を紹介したコラムシリーズで、今回は「トライアル雇用助成金」について解説します。トライアル雇用は、求職者を3か月試用し、その後常用雇用に移行する可能性のある制度です。企業はこの制度を使い、求職者の能力や適性を評価しながら、毎月4万円(母子家庭の母または父子家庭の父の場合は毎月5万円)の助成金を受け取れます。トライアル雇用を開始するには、ハローワークに求人票を提出し、トライアル雇用期間終了後には助成金申請を行う必要があります。この制度は、企業がリスクを抑えつつ人材を評価できる手段であり、就職が難しい人々に新たな機会を提供します。
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これまでのコラムでは、人材確保に役立つ助成金について紹介してきました。今回は「特定求職者雇用開発助成金」に焦点を当てます。この助成金は、ハローワーク等の紹介で高齢者や障害者など就職困難者を雇用する事業主に対して支給されます。支給額は対象者の類型や雇用形態により異なり、長期間にわたる雇用を条件とします。注意点としては、求職者をハローワーク等の紹介によって採用することが重要です。直接募集や「オンライン自主応募」による採用は助成対象外となります。中小企業にとって人材確保は厳しい状況であり、この助成金を活用することが効果的です。
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前回は日本企業の人材確保と定着に役立つ助成金を概観しましたが、今回は「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」に焦点を当てます。この助成金は非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を支援し、雇用の質向上を目指します。令和5年度の補正予算で、内容が大幅に拡充されました。助成金の受給には、正社員転換後の雇用定着、選考過程の明文化、賃金増額など一定の条件があります。また、キャリアアップ計画の作成と届け出が必要です。申請は複雑なため、専門家の相談への相談、厚生労働省のホームページなどで最新情報を確認するなどが必要です。
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日本企業の人材確保と定着は深刻な課題で、助成金はこれを支える重要なサポートツールです。政府や自治体は雇用創出や特定労働者層への機会提供を促す経済的援助を提供し、新規採用やスキルアップ、高齢者・障害者雇用などに助成金を使います。例えば、就職困難者を雇用する企業には賃金の一部を補助し、業界未経験者のリスクを軽減するトライアル雇用助成金や、転職・再就職支援、非正規社員の正社員化、高齢者雇用を促進する助成金があります。これらの助成金活用により、企業は多様な人材を確保し、安定した雇用を創出することで、持続可能な成長を目指すことができます。
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現代の労働市場は、リモートワークの普及と労働者の多様な働き方のニーズ増加により、変革の時を迎えています。この新しい環境下で企業が直面する主要な課題は、適切な人材の確保と継続的な定着です。解決策として注目されるのがパーソナル雇用制度です。この制度は、従業員が自身のライフスタイルやキャリアの目標に合わせて柔軟に働き方を選択できる点で優れており、特に新世代の労働者にとって魅力的です。企業にとっても、必要なスキルを持つ人材をプロジェクトベースで効率的に活用し、高い生産性を達成することが可能となります。
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現代の労働市場は大きく変化しており、従来の正社員中心のモデルから多様な働き方を取り入れる「人材シェア」への転換が進んでいます。企業は退職者、フリーランス、副業者などと複線的に関わり、自社だけでなく他社との人材共有を目指しています。ランサーズによると、フリーランスは労働力人口の約20%に達し、リクルートの調査では転職経験のない労働者は2割に留まります。これらの動向は、企業が多様な人材に活躍の場を提供し、柔軟な人材戦略を採用することの重要性を示しています。
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厚生労働省の「新しい時代の働き方に関する研究会」が報告書をまとめました。経済のグローバル化、デジタル化の進展、国際政治の不安定化により企業環境は劇的に変化しています。Web3.0や生成AIなどの技術革新は、新たなビジネスモデルを生み出し、市場の不確実性を高めています。日本の労働市場も、人口減少、少子高齢化、DXの進展により大きく変化しており、労働需要の変化によって企業は人材戦略を見直す必要に直面しています。働く人の意識も変わり、多様な働き方を求める人が増えています。これらの変化は、企業に新たな雇用管理・労務管理のアプローチを求めており、労働基準法制もこれらの変化を反映した形での見直しが必要です。
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ある就活支援企業のアンケートによると、就活生が企業研究で知りたいトップ5の情報は、実際の仕事内容、社風、給与水準、他社比較、求める人材像です。採用活動にはターゲットが求める情報の発信が不可欠です。そのためには、会社、仕事、職場、待遇の魅力を具体的にアピールする「集めない採用」戦略が重要です。会社の特長や社長の個性、仕事の成長・貢献機会、職場の人間関係や活気、労働条件などを明確に発信し、実態とのギャップがないことを確保することが求められます。表面的な魅力だけでなく、実際の職場環境と合致する真実の情報を提供することで、長期雇用につながる良質な採用が可能になります。
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最近の「Z世代」という言葉が注目されています。Z世代は1990年代半ばから2010年代に生まれた世代で、インターネットやSNSを情報源としています。彼らは社会問題に敏感で、ブランドへのこだわりより自分の価値観を優先します。また、職場へのこだわりが少なく、転職を視野に入れる傾向があります。Z世代は「多様性」を重視し、ワークライフバランスやパラレルキャリアに関心が高いです。企業にとっては、この世代が求める多様な職場環境を提供することが、人手不足を解消する鍵となります。現在の採用市場は売り手市場で、企業はZ世代の価値観に合致する職場を提供することが求められています。
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第10回 9割の中小企業が知らない「すごいハローワーク採用」のやり方(後編)
今回のコラムでは、ハローワークの求人サービスがどのように進化しているかを紹介しています。特に、ハローワークインターネットサービス(HWIS)の利用が焦点となっています。HWISは、求人者と求職者がそれぞれマイページを開設し、求人の申込み、内容の変更、応募の受付、応募者管理、通信、および選考結果の報告がインターネットを通じて行える無料サービスです。さらに、求人者は求職者情報を検索し、「直接リクエスト」によって積極的に応募者を募ることも可能です。これらの機能は特に中小企業にとって魅力的で、利用しない理由がないほどです。
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第9回 9割の中小企業が知らない「すごいハローワーク採用」のやり方(前編)
企業が採用活動を行う際、一般的に求人広告や人材紹介会社などを利用することが多いですが、最初に検討すべきはハローワークへの求人出稿です。ハローワークは厚生労働省が運営する公共の就職支援機関で、最近は進化しているため、様々なメリットがあります。これらのメリットには採用コストの削減、多数の求職者へのアクセス、求職者からの信頼獲得、求人掲載期間の延長のしやすさ、助成金の受給可能性などがあります。ハローワークを通じての採用は、広い年齢層の求職者に対して企業の信頼性を示し、費用効果的な採用活動を支援します。
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第8回 中小企業のための「集めない採用」~ まだ穴のあいたバケツに水を入れ続けますか?
中小企業は採用に悩んでおり、伝統的な大量の応募者を集める方法に疑問が生まれています。早期退職が多いのは、労働環境や条件の不備から来る「穴のあいたバケツ」現象のためです。解決の鍵は「働きやすい環境」の整備と、企業の価値観に合った「集めない採用」へのシフト。この方法は、採用の「見えないコスト」を削減し、真に必要な人材を獲得する効果が期待されます。
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第7回 そもそも「正社員」って何ですか? - 新たな雇用形態を模索する時代へ
日本の労働市場で「正社員」は長く優越的位置を占め、安定した雇用や福利厚生と引き換えに会社のあらゆる指揮命令への従順が求められてきました。しかし、これが現代の多様なニーズやライフスタイルに合致しているかは疑問です。特に、長時間労働や家族とのバランスの問題が浮き彫りになっています。最近、働き方や労働時間に制約を持つ「限定社員」という新しい雇用形態が登場しています。しかし、「正社員」の定義が曖昧になってきており、「正規」「非正規」という既存の区分は時代遅れとなりつつあります。新しい雇用形態を模索する時代の中で、私たちは「パーソナル雇用制度」を提案しています。
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第6回 成功事例から学ぶ!パーソナル雇用制度を導入した企業の変革と成果
現代の多様な働き方を求める社会に応える形で、「パーソナル雇用制度」の導入が注目されています。この制度は、企業が従業員一人ひとりのニーズやライフスタイルに合わせた働き方を提供するもので、多くの企業で実践されています。今回のコラムでは、このパーソナル雇用制度を取り入れて実際に成果を上げた企業の具体的な事例を3つ紹介しています。それぞれの事例からは、企業が従業員の多様なニーズに柔軟に応えることで、優秀な人材を確保したり、離職率を低減したりするメリットが明らかになりました。従業員の満足度を高めることは、生産性や業績の向上に繋がるという実証も得られました。この制度の導入は、持続的な企業成長のための新しいキーと言えるでしょう。
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日本の労働市場は「売り手市場」へと移行しており、企業の採用戦略も変革を迎えています。その象徴として「パーソナル雇用制度」が注目される中、大手金融機関「日本生命保険」が高度な専門性を持つ人材に最大5000万円の年収を提示する方針を打ち出しました。一方、中小企業では高額報酬よりも「働きやすさ」を競争力として、優秀な人材を惹きつける必要があります。パーソナル雇用制度は、今後の採用戦略のキーとなると考えられます。
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労働人口の減少と安定志向の求職者増加で、中小企業の採用は厳しさを増しています。しかし、これからの採用戦略は年収だけでなく、働き方の柔軟性がキーとなります。従業員のライフスタイルを尊重した「パーソナル雇用制度」を採用し、柔軟な働き方を提供することが、中小企業の新しい魅力となるでしょう。
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第3回 プロ野球選手の年俸更改を参考にしたパーソナル雇用制度
「パーソナル雇用制度」は、プロ野球の年俸更改・FA制度を参考にした新しい雇用の形です。この制度では、年毎の個別契約更新が基本となり、より有利な労働条件を選べます。ただし、契約に合意できない場合の対応が課題となり、それを解決するためのバックアップシステムの導入が考えられています。
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第2回 パーソナル雇用制度とは? 未来を切り開く働き方の提案
現代の多様なライフスタイルやテクノロジーの進化に応じ、働き方の新しい形として「パーソナル雇用制度」が浮上しています。これは個人のニーズやキャリアに合わせた個別の労働契約を基にする制度で、従業員と企業が毎年条件を交渉する仕組みです。従業員の自主性やモチベーション向上の利点がある一方、契約管理が複雑化するという課題も。しかし、技術の活用でその課題も乗り越えられる見通しです。この制度は、新しい時代の働き方を切り開く可能性を持ち、企業と従業員の成長の鍵となると期待されています。
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これからの日本は労働力人口が減少し、企業において従業員の確保をすることが難しくなる「労働供給制約社会」に突入します。また、コロナの影響でテレワークや副業が増え、働き方も多様化しています。そんな中、中小企業ではどのように優秀な人材の確保・定着を図ればよいのでしょうか?この問題を解決するための新しい雇用制度のご提案をしています。
プロフィール
一般社団法人パーソナル雇用普及協会
代表理事 萩原 京二
1963年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒。株式会社東芝(1986年4月~1995年9月)、ソニー生命保険株式会社(1995年10月~1999年5月)への勤務を経て、1998年社労士として開業。顧問先を1件も持たず、職員を雇わずに、たった1人で年商1億円を稼ぐカリスマ社労士になる。そのノウハウを体系化して「社労士事務所の経営コンサルタント」へと転身。現在では、200事務所を擁する会員制度(コミュニティー)を運営し、会員事務所を介して約4000社の中小企業の経営支援を行っている。2023年7月、一般社団法人パーソナル雇用普及協会を設立し、代表理事に就任。「ニッポンの働き方を変える」を合言葉に、個人のライフスタイルに合わせて自由な働き方ができる「パーソナル雇用制度」の普及活動に取り組んでいる。
Webサイト:一般社団法人パーソナル雇用普及協会