よどみのうたかた

第28回

メールもSNS、電話も詐欺だらけ?

イノベーションズアイ編集局  経済ジャーナリストA

 

それにしても、このところ怪しいメールが多い。怪しい、としたのはメールに出てくるサイトなどにアクセスして確認したわけじゃないからで、おそらく詐欺メールだ。以前からこうしたメールはあったのだが、最近は1日あたり数件。10件以上の日もある。

メールには、いくつかのパターンがある。ここ1か月で最も多かったのは、東京電力を名乗り電気料金の不払いを理由に電気を止める、あるいは法的措置をとる、という通知風のものだ。だいたいにおいて期限の当日に届く。翌日はまた翌日が期限となったものが届く。東京電力パワーグリッドを名乗るものもあり、内容はほぼ同様だ。

筆者は静岡に住んでおり、違う電力会社から電力供給を受けているが、それ以前に詐欺メールであることはバレバレだ。表示はともかく、そもそもメールアドレスがおかしい。

これに次いで多いのが金融機関を名乗るものだ。一時はJAバンクをかたるものが多かったが、最近は楽天銀行や三井住友銀行のニセ者が増えた。これらも本物との取引が無いので、わかりやすい。

宅配便を名乗るものも定番だ。佐川急便を名乗り、不在だったので荷物を持ち帰ったので再配達を以下のサイトで…というやつ。他にも、返金や不払いなどの通知をかたるものが届く。


これらの多くはスマホのメールアドレスに送られてくる。大半は迷惑メールに分類されるため、わざわざ見なければ接することはないが、大事なメールが迷惑メールに分類されることもある。それらをチェックする度に、驚くほど詐欺メールが来ていることに気づかされる。

先日、とある通販で買い物をした。ところが、品物が配送予定日になっても届かなかった。そんなタイミングで、詐欺メールが来た。買い物をした通販サイトを名乗り、配送先を確認する内容だった。しかも、こういう時に限って通常のメールとして届いた。

危うく開きそうなものだが、毎日のようにそうした詐欺メールにさらされており、信用しない癖がついている。通販サイトからログインして確認したところ。配送遅れの原因が判明。やはり詐欺メールだった。

最近は、アドレスが極端に不自然じゃない詐欺メールもあり、本文中に出てくるロゴや連絡先は本物だったりする。もはや体裁や文面、内容などから真偽を判断するのは難しくなってきた。

SNSを通じたメッセージや通知はさらにわけがわからない。筆者の場合、知人以外と連絡がとれるよにしているSNSはフェイスブックのみだが、そのフェイスブックには日夜よくわからない“友達申請”やメッセンジャーを通じた目的さえ不明な連絡が来る。これも1日数件はありそう。こちらは対策などしていない。基本的に無視。SNSで重要な連絡が来ることなどないからだ。


しかし、それらSNSの情報伝達機能は利便性が高い。既読か未読かもわかる。メールアドレスを標準装備しない格安SIMなどは増えたが、SNSの普及はますます高まっている。このため、報道機関同士の情報共有にもSNSが使われ始めている。重要度に応じて、面会>電話>メール>SNSその他…という序列は昭和生まれ世代の感覚的なものだが、すでに社会はそうでもないもようだ。

メールもSNSも危ないが、いまや電話だって危ない。警察官を語り、ディスプレーには警察署の電話番号が表示されるような詐欺電話もある。これなどは、どうやって真偽を見極めるのだろうか。

そこまでのものではないが、詐欺的な電話も来る。静岡の固定電話は会社のもだし、個人宛の要件はないはずだ(それでもくる)が、携帯電話にはいろいろとかかってくる。筆者はたまたま定年になって再雇用されたりしたので、それに関連する重要な連絡も多く、私的であっても外部との連絡を遮断するわけにいかない。

それにしても、なんでこれほどたくさんの詐欺メールやメッセージ、電話がくるのか。

それは思うに、古いからではないかということだ。携帯電話の番号はアナログ式のころから変わっていない。詐欺メールの受け皿のようになっているメールアドレスも、2000年代の初頭から変わっていない。その間、これらの番号やアドレスは絶えず連絡手段となり続け、さぞかし多くの名簿などにも掲載され流出してきたことだろう。その根拠として、新設のアドレスやサブのスマホにはそうした電話が少ない。

じゃあ、主力の電話番号やメールアドレスを変えればいいじゃないか、という話もある。それはそうなのだが、定年を過ぎ、これからそういうことをすると、それこそ現代社会からも引退しそうな気がする。こうした機会に、人間関係も断捨離しちゃう勇気がないだけなのだが…

 

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