コロナ後の世界

筆者:イノベーションズアイ編集局  経済ジャーナリストA

新型コロナウイルスの感染拡大が、世界の経済社会に大きな影響を及ぼしています。生活スタイルや働き方は大きく変化し、先行きを見通すことも非常に難しくなっています。ただ、コロナ禍以前から起きていた変化、例えば人口減少やグローバル化、デジタル化といった動きや脱炭素をはじめとする環境対策などがより進んでいく、ということは間違いなさそうです。しかし、そうした変化の中で何をするのかをみつけだすのは容易ではありません。だからといって、そのままにしておくわけにもいかない。本稿は、そんなコロナ後の経済社会を乗り切るための試行錯誤をテーマとし、随所で繰り広げられる取り組みや現象について、思い付きや独断と偏見で言及するものです。

  • 第46回  経済合理性に合致しない社会の声

    静岡市中心街の西側に安倍川という大きな川がある。この川は、普段はそれほど水の多いわけではない。が、江戸時代には安全保障上の配慮から橋がなかったため、対岸との往来は渡し船や川渡し人足に頼っていた。筆者は、江戸時代後期の戯作者で絵師でもある十返舎一九の“生誕の地”の近所に住んでいるのだが、その十返舎一九の著作「東海道中膝栗毛」には安倍川の渡しが「川ごしの 肩車にて われわれを ふかいところへ ひきまはしたり」という感じで登場する。

    経済合理性に合致しない社会の声
  • 第45回  街の衰退と地方都市の挑戦

    1年半前はまだ新型コロナウイルス禍もあり、マスクが欠かせなかった。静岡は地方都市にしてはすばらしく発展しているが、シャッターの閉まっている商店も多く、地方都市の厳しい現実をみたような気にもなった。

    街の衰退と地方都市の挑戦
  • 第44回  東証史上最高値更新も乏しい実感

    2月22日は「にゃんにゃんにゃん」ということで「猫の日」だった。近所(静岡県内)のスーパーなどではキャットフードの特売イベントが行われていたし、地元のテレビやラジオでも猫にちなんだ商品やサービスの紹介、猫に関する話題が多かった。

    東証史上最高値更新も乏しい実感
  • 第43回  減少を想定した“縮小戦略”という選択

    観光庁が1月17日に発表した2023年10~12月の日本での外国人旅行者の消費額は1兆6688億円、この結果、2023年通年では5兆2923億円となり、ともに過去最高を更新した。通年の消費額は新型コロナウイルス禍前の2019年比で9.9%増となっている。同日、日本政府観光局(JNTO)が発表した2023年の訪日観光客数は2506万人6100人で前年比6.5倍、2019年の8割程度まで回復している。円安などの強い追い風もあるが、この分野に限ればかなり順調にコロナ禍から回復したことになる。

    減少を想定した“縮小戦略”という選択
  • 第42回  どうする“伝わらない重要な情報”

    デジタル化がどれだけ進んでも、やはり情報を伝えるのは難しい。“伝えられる側が特に興味を示していないが重要な情報”である場合は特にそうだ。

    どうする“伝わらない重要な情報”
  • 第41回  デジタル化進み、危険もいっぱい

    いよいよ年末だ。来年の予定もちらほら入り始めている。そこで来年の手帳が必要なのだが、いまのところない。

    デジタル化進み、危険もいっぱい
  • 第40回  とにかくなんとかすべきは人手不足

    新型コロナウイルス渦からの回復基調が鮮明になってきた。筆者が住む静岡市も人流が大幅に回復し、週末などは市中も大勢の人でにぎわう。東京方面に帰省しようにも新幹線が思うように予約できないほど。感覚的にはもう元通りだ。

    とにかくなんとかすべきは人手不足
  • 第39回  「フィルターバブル」に埋もれたくない

    新型コロナウイルス禍前だったと思う。先輩がこんなことを言っていた。

    「フィルターバブル」に埋もれたくない
  • 第38回  AIのカスタマイズで歪むネット情報

    自分の行動からも、新型コロナウイルス禍はデジタル化を加速したと思う。

    AIのカスタマイズで歪むネット情報
  • 第37回  求められる中国依存からの脱却

    中国のバブル崩壊が取りざたされている。以前から景気後退が予想されてはいたし、不動産大手である中国恒大の経営危機は2年前からダラダラ続いた。不動産大手の遠洋集団もデフォルトが懸念されているとの報道がある。日本のバブル崩壊もそうだったが、こういうものはへんにネバると重篤化するだけに、いよいよの時が心配だ。

    求められる中国依存からの脱却
  • 第36回  言行に責任者不在、しかも制御不能のSNS

    SNSがビジネスに活用されるようになって久しい。いわゆる口コミの電子版といった形で、商品やサービスの宣伝・告知に大きな威力を発揮している。

    言行に責任者不在、しかも制御不能のSNS
  • 第35回  人口減少による経済縮小に不安

    人口減少は困ったことである。学校や病院が維持できなくなったり、新たなインフラ整備が難しくなってきた。

    人口減少による経済縮小に不安
  • 第34回  どうする?増え続けるIDとパスワード

    マイナンバーカードに関連するトラブルが続いている。地方自治体などによれば、5月からは一連のトラブルに起因するとみられるカードの返納も増えているとか。行政のデジタル化が強く求められる中で、どうにも困ったことだ。

    どうする?増え続けるIDとパスワード
  • 第33回  これまでとは違う潮流を見つけて伸ばす時!

    リニア中央新幹線の工事が、最大の難所である静岡工区で“難航”している。静岡工区は南アルプスの地下を通るトンネル工事だ。リニアが静岡県を通るのはこのトンネルのあたりだけで、県内に駅などができるわけではない。

    これまでとは違う潮流を見つけて伸ばす時!
  • 第32回  国や自治体の少子化対策に違和感

    新型コロナウイルス禍でデジタル化は大いに進んだ。地方の市役所でも“書かない窓口”を導入し、各種行政手続きを効率化することで窓口の混雑を解消する試みが行われ、それなりに成果も出ているとか。マイナンバーカードはトラブルが続いているが、これも問題点が解決できれば行政手続きも効率化が進むことだろう。

    国や自治体の少子化対策に違和感
  • 第31回  人流戻るもグローバル化の変質は加速

    さまざまな経済指標や統計数字も新型コロナウイルス禍が終焉し、アフターコロナの段階に入ったことを示している。

    人流戻るもグローバル化の変質は加速
  • 第30回  コロナ禍終焉で人出は増えても人手は増えず

    いよいよ新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ5類になった。

    コロナ禍終焉で人出は増えても人手は増えず
  • 第29回  投票率低迷でみえる日本の〝薄まる参加意欲〟

    都道府県の知事や議員、市町村の首長や議員を選ぶ統一地方選挙が終わった。統一選は4年に一度だが、いろいろな事情で選挙の時期がズレることも多い。とはいえ、今回も全国で約1000もの選挙が実施された。

    投票率低迷でみえる日本の〝薄まる参加意欲〟
  • 第28回  賃上げは必要だが、他の魅力も重要

    日本のようなスーパー高齢社会でインフレがいいのかどうかには議論があるものの、海外の状況などを踏まえると、ここで賃上げを何とかしなければ国力の面での先行き不安だ。

    賃上げは必要だが、他の魅力も重要
  • 第27回  ネット時代だからこそのリアル店舗とは

    福井県鯖江市はメガネフレーム生産で国内の9割以上ものシェアを有している。新潟県燕市はスプーンやフォークなど金属洋食器生産で同9割ともいわれる。

    ネット時代だからこそのリアル店舗とは
  • 第26回  「各自の判断」ができない日本人

    3年間に渡った新型コロナウイルス禍だが、ゴールデンウィーク明けには感染症法上の位置づけも変わり、季節性インフルエンザと同様の扱いになる。

    「各自の判断」ができない日本人
  • 第25回  景気は戻っても、経済は元のカタチには戻らない

    コロナ禍からの再起動もいよいよ本番といった感じになってきた。経済指標などをみると、コロナ禍の過去3年からは着実に復興しており、今年はコロナ前の2019年比でどうか、というところまできている。

    景気は戻っても、経済は元のカタチには戻らない
  • 第24回  コロナの後遺症? 悩ましい分断の構図

    新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類を、ジフテリアやコレラと同等の2類相当から、季節性インフルエンザと同じ5類に変更することが決まった。新型コロナウイルスには、正確には新型インフルエンザ等に対応するための特別措置法が適用されてきたが、ゴールデンウィーク明けからは5類。冬場に流行るインフルエンザと同じ扱いになる。

    コロナの後遺症? 悩ましい分断の構図
  • 第23回  地方への人口分散で個人消費の拡大も

    モノからコトへというが、サービスもそれほどは売れない。GDP(国内総生産)の約半分強を占めるのは個人消費だが、その減少傾向が顕著だ。人口が減少しているわけで仕方ない面もある。が、こうした傾向に拍車をかけている要因もある。

    地方への人口分散で個人消費の拡大も
  • 第22回  “人手”が事業の先行きを左右する時代

    景気の先行き不透明感が一層増している。とはいえ、まだ具体的な動きはみえていない。そういう意味では、先行きが良くないというマインドが強まりつつある、という感じだろうか。12月14日に日銀が発表した企業短期経済観測調査、いわゆる“日銀短観”によれば、全国の全産業のDIは6で、9月の前回調査より3ポイント上昇。前回時点の12月の予想より5ポイントも高い結果となった。

    “人手”が事業の先行きを左右する時代
  • 第21回  「灯台下暗し」とよくいうが…

    まだ来て2か月だが、ここはつくづく温暖なところだと感じる。東京と行き来する度に思うが、12月初旬段階では5度程度は暖かい。水もいい。食べ物は海産物を中心に新鮮な上に安価だ。そしてなにより、いつも大きな富士山が見える。

    「灯台下暗し」とよくいうが…
  • 第20回  増える借金 これ返済とかするの?

    財務省によると、国債と借入金、政府短期証券を合計した国の借金は2022年の9月末時点で1251兆3796億円だったという。これは、1年前より36兆2264億円の増加で、9月末として過去最大である。

    増える借金 これ返済とかするの?
  • 第19回  経済の原動力の一つ“欲望”の行方

    最近、テレビやラジオで“ユーミン”こと松任谷由実さんの特集がよく組まれている。それもそのはず。なんと、今年はデビュー50周年なんだという。そんなことも知らなかったのか、と言われそうな話だ。とはいえ、昭和40(1965)年生まれの筆者はユーミンを人並みには知っている。

    経済の原動力の一つ“欲望”の行方
  • 第18回  物価高対策は“補填”より“賃上げ”

    ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な原油高や穀物高が続く中で、一人負けのような円安に襲われている。円高に振るもための手立ても事実上ない。日本銀行による為替介入も、米国をはじめとする“相手国”に協調して是正する意志がない以上限定的だ。 新型コロナウイルス禍からの“復興期”だけに、みんな自国のことに一生懸命だ。そもそも、こういうときだけに通貨安のメリットはあまりない。

    物価高対策は“補填”より“賃上げ”
  • 第17回  全地域、全業種が一様だった時代の終焉

    2022年8月の有効求人倍率が1.32倍にまで改善したという。上昇局面としては2016年上期の水準と同等だ。人手不足は慢性的な感じもするが、数値で見る限り景気が回復しているという気になってしまう。

    全地域、全業種が一様だった時代の終焉
  • 第16回  高成長に向けた変革、個々は自分の身を守れ?

    新型コロナウイルス禍は収束に向かいつつある。日本でも感染者の全数把握を見直すことで、いよいよ経済社会はコロナ後の復興にむけて本格始動する格好だ。

    高成長に向けた変革、個々は自分の身を守れ?
  • 第15回  今こそ求められる〝稲盛さんの教え〟

    京セラ創業者である稲盛和夫氏の死去を悼む声が世界中に広がっている。京セラを一代で世界的な電機メーカーを育て上げた経営手腕、それを支えた「稲盛哲学」と呼ばれる考え方は、世界中の経営者から注目されてきた。訃報は国内外の報道機関から破格の大ニュースとして扱われ、国内の新聞各紙も評伝その他の記事を数ページにわたって掲載。その死を惜しんだ。

    今こそ求められる〝稲盛さんの教え〟
  • 第14回  ますます広がっているかも知れない情報格差

    2022年8月中旬。新型コロナウイルスの感染者は国内も全世界も過去最多で推移している。しかし、今夏は国内でも行動制限なしということで、いつもの夏が戻ってきた感じだ。とはいえ、やはり2年以上にも渡った断続的な行動制限や日常のコロナ対策は染みついていると感じる。

    ますます広がっているかも知れない情報格差
  • 第13回  世界はアフターコロナに移行 日本はどうする

    新型コロナウイルスの感染者が増えている。いわゆる第7波だ。3年ぶりの行動制限なしで夏休みを迎えつつあるだけに、この第7波の影響がどう出るのかが心配される。

    世界はアフターコロナに移行 日本はどうする
  • 第12回  事業再構築補助金が創出する市場や需要

    最近、「事業再構築補助金を活用してこの事業を始めた」という話をよく聞く。新型コロナウイルス禍で壊滅的な打撃を受けた居酒屋がスイーツ製造事業で復活したり、旅行会社が教育事業に参入したり…

    事業再構築補助金が創出する市場や需要
  • 第11回  複雑化する経済社会、“情報は疑う”を基本に

    食品の値上げが相次いでいる。中でも小麦や油脂類の価格上昇が目立つ。こうした値上げは世界中で起きているが、日本は食糧やエネルギー資源の大半を輸入に頼っているだけに深刻度は高い。まずいことに、円安も進んでいる。改めて思うが、日本はこういう事態に相変わらず弱い。しかも、近年はそういう構造上の欠点を補おうという議論も少ない。多いのは“金をくれ”みたいな話ばかり。

    複雑化する経済社会、“情報は疑う”を基本に
  • 第10回  求められる本質を読み取るリテラシー

    新型コロナウイルス禍が起きる前までは、本(書籍)の販売は右肩下がりが続いた。電子書籍を加えた書籍全体でも減少傾向は変わりない。人口が減っているわけで、一人当たりの読書量が増えでもしなければ減少も仕方ない。その一人当たりの読書量もどうやら減っている。

    求められる本質を読み取るリテラシー
  • 第9回  国内回帰の機運高める世界の分断

    それにしても、資源や食糧が高いというのはこまった話である。世界の経済はここ2年以上も新型コロナウイルス禍で“休止状態”だった。いよいよ再稼働だ!という矢先にこれじゃ経済復興も思うように進まない。高いことに加え、供給自体に問題があるモノも多い。たとえば半導体だ。半導体の供給不足で、スマホやパソコンのような情報機器はもとより、自動車や家電製品の生産も思うように進まない。

    国内回帰の機運高める世界の分断
  • 第8回  DXより前に求められる自らの将来像

    デジタル化、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めよう!というようなことが言われるようになって久しい。思い起こせばいろいろと名前も変わってきたもんだ。インターネットの活用や携帯電話・スマートフォンの普及など、はかばかしく進んだものもある。新型コロナウイルス禍はこうした流れを加速した感がある。たとえばキャッシュレス化であるとか、通信販売やオンライン会議、電子認証なども日常的になってきた。

    DXより前に求められる自らの将来像
  • 第7回  “ロシア制裁”は原油高との闘い

    新型コロナ禍に続くロシアのウクライナ侵攻で原油の歴史的な高値が続いている。米ニューヨークで取引されるテキサス州西部を中心とした地域で産出される原油の先物、いわゆるWTI原油価格は3月以降コンスタントに1バレルあたり100ドルを上回る水準が続く。こうした価格の推移は原油に限ったものではない。金属や小麦粉などさまざまなものが程度の差こそあれ高騰している。

    “ロシア制裁”は原油高との闘い
  • 第6回  雇用の喪失は心配だが、人出不足も心配

    2022年3月に発表された有効求人倍率は1.20倍。前月比0.03ポイントの上昇ということで上昇傾向にはあるものの、思ったほどではないという印象だ。もっと上昇するかと想像していた。まん延防止等重点措置の全面解除などで新型コロナウイルス禍の収束期待が高まっているとはいえ、様子見が続いているということだろうか。

    雇用の喪失は心配だが、人出不足も心配
  • 第5回  わからないからこそ挑戦! でも知らないはダメ

    デジタルと何かの融合で何かが始まる。イノベーションは知と知の結合で生まれる“結合知”である。通販や事務処理を自動化することがDXだと思ってはいけない。どうせ誰にもわからないのだから、わからない前提でいろいろと挑戦することが重要だと感じる。

     わからないからこそ挑戦! でも知らないはダメ
  • 第4回  ハラスメントの深刻化と信頼関係の希薄化

    パワハラ防止措置が、組織内のコミュニケーションを阻害し、個々の信頼関係の希薄化に拍車をかけないことを願いたい。

    ハラスメントの深刻化と信頼関係の希薄化
  • 第3回  ソーシャルディスタンスの定着って…

    共感や理解に基づいた言葉が多用されているという。共感とは感情の共有だ。デジタル時代だからこそ、感情をしっかり伝え合う必要が出てきている、ということらしい。

    ソーシャルディスタンスの定着って…
  • 第2回  分化を分裂や分断にしないための想像力

    へんなマスコミの報道に振り回されず、へんな思い込みにとらわれず、いまこそ想像力を働かせよう

    分化を分裂や分断にしないための想像力
  • 第1回  デジタルで変わるコミュニケーションの功罪

    はやく気兼ねなく会食や飲み会ができる日々がこないものか。もちろん、そこに知を持ち寄り、イノベーションを巻き起こしたいからだ。ということにしておこう。まあ、そういう日常があったコロナ前もイノベーションは起きていないような気はするのだが…

    デジタルで変わるコミュニケーションの功罪

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