コロナ後の世界

第13回

世界はアフターコロナに移行 日本はどうする

イノベーションズアイ編集部 2022年8月2日
 
新型コロナウイルスの感染者が増えている。いわゆる第7波だ。3年ぶりの行動制限なしで夏休みを迎えつつあるだけに、この第7波の影響がどう出るのかが心配される。

現下の感染の再拡大はなにも日本に限ったことではない。海外でも感染が拡大しているところは多い。しかし、今回は海外と日本でその対応が大きく異なりつつある。日本の対策は諸外国に比べてへんなところが厳格で、融通の利かないのだ。しかも、厳格でありながら効果のほどは怪しげだ。諸外国と違って手指消毒やマスクの着用、検温といった対策の励行度合いは他国とは比較にならない高さだろう。にもかかわらず、感染者数は過去最高を更新している。

対策が間違っているのかどうかは関知しないが、結果をみる限りろくな効果は出ていない、としかいえない。にもかかわらず、検査を受けろだの濃厚接触者でさえ5日やら3日やらの(自主的とはいえ)隔離が求められている。もっとも、こうした要請は法に基づいている。新型コロナウイルス感染症は新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正して同法等の対象に加えた。感染症法の2類に相当する対策が必要とされている。これは結核と同じ扱いだ。

感染症法は数字が小さいほうが重大で、厳重な管理が求められる。ちなみにコレラや赤痢、腸チフスは3類、狂犬病やマラリア、最近感染拡大が心配されているサル痘は4類。つまり、コロナはコレラやマラリアなどよりもいろいろと大変なのだ。こうした中、全国の都道府県知事が集まる会合でこのほど“コロナの位置付けを“2類相当から季節性インフルエンザと同等の5類相当に引き下げるべきだ”とする提案がなされた。国は「感染が拡大する中でそうした考えはない」(官房長官)としているが、感染拡大しているからこそそうした議論が必要ではないかと思う。

なにせ、2類となれば感染者の隔離はもちろん、濃厚接触者についても隔離や報告を求めることになる。発症していれば隔離病棟に入院が必要だ。感染が拡大すれば発症者も増える。2類のままだと感染拡大期にはいちいち病床使用率も増え、医療現場を圧迫する。しかもこのルールは、死者数や重症者数の推移は問わない。新型コロナが弱毒化しているかどうかはともかく、ワクチン接種が行き届き、治療薬も出始めているコロナをいつまで2類という重大感染症に位置付け続けるのか。この問題は、ルールをよく守り、守らないと村八分になりかねない日本にとっては大きな課題だ。


最近は、経済活動と感染防止の両立、ということがいわれているが、法的な位置づけを変更しない限り、抜本的には変わらない。その点、欧米は現実的だ。死亡率や重篤化率、ワクチンや治療薬の動向などを勘案して、制限を大幅に解除している。たとえば日本と同様に感染者数が拡大しているオーストラリアは、感染者の積極的な追跡をやめるなど、対策の大幅な緩和を断行した。コロナ対策の多くは規制などから自己責任に移行する。狙いは経済復興だ。


日本経済はだいぶ疲弊している。表面上は見えないが、赤字公債の多量発行と引き換えに莫大な費用がコロナ対策に投じられてきた。世界情勢の変化もあり、史上まれにみる原油高、穀物高だが、これに近年まれにみる円安が追い打ちをかけている。世界的にもまれな赤字大借金国である日本は、頼みの綱であった外国とのやり取りの中での収支である「経常収支」も赤字化した。コロナ対策はどうでもいい、と言っているわけではない。この世界の中で稼ぐ力さえなくなりつつあることに大きな不安を感じている。


日本人は自己責任意識に乏しい半面で、ルールは守る。そのルールがどんなものかに関わらず、守らない人にも厳しい。本質を追求することはあまりなく、どうでもよさそうな不毛な努力が盛大に展開されやすい。


日本ではここ10年、コーポレートガバナンスの拡充が進められてきた。当初は遅々として進まなかった仕組みづくりだが、東京証券取引所の上場基準やガイドラインなどの整備を通じ、いまでは大半の企業が“複数の社外取締役を置く”など準拠体制を整えている。コーポレートガバナンスを充実させることの目的は“企業が稼ぐ力をつける”ことだ。しかし、仕組みを整えても効果が出ていないところが多い。それもそのはず。“ルールに則り体制を作っただけ”だからだ。稼ぐ力などつくわけがない。まさに「仏作って魂入れず」という感じだ。


コロナ対策もルールのためのルールになっていないか。何のためのルールなのか。どういう結果を目指しているのか。きちんと考える時にきている。



経済ジャーナリスト A


 
 

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