鳥の目、虫の目、魚の目
筆者:イノベーションズアイ編集部 経済ジャーナリストM
気候変動、パンデミック(世界的大流行)、米中対立、デジタル革命などがもたらす新常態への備えが欠かせない時代になりました。高いところから全体を俯瞰する「鳥の目」、目線を低くして近づいてみる「虫の目」、流れを見る「魚の目」、つまり視野の広さ、現場主義、時流を見極める力が求められます。顧客や社会から支持されるために役立つ情報を幅広く執筆していきます。
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第23回 人手不足の今こそ「人を生かす」経営が求められる 成長産業への労働移転で日本経済を再生
人手不足が日本経済を回復させる足かせになっている。人口減少や高齢化が加速し、2022年の就業者数は新型コロナウイルス禍前の19年水準に届かなかった。従業員の休業手当を払う企業を支援する雇用調整助成金は危機対応として一定の効果を上げたものの、成長産業への労働移動を阻んだともいわれる。産業・企業の新陳代謝を促し、日本経済を再生するためには「人を守る」から「人を生かす」経営に舵を切る必要がある。
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第22回 賃上げや住宅支援など子供を育てやすい環境整備を 人口減少に歯止めをかけ経済成長へ
日本の出生数が急減しており、2022年の出生数は初めて80万人を下回ったようだ。少子化の進行は生産年齢人口の減少を意味し、経済を停滞させるのは間違いない。人口減少に歯止めをかけることが喫緊の課題であり、もはや子育て支援は待ったなしだ。
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第21回 賃上げで経済成長の好循環をつくる好機 優秀人材の確保で企業収益力は上昇
新春恒例の賀詞交歓会などに出席した企業トップから賃上げに理解を示す発言が相次いだ。物価高で賃金がじわじわと目減りする中だけに労働者からは「給料が上がる」と期待が高まるばかりだ。23年は30年近くも賃金が上がらない停滞から脱し、持続的な賃上げの起点となる絶好の機会を迎えたといえる。
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第20回 稼ぎ方を忘れた株式会社ニッポン 技術力で唯一無二の存在を生かして価格優位をつくり出せ
日本企業は稼ぎ方を忘れてしまったのではないだろうか。利益より顧客第一主義を意識しすぎて、取引を続けるため顧客の言い値で売っていると危惧してしまう。
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日本の稼ぐ力が弱まっているのは間違いないようだ。海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字が縮小しているからだ。
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第18回 リスクを取らなければ成長しない。政府・日銀は機動的な金融政策を
政府・日銀は9月22日、24年ぶりの円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った。円安を止めるため「伝家の宝刀」を抜いたことで、外国為替市場では1ドル=145円台から140円台まで急速に円高・ドル安が進んだ。
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第17回 企業は稼いだお金を設備と人への投資に回せ 競争力を高め持続的成長へ
2021年度の企業の内部留保(利益剰余金)が前年度比6.6%増の516兆4750憶円と初めて500兆円を超えた。これで10年連続で過去最大を更新し、11年度からの増加率は約8割にのぼる。
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第16回 インパクト・スタートアップが日本再興の起爆剤 利益と社会課題解決を両立
「インパクト・スタートアップ勉強会」開催の案内が届いたのでのぞいてみた。クラウドファンディングサービスのREADYFOR(レディーフォー)の米良はるか代表取締役CEO(最高経営責任者)、プログラミング教育のライフイズテックの水野雄介代表取締役CEO、保育施設支援のユニファの星直人取締役CFO(最高財務責任者)が登壇し、世界的トレンドから国内での取り組みを解説した。
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日本のプロ野球が面白い。剛速球を投げ込む投手と、それに対しフルスイングで対抗する打者の真っ向勝負が見られるからだ。エース(主戦投手)対主砲(長距離打者)だけでなく、全ての対決で楽しめる。
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第14回 日本経済の再興には「人をつくる」しかない 人材投資で産業競争力を強化
なぜ、ここまで日本は弱くなってしまったのだろうか。外国為替市場で円が24年ぶりの水準に落ち込む中で株価も下げる「日本売り」を嘆いているわけではない。日本の産業力の衰退を見透かされての円安・株安といえるからだ。
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2つの「Z」が気になる。一つはウクライナに侵攻するロシア軍の戦車などに書かれた「Z」の文字。テレビなどの映像に映し出されるといらだちを覚えるのは私だけではないだろう。一刻も早く「Delete」してもらいたい。もう一つは「Z世代」の「Z」だ。こちらはぜひとも仲良くしたいし、取り込みたいと思うのではないだろうか。新型コロナウイルス禍で商機を逃した企業ほど、Z世代の特徴を把握・理解し勝機をつかむ必要がある。
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ロシアからの一方的かつ唐突に〝戦争〟を仕掛けられたウクライナが徹底抗戦し、一歩も引かない。同国のゼレンスキー大統領のリーダーシップのたまものといえ、その発言からはリーダーとしての覚悟が伝わってくる。その闘将に率いられた愛国心みなぎる同国軍兵士、国民の士気も一向に衰えない。頼もしい限りだ。まさにナポレオンが発したといわれる「一頭のオオカミに率いられた百頭の羊の群れは、一頭の羊に率いられた百頭のオオカミの群れに勝る」そのものだ。
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3年ぶりに観客を入れて大阪で開催された今年の大相撲春場所は3月27日、新関脇、若隆景の初優勝で幕を閉じた。開催中にNHKの相撲中継に解説者として呼ばれた元横綱、白鵬の真垣親方は「型を持つこと」の重要性を何度も説いた。
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第10回 ベンチャー育成、先輩経営者がメンタリングで支援 出る杭を打つことで日本経済に刺激
21年のIPOは125社で、07年以来14年ぶりに100社を超え活況だった。ベンチャーの上場は日本経済に刺激を与えるので22年以降も「100社超え」を続けてもらいたい。そのためには世界を見据えるベンチャーの登場が待たれるし、出る杭を伸ばすサポート体制を整える必要もある。
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第9回 コロナ禍で鎖国の日本 外国人材に「選ばれる」仕組づくりを
かつて技能実習生の最大の送り出し国だった中国も高齢化などによる人手不足から外国人を採用する側に回り、今後は激しい人材獲得競争も予想される。他のアジア諸国も経済が成長すれば日本で働く魅力も薄まる。認められていない家族帯同など条件面を改善しなければ日本が避けられるようになる。日本行きの希望者がいる今のうちに人材争奪戦で「選ばれる国」になるだけの魅力を再整備する必要がある。人手不足に悩む企業も同じで、待遇改善などにより「フラれない」努力が欠かせない。
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第8回 「御社の志は何ですか」社会が必要とする会社しか生き残れない
自分の会社のパーパス(志)は何か
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第7回 大企業病を患うな 風通しのよい組織を、思い込みは危険
ビジネスモデルや事業戦略は強いつもりで弱くないか。提供する製品・サービスを愛するファンは多いつもりで少なくないか。社員のモチベーションは高いつもりで低くないか。「つもり違い」は企業成長を阻害するのは間違いない。一度考えてみる必要がある。
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第6回 常識を疑え、ニーズに応えるな ベンチャー成功のキラースキル
2021年のIPO(新規株式公開)の企業数は125社と前年比32社増加し、IPOブームに沸いた06年の188社以来の多さとなった。100社を超えるのは07年以来14年ぶりだ。新型コロナウイルス禍で進むDX(デジタルトランスフォーメーション)や脱炭素などを手掛けるベンチャー企業の上場が相次いだ。ESG(環境・社会・企業統治)に関連した企業も目立った。
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第5回 トップを目指すなら群れるな 統率力と変革の気概を磨け
新型コロナウイルス禍で露呈した日本の政治と行政の停滞、デジタル化の遅れが日本経済の地盤沈下を招いた今、変革というリスクを取らず官僚的な前例踏襲になりがちな順送り人事でいいのだろうか
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第4回 脱炭素への対応が勝ち残りの道、事業構造の転換に本気に取り組むとき
現状の社会経済システム下での強者といえども脱炭素社会で勝ち残るとはかぎらない。むしろ脱炭素への事業構造転換を果たした企業が勝者になる。
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第3回 東芝VSソニー 複合経営は是か非か 稼ぐ力をつけることこそ肝要
多くの事業を抱える複合企業(コングロマリット)の価値が、事業ごとの価値の合計に比べ過小評価される「コングロマリットディスカウント」の解消を目指す。
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10月31日に投開票された衆議院議員選挙は自民党が単独で、国会の安定運営に必要な絶対安定多数を獲得した。岸田文雄政権が国民から信任を得たことで、国民への情報発信力と説明力がますます重要になる。政府と国民をつなぐ広報力が問われるともいえる。その広報においてトップこそが最大の広報マンだ。国においては岸田首相にほかならない。
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第1回 リーダーに求められるのは発進力 強い意志と覚悟で危機に挑む
新型コロナウイルスと安全保障という難題を抱えるなかで、第100代首相に岸田文雄・自民党総裁が就任した。経済の「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義」の実現を目指すと強調し、所信表明演説では「国民の声を真摯に受け止める」「国民に丁寧に説明する」と繰り返した。