外国人採用支援会社のフォースバレー・コンシュルジュの柴崎洋平社長は「日本を働く場として選んでくれた外国人が日本を嫌いになる技能実習のスキームは廃止し、特定技能が補えばいい」と指摘する。その上で「国内外の悪質なブローカーや受け入れ企業を徹底排除する必要がある」と強調する。さらにアジア新興国の大卒者を日本企業に迎え入れる「柴崎メソッド」を開発した。日本で働きたい高学歴の若者の夢をかなえられるといい、地方企業でも大卒人材を採用できる。
ウイン・ウインを構築できるメソッドの仕組みはこうだ。企業の所在地や職種、報酬と求職者の居住国の賃金水準、日本文化との親和性など定量化された指標をチェックしていくと、外国人材を獲得するうえでお勧めの国・地域が表示される。従来の外国人材獲得といえば「なんとなく」という感覚論に基づき国・地域を選んだり、ブローカーの言いなりで採用したりするケースが多かった。このため企業にとって本当に欲しい人材を採用できなかった。日本で就職した外国人も最低賃金で働かされることへの不満や文化の違いなどから職場や地域社会とトラブルを起こすこともあった。こうしたバッドケースをなくせるというのだ。
感覚論ではなく定量的データに基づき、その上で企業のニーズにあった最適国・地域から最適な在留資格で受け入れることができる。選ばれた外国人は待遇や環境への満足度が高く、しかも親日なので日本人との共生も図れる。柴崎氏は「特定技能は学歴要件がないので、このままでは技能実習と同じく18歳以上の中卒・高卒の外国人を迎え入れることになり、最低賃金で働かされかねない。バッドケースにつながる」と言い切る。
かつて技能実習生の最大の送り出し国だった中国も高齢化などによる人手不足から外国人を採用する側に回り、今後は激しい人材獲得競争も予想される。他のアジア諸国も経済が成長すれば日本で働く魅力も薄まる。認められていない家族帯同など条件面を改善しなければ日本が避けられるようになる。日本行きの希望者がいる今のうちに人材争奪戦で「選ばれる国」になるだけの魅力を再整備する必要がある。人手不足に悩む企業も同じで、待遇改善などにより「フラれない」努力が欠かせない。