明日を生き抜く知恵の言葉
筆者:イノベーションズアイ編集局 ジャーナリスト 加賀谷 貢樹
取材とは人との出会いであり、言葉との出会いでもある。取材相手が語った言葉を文章にしようと格闘する中で書物にも触れ、改めて気付かされることが多い。その気付きを今日的な文脈に置き換え、明日を生き抜くためのどんな教訓が読み取れるのかを考えてみたい。
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第32回 名将に学ぶ「上司学」⑫部下を感動させた名将・名君の「神対応」①
戦国・江戸時代の名将や名君が示した部下への驚くべき配慮と深い洞察から、現代のリーダーシップに活かせる教訓を探る。若者の大失敗を叱るどころか称賛した板倉重矩、部下の些細なミスを根回しで解決した松平信綱──二人の名君のエピソードをもとに、心理的安全性や感情知能(EQ)、危機管理意識がどのように信頼を築き、組織を強くするのかを深く掘り下げる。
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第31回 名将に学ぶ「上司学」 ⑪組織に和をもたらすリーダーのあり方
「度量の広いリーダーのもとで部下たちが仲睦まじくしていれば」の部分の書き下し文は、「上(かみ)和し下(しも)睦(むつ)めば」となる。文字通りには「和し」を「調和し」としたいところだが、どうしても文章がこなれない。そこで「上和し」という部分を、「度量の広いリーダーのもとで」と思い切って意訳した。
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第30回 名将に学ぶ「上司学」⑩名将・名君は組織の和をどうはかったか
時は江戸時代、徳川第4代将軍・家綱の治世にさかのぼる。第3代将軍の家光と家綱に仕え、知恵者と評判の高かった松平信綱(まつだいら・のぶつな)が老中を務めていた。明暦3(1657)年1月18日に江戸で「明暦の大火」が起きる。「振袖火事」ともいわれるこの大火で、火災は江戸全市におよび、焼死者は10万人を超えたという。以下、童門冬二『災対本部での席順・酒井忠勝』(一般財団法人消防防災科学センター 季刊「消防科学と情報」No.115〈2014年冬号〉所収)を参考に、エピソードを紹介する。
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聖徳太子が定めたと伝えられる十七条憲法以来、和を重んじることは日本人の美徳として語り継がれてきた。ところが、企業経営や組織運営の実務として、和を保つことは非常に難しい。前回記事でエピソードを紹介した真田幸村が、あるときこんな話をしたという。「昨日まで忠義の士(さむらい)だと思っていた者も、主人の好みが変われば、たちまちそれに合わせて機嫌を取り、気に入られようと思うものだ。
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第28回 名将に学ぶ「上司学」⑧名将たちは「人の目利き」を通して何を見極めたのか
前回記事で、かつて名将たちが実践していた「人の目利き」とはどんなものだったのか、そして彼らはどんな「ものさし」で人を見ていたのかについて記した。今回は、こうした「人の目利き」を通して、名将たちはいったい何を見極めようとしていたのかについて深掘りしていきたい。
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第27回 名将に学ぶ「上司学」⑦「人の目利き力」なきリーダーは組織戦に勝てない
若くして将来を嘱望されて織田信長の婿になり、のちに豊臣秀吉に仕えて数々の武功を上げ、会津百二十万石を与えられた蒲生氏郷(がもう・うじさと)について、こんなエピソードがある。
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第26回 名将に学ぶ「上司学」⑥リーダーは「人の目利き」になれ
今から四百数十年前のことだ。豊臣秀吉に仕え、肥前国(ひぜんのくに/現在の佐賀県と長崎県)唐津城主を務めた寺沢広高(てらざわ・ひろたか)の使者が、筑前国(ちくぜんのくに/現在の福岡県の大部分)福岡藩主の黒田長政のもとを訪れた。
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第25回 名将に学ぶ「上司学」⑤職場に元気を取り戻す「6つの心得」
前回の記事で取り上げた「重職心得箇条」からは、今の組織にも通じる多くの教訓が読み取れる。読者の皆さんの中にも、自分が担当する部署やチームの雰囲気を変えたい、職場をもっと元気にしたいと思っている方がいらっしゃるのではないだろうか。そこで、今回は「重職心得箇条」から身近な話題を選び、日々の仕事の中で実践できそうな心得を、現代に合わせて読み解いていきたい。
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第24回 名将に学ぶ「上司学」④「人がついてくるリーダー」が大切にしていること
江戸時代から読み継がれている「上司の教科書」今から160年以上前に書かれた「上司の教科書」というべき文書がある。それは、江戸時代後期の著名な陽明学者・佐藤一斎(さとういっさい)が記した「重職心得箇条(じゅうしょくこころえかじょう)」だ。
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第23回 名将に学ぶ「上司学」③名将は「部下のモチベーションを高める達人」だ
今から約450年前のことだ。戦国時代の豊後国(ぶんごのくに/現在の大分県の大部分)に、戸次鑑連(べっきあきつら)という武将がいた。鑑連は、豊後大友氏の年寄(政務などに携わる重臣)を務め、のちに立花家を継いで筑前(今の福岡県)を治め、道雪(どうせつ)と号した。
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先日、旧知の経営者と数年ぶりに再会し「経営は心理ゲームだ」と彼が話すのを聞いて、なるほどと膝を打った。考えてみれば組織やチームの運営、なかでも部下指導や部下とのコミュニケーションは心理ゲームに似たところがある。
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厚生労働省の「能力開発基本調査(事業所調査)」(2022年6月)によれば、能力開発や人材育成に問題がある事業所の割合は76.4%(全産業、2021年度調査)。
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第20回 名将に学ぶ「心を通わす」リーダーの言葉③――名将は「自分の器」をどう広げたか
本シリーズ最終回の今回は、リーダーに必要な修養をテーマに取り上げてみたい。
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第19回 名将に学ぶ「心を通わす」リーダーの言葉②――名将たちは部下をどう叱ったか
読者の皆さんの中にも、部下の叱り方に悩むリーダーや上司がいるかもしれない。
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いつの世になっても、人は理屈では動かないし、おそらくそれは今後も変わらない。
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今回は古典の世界から離れ、今日的な問題として、お客様について考えてみたい。
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「知恵の言葉」を日々探しながら、古典をひもとくことが多くなった。
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前回、「挑戦し創造するマインドを取り戻せ」と題し、「大曽根語録」を取り上げた。それに対し、読者の方から「言い訳をさせないマネジメント」はパワハラの温床になるのではないかという意見をいただいた。まったくその通りであり、ご指摘に感謝したい。
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第14回 挑戦し創造するマインドを取り戻せ――ソニー「大曽根語録」に今学ぶもの
今回は、オーディオの歴史を少しさかのぼりながら、まだこの世に存在していない価値を作り続けてきた、ものづくり現場の知恵を紹介したい。
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最近、ある本を通じて「恩送り」という言葉に出会い、なるほどと膝を打った。
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第12回 ものづくりの「職人ことば」「現場ことば」が教えてくれるもの
サラリーマン時代、機械メーカー兼商社で産業機械や環境機械を扱っていた。顧客先の工場や環境プラントのほか、協力先の工場などにも足を運び、エンジニアやものづくり技能者に接する機会がたびたびあった。
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以前、ある雑誌の編集部から、世界的デザイナーのコシノジュンコさんへの取材依頼を受けた。東京都内某所にあるご自宅にお邪魔して取材させていただいたのだが、意外や意外、取材のテーマはファッションの話題ではなく、コシノさん流のおもてなしのコツだった。
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第10回 「木組み」は「人組み」――宮大工の口伝は最高のマネジメントの知恵
数百年に一度行われる名刹・法隆寺金色堂の大修理に加え、薬師寺の金堂および西塔を1300年前の様式で復元するという歴史的な大事業が、昭和の時代に行われた。
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第9回 感謝こそ最大の「心の報酬」だ――「やる気」を高め、「心に火をつける」マネジメントの...
昨年、ある東証一部上場IT企業の創業者に取材した際、面白い話を聞いた。その経営者は、東京・浅草の合羽橋にある料理道具専門店・飯田屋の飯田結太店主に会い、非常に感銘を受けたという。
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第8回 夢を見て前に進む「未来への意志」を取り戻す――「やる気」を高め、「心に火をつける」...
浜松市に、「ボールジョイント」という自動車部品の設計製造を手がけるソミック石川という会社がある。ボールジョイントとは、いわば自動車の「関節」で、サスペンションやステアリングに使われ、タイヤを正しい方向に保持して走行の安定性を高めたり、ハンドル操作をタイヤに伝える重要部品。同社は、そのボールジョイントで国内シェア5割を超えるトップメーカーだ。新聞取材で同社を訪れた際、石川雅洋社長(現・ソミックマネージメントホールディングス代表取締役社長)は、同社には「夢の木」という長期ビジョンがあると話して下さった。
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第7回 経営者も上司も親も悩む――「やる気」を高め、「心に火をつける」マネジメントの知恵①
アメリカの教育家・著述家のウィリアム・アーサー・ウォード(William Arthur Ward)の著作の中に、こんな言葉があるという。凡庸な教師はただ話す。良い教師は説明する。優れた教師は自分でやってみせる。偉大な教師は心に火をつける(The mediocre teacher tells. The good teacher explains. The superior teacher demonstrates. The great teacher inspires)
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第6回 企業の理念に込められた知恵【後編】――「未知未踏」への挑戦あるところに道は拓ける
企業の理念とひとくちにいっても、企業理念も経営理念もあれば、基本理念や創業理念という呼び方をする企業もある。社是や社訓、ミッション(使命)なども理念とひとくくりにされることが少なくない。この原稿では、それらをひとくくりにして、広い意味での理念として話を進めていきたい。
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第5回 企業の理念に込められた知恵【前編】――あなたの会社の「パーパス」 は何ですか?
昨年頃から、企業の存在意義を意味する「パーパス」が、企業経営におけるキーワードとして注目を浴びるようになってきた。
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第4回 ある中小企業で出会った「ダーウィンの言葉」と「青春訓」
マキャベリのいうように、人間の手に委ねられている運命が「残り半ば」なのか、10パーセントなのかはさておき、「われわれ人間の自由意志の炎」の力強さを、改めて思い知らされた。
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第3回 市場が厳しいときこそ、「利他の心」で世の中に役立つことをする
企業経営はオートバイと同じだ。前に進まなければ倒れてしまう
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第2回 幸之助さんの「日に新た」と孔子先生の「川上の嘆」、マキャベリの説く「運命」
起きてしまったことは変えようがない。だが、これからの運命は異なる。たとえ「残りの半ば」であっても、人間の手に委ねられた運命ならば、自ら切り拓いていける可能性がある。「われわれ人間の自由意志の炎」はけっして絶えていない。
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ある仕事で渋沢栄一の著書である『論語と算盤』や『論語』に触れる機会があった。久々に読み返した『論語』は、やはり知恵の宝庫だった。