コロナ後の世界

第34回

どうする?増え続けるIDとパスワード

イノベーションズアイ編集局  経済ジャーナリストA

 

マイナンバーカードに関連するトラブルが続いている。地方自治体などによれば、5月からは一連のトラブルに起因するとみられるカードの返納も増えているとか。行政のデジタル化が強く求められる中で、どうにも困ったことだ。

日本では、マイナンバーカードを巡って有史以来揉めている印象がある。当初は行政に自分のプライバシーが筒抜けになる、行動や収入が把握される、といった懸念がよく聞かれた。

もちろんその種の懸念は今もあるが、ここ最近はそれ以上に「間違った紐付け」や「暗証番号の流出によるトラブルが心配だ」といった声が強まっている。実際にそうしたトラブルが続いたのだし、仕方ない。

とはいえ、この種の電子システムにトラブルはつきものだ。当初は次々とトラブルも発生するが、それを乗り切らないといけない。当初からノントラブルというのはむしろ奇跡的ではないか。企業のシステムでもなんでも、当初はトラブルとの戦いだ。

政府が描いているマイナンバーカードの普及した社会は今より便利ではある。行政手続き等に係る費用やなにより労力が減る。欧州では利用も進み、そうなりつつある。どれだけ正確に、緻密にシステムを作って運営しても、トラブルは減少こそしてもなくなりそうにない。こういったものとどう付き合っていくのかを考えるほうが現実的だ。

そういう意味では、利用者側の課題は多々ある。

多くの機能を一つにまとめた方が便利になることは間違いないのだが、それがないとなにもできなくなる、というリスクがある。ここ10年で著しく多機能化したスマホなんかもそうだ。定期券や財布、スケジュール帳やアドレス帳、地図…などなど、スマホにはさまざまな機能が搭載されている。それこそスマホさえあれば、普段の生活はなんとかなりそうだ。

ところが、どこかに忘れたり、壊れたり、なくした場合は大変だ。そもそも、どことどういう契約をしていたかもわからないが、明日の予定もわからない。

スマホの場合、最近ではクラウド上で情報やデータを保管していこともあり、復旧はしやすくなってきた。マイナンバーカードは、このスマホとはだいぶ性質の異なるものだが、印鑑登録証や健康保険証、銀行のカードの一部みたいなものが一体化したものであり、紛失したらけっこう大変。毎日使うものではないだけに、厳重に仕舞い込んで見つからない、というのもこまる。

我が身にとっても、いわゆる一極集中によるリスクをどう補うのか、は大きな課題だ。万が一に備え、スペアーキーを隠しておいたり、泥棒対策で財布や重要書類を分散して仕舞い込む、という対策をとってきた。が、全てがひとまとめだとそうもいかない。どうしたものか。

将来的には、生体認証などで解決できそうな話ではある。が、とりあえずはカードで認証する。おもえばカードもずいぶんたくさんある。銀行のキャッシュカードだけでも数枚、クレジットカードも数枚ある。IDカードや病院の診察券、何かの会員証とかも入れると何十枚だ。しかもそれらにはパスワードがある。

パスワードといえば、ネット上のさまざまなサービスにもつきものだ。何十ものパスワードをカードやサービスと紐付けて記憶し続ける自信はない。

ならばまとまった方がいいではないか?

でも、万一の際の被害は絶大。非常に困っている。

以前、専門家にこうした課題の解決策を聞いたことがある。その答えは、なんと「紙に書いてしまっておくのがいい」というものだった。

あれから5年。いまはもっといい方法があるのだろうか。


経済ジャーナリストA


 

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