第104回
育児介護休業法の改正と助成金の活用 ~中小企業経営者が知っておくべき2025年の大きな変化~
一般社団法人パーソナル雇用普及協会 萩原 京二
はじめに
「また法律が変わるのか」。そんなため息が聞こえてきそうですが、2025年10月から施行される育児介護休業法の改正は、中小企業の経営者にとって決して無視できない重要な変化です。この改正は単なる法的義務の追加ではなく、これからの時代を生き抜く企業にとって、人材確保と定着の大きなチャンスでもあります。
少子化が進む中、働く人々の価値観は確実に変化しています。特に若い世代にとって、仕事と家庭の両立は就職先を選ぶ上で最重要の判断基準の一つとなっています。コロナ禍を経験したことで、多くの人がライフワークバランスの大切さを実感し、柔軟な働き方を求める声はますます強くなっています。
今回の法改正を「面倒な義務」として捉えるか、「会社の魅力を高める絶好の機会」として活用するか。その選択次第で、あなたの会社の未来は大きく変わるかもしれません。本コラムでは、法改正の内容から具体的な対応策、そして活用できる助成金まで、中小企業の経営者が知っておくべき情報を分かりやすくお伝えします。
1.育児介護休業法改正の背景と概要
<なぜ今、法改正が必要なのか>
日本の少子化は想像以上に深刻です。2023年の出生数は過去最少を更新し、このままでは労働力不足はさらに深刻化します。政府が働き方改革や男女の両立支援に本腰を入れるのは、まさに国の将来がかかった緊急事態だからです。
特に問題となっているのが、3歳から小学校入学前の子どもを持つ働く親の状況です。保育園に預けることはできても、朝の送り迎えや急な発熱による迎えなど、フルタイムで働くには様々な制約があります。従来の育児休業制度では3歳までの支援が中心でしたが、実際には3歳以降も柔軟な働き方のニーズは高く、この「3歳の壁」が多くの優秀な人材の退職につながっていました。
<2025年10月改正の具体的な内容>
今回の改正で最も注目すべきは、3歳から小学校就学前の子どもを持つ従業員に対する新たな義務の追加です。企業は以下のような柔軟な働き方の選択肢を提供することが求められます。
まず、勤務時間帯の調整です。従来の9時から5時という固定的な勤務時間ではなく、従業員の事情に合わせて始業・終業時刻を調整できる制度の導入が義務となります。例えば、保育園の送迎に合わせて8時から4時の勤務や、10時から6時の勤務を選択できるような仕組みです。
次に、テレワークの導入です。新型コロナウイルスの影響で一気に普及したテレワークですが、今回の法改正により、子育て中の従業員にとっては単なる選択肢ではなく、企業側が検討すべき重要な制度として位置づけられました。
さらに、短時間勤務制度の拡充も求められます。現在でも3歳までの短時間勤務制度はありますが、3歳以降も継続できるような制度設計が必要になります。
年10日以上の育児目的休暇の創設も新たな要求事項です。有給休暇とは別に、子どもの行事参加や急な病気対応のための休暇制度を設けることが推奨されています。
<中小企業への影響と課題>
大企業と比べて人員に余裕がない中小企業にとって、これらの制度導入は確かに負担に感じられるかもしれません。しかし、見方を変えれば、これは中小企業が優秀な人材を確保し、長期間働いてもらうための強力な武器になり得ます。
大企業に比べて給与や福利厚生で劣る中小企業でも、柔軟な働き方を提供することで「働きやすさ」という新たな競争力を身につけることができます。特に子育て世代の優秀な人材は、高い給与よりも働きやすさを重視する傾向が強く、中小企業にとっては大きなチャンスと言えるでしょう。
2.中小企業が導入すべき具体的な施策
<まずは現状把握から始めよう>
法改正への対応を始める前に、まずは自社の現状を正確に把握することが重要です。現在、3歳から小学校就学前の子どもを持つ従業員は何人いるでしょうか。また、今後数年間でそうした従業員がどの程度増える見込みでしょうか。
従業員の声を聞くことも大切です。匿名のアンケートを実施して、どのような働き方のニーズがあるのか、現在の制度で困っていることはないかを調査してみましょう。意外な声が聞こえてくるかもしれません。
<段階的な導入計画の立案>
すべての制度を一度に導入する必要はありません。まずは自社にとって導入しやすい制度から始めて、徐々に拡充していく段階的なアプローチが現実的です。
最も取り組みやすいのは時差出勤制度かもしれません。現在の勤務時間を基準として、前後1時間程度の調整を認めるだけでも、従業員にとっては大きなメリットになります。保育園の送迎時間に合わせた勤務が可能になれば、それまで諦めていた優秀な人材の採用も可能になるでしょう。
テレワーク制度の導入については、業務内容によって向き不向きがあります。営業や事務などのデスクワーク中心の職種であれば導入しやすいですが、製造業や接客業では工夫が必要です。完全在宅ではなく、週に数日だけテレワークを認めるハイブリッド型から始めることも一つの方法です。
短時間勤務制度については、既に3歳までの制度がある企業が多いでしょうから、それを小学校入学前まで延長することを検討してみてください。時間短縮分の業務をどのように分担するかが課題になりますが、他の従業員の協力や業務の効率化によって解決できる場合も多いものです。
育児目的休暇については、既存の有給休暇制度に加えて、子どもの行事や急な病気に対応するための特別休暇を設けることが考えられます。年10日程度であれば、それほど大きな負担にはならないでしょう。
<就業規則の見直しポイント>
新しい制度を導入する際には、就業規則の見直しが必要になります。これは法的な要件を満たすためだけでなく、従業員に制度の内容を正確に伝え、トラブルを防ぐためにも重要です。
時差出勤制度であれば、どの程度の時間調整を認めるのか、申請手続きはどうするのか、管理監督者の承認は必要かなど、具体的な運用ルールを明記する必要があります。
テレワーク制度については、対象となる業務や従業員の範囲、実施可能な日数や時間、業績評価の方法、費用負担の考え方など、より詳細な規定が必要になります。
重要なのは、規則を作って終わりではなく、実際の運用を通じて問題点を発見し、必要に応じて見直していく柔軟性を持つことです。最初から完璧な制度を作る必要はありません。
<従業員への周知と相談体制の整備>
どんなに良い制度を作っても、従業員に知られていなければ意味がありません。新制度の導入に際しては、全従業員への説明会を開催し、制度の内容と利用方法を詳しく説明しましょう。
また、制度を利用しやすい雰囲気作りも大切です。「制度はあるけれど使いにくい」という状況では、せっかくの投資が無駄になってしまいます。管理職への研修を実施し、部下が制度を利用することに理解を示し、積極的にサポートする姿勢を身につけてもらいましょう。
相談体制の整備も忘れてはいけません。制度の利用について相談できる窓口を設け、従業員が気軽に相談できる環境を整えることが重要です。人事担当者が兼任する形でも構いませんので、プライバシーに配慮した相談体制を作りましょう。
3.両立支援等助成金の詳細と活用戦略
<助成金制度の全体像>
新しい制度を導入するには当然コストがかかります。しかし、国は企業の取り組みを支援するため、「両立支援等助成金」という制度を用意しています。この助成金を上手に活用することで、制度導入の負担を大幅に軽減することができます。
両立支援等助成金は、育児や介護と仕事の両立を支援するための企業の取り組みに対して支給される助成金です。2025年10月の法改正に合わせて内容が大幅に拡充され、中小企業にとってより使いやすいものになりました。
助成金の魅力は、制度を導入するだけでなく、実際に従業員が利用した場合に支給されることです。つまり、形だけの制度導入ではなく、本当に従業員のためになる制度作りが評価される仕組みになっています。
<柔軟な働き方選択制度等支援コースの詳細>
最も注目すべきは、新設された「柔軟な働き方選択制度等支援コース」です。このコースは、今回の法改正に直接対応した助成金制度で、中小企業の制度導入を強力に後押しします。
対象となる制度は5つあります。フレックスタイムや時差出勤制度、テレワーク制度、短時間勤務制度、保育サービスの費用補助や手配、そして法定を上回る育児・看護休暇制度です。この5つのうち、2つ以上の制度を導入し、実際に従業員が利用した場合に助成金の対象となります。
重要なのは、単に制度を作るだけでなく、従業員が実際に利用することです。例えば、テレワーク制度を導入した場合、対象となる従業員が6か月間で合計20日以上利用する必要があります。これは決して高いハードルではありませんが、制度の実効性が問われる仕組みになっています。
支給額は制度利用者1人あたり20万円が基本ですが、5つの制度のうち複数を導入し、より充実した制度内容の場合は25万円に増額されます。1事業主につき最大5人まで申請可能なので、最大で125万円の助成を受けることができます。
<その他の助成金コース>
柔軟な働き方選択制度等支援コース以外にも、様々なコースが用意されています。
「出生時両立支援コース」は、男性従業員の育児休業取得を促進するためのコースです。男性従業員が子どもの出生後8週間以内に5日以上の育児休業を取得した場合に支給されます。近年、男性の育児参加への関心が高まっており、優秀な男性従業員の定着にも効果が期待できます。
「育児休業等支援コース」は、育児休業からの職場復帰を支援する制度に対する助成金です。育児休業中の従業員との定期的な連絡や、復帰後の業務調整などの取り組みが評価されます。
「育休中等業務代替支援コース」は、育児休業を取得した従業員の業務を代替するために新規雇用や派遣労働者の活用を行った場合の助成金です。最大125万円と高額になる場合もあり、人手不足に悩む中小企業にとっては非常に魅力的な制度です。
「介護離職防止支援コース」は、介護と仕事の両立を支援する制度に対する助成金です。高齢化の進展により、今後ますます重要性が高まるコースと言えるでしょう。
「不妊治療および女性の健康課題対応両立支援コース」は、不妊治療や更年期症状への対応を支援する新しいコースです。1人あたり30万円と比較的高額で、従業員の多様なニーズに対応する企業の取り組みが評価されます。
<助成金申請の実践的なポイント>
助成金の申請には、綿密な計画と準備が必要です。まず重要なのは、制度導入前に申請の流れと必要書類を確認することです。助成金の要件は年度ごとに変更される場合があるため、厚生労働省の最新情報を必ず確認しましょう。
制度を導入したら、すぐに社内への周知を行います。制度があることを知らなければ従業員は利用できませんし、利用実績がなければ助成金の対象にもなりません。説明会の開催や社内掲示板での案内など、様々な方法で周知を図りましょう。
利用記録の管理も重要です。誰がいつからいつまで制度を利用したのか、正確な記録を残しておく必要があります。テレワークであれば勤務報告書、時差出勤であれば勤怠記録など、客観的に証明できる資料を整備しておきましょう。
申請は従業員の制度利用開始から6か月後に行います。申請書類には就業規則、利用記録、面談記録など様々な書類が必要になりますので、早めに準備を始めることが大切です。
<助成金活用の戦略的な考え方>
助成金は単なる「お小遣い」ではなく、企業の成長投資として活用すべきものです。助成金を受けることで制度導入の初期負担は軽減されますが、その後の運用には継続的なコストがかかります。しかし、それ以上の価値を従業員満足度の向上や人材確保の面で得ることができれば、投資として成功と言えるでしょう。
また、助成金の申請過程で整備した制度や記録は、その後の人事労務管理の改善にも活用できます。従業員の働き方に関するデータが蓄積されることで、より効果的な人事戦略を立案することも可能になります。
重要なのは、助成金ありきで制度を考えるのではなく、まず自社にとって本当に必要な制度を検討し、その上で活用できる助成金があるかを確認するという順番を守ることです。本末転倒にならないよう注意しましょう。
4.10月施行後の実務対応と成功のポイント
<制度導入のタイミング戦略>
2025年10月から法改正が施行され、柔軟な働き方制度の提供が義務化されました。まだ制度を導入していない企業も、今からでも十分間に合います。助成金については、施行後の導入でも対象となりますので、慌てて不完全な制度を作るよりも、しっかりとした準備をして実効性の高い制度を導入する方が重要です。
ただし、助成金の申請には制度導入から従業員の利用実績まで一定の期間(6か月間)が必要です。早めに制度を導入すれば、それだけ早く助成金を受けることができます。また、優秀な人材の確保という観点からも、同業他社より先に柔軟な働き方を提供することで競争優位に立つことができます。
これから導入を検討する企業にとって理想的なスケジュールは、年内に制度設計を完了し、年明けから従業員への周知と試行運用を開始、春頃から本格運用に移行するという流れです。このタイミングであれば、制度の問題点を発見しながら改善し、夏頃には助成金の申請も可能になります。
<制度運用の成功要因>
制度を導入しても、うまく運用されなければ意味がありません。成功のカギは、経営者の明確なコミットメントと現場の理解・協力です。
まず、経営者自身が制度の意義を深く理解し、従業員に対してその重要性を明確に伝える必要があります。「法律で決まったから仕方なく」という姿勢では、従業員の心には響きません。「会社として従業員の働きやすさを真剣に考えている」というメッセージを一貫して発信することが重要です。
現場の管理職の理解も欠かせません。部下が制度を利用することで業務に支障が出ることを恐れる管理職もいるでしょうが、それは制度設計や業務分担の工夫で解決できる問題です。管理職向けの研修を実施し、制度運用のメリットと具体的な対応方法を伝えることが大切です。
また、制度を利用する従業員とそうでない従業員の間に不公平感が生まれないよう注意が必要です。子育て中の従業員だけが優遇されているという印象を与えないよう、すべての従業員にとってメリットのある制度設計を心がけましょう。
<トラブル防止と対応策>
新しい制度の導入には必ずと言っていいほど予期せぬ問題が発生します。重要なのは、問題を恐れて制度導入を躊躇するのではなく、問題が発生した時に適切に対応できる体制を整えておくことです。
よくある問題の一つが、制度利用者の業務量調整です。短時間勤務やテレワークを利用する従業員の業務を、他の従業員が肩代わりしなければならない状況が生まれることがあります。これを防ぐためには、事前に業務の見直しを行い、効率化できる部分は効率化し、必要に応じて人員の補充も検討する必要があります。
もう一つの問題が、制度利用に関する従業員間のコミュニケーション不足です。テレワーク利用者と出社者の間で情報共有がうまくいかない、時差出勤者との会議調整が困難といった問題が発生する可能性があります。これらは制度の問題というよりもコミュニケーションツールや運用ルールの問題なので、ITツールの活用や定期的なミーティングの設定などで解決できます。
<効果測定と継続改善>
制度を導入したら終わりではありません。定期的に効果を測定し、必要に応じて改善を重ねることが重要です。
効果測定の指標としては、従業員満足度、離職率、採用応募者数、残業時間の変化などが考えられます。これらのデータを定期的に収集・分析することで、制度の効果を客観的に評価できます。
従業員からのフィードバックも貴重な改善の材料です。制度を利用した従業員から具体的な改善提案を聞いたり、利用していない従業員からは利用しない理由を聞いたりすることで、制度をより使いやすいものに改善していくことができます。
年に1回程度は制度全体の見直しを行い、時代の変化や従業員のニーズの変化に対応していくことも大切です。固定的な制度ではなく、常に進化し続ける制度として捉えることが、長期的な成功につながります。
<よくある疑問と実践的な解決策>
制度導入にあたって、中小企業の経営者からよく寄せられる疑問と、その解決策をご紹介します。
「うちの業界では柔軟な働き方は無理」という声をよく聞きますが、工夫次第でどの業界でも何らかの制度導入は可能です。重要なのは、5つの制度すべてを完璧に導入する必要はないということです。製造業であれば時差出勤と育児目的休暇、接客業であればシフト制の柔軟化と短時間勤務など、業界の特性に合わせた組み合わせで十分効果的な制度になります。
「人手不足で余裕がない」という懸念についても、実は柔軟な働き方制度こそが解決策になり得ます。制度があることで、これまで働くことができなかった優秀な人材を活用できるようになりますし、従業員の定着率向上により採用・研修コストの削減にもつながります。
「管理が大変」という管理職の不安に対しては、「時間」ではなく「成果」で管理する方法への転換をお勧めします。チャットツールやプロジェクト管理ツールを活用することで、むしろ従来よりも効率的な管理が可能になる場合も多いものです。
助成金申請については、最初から完璧を目指さず、比較的簡単な制度から始めて段階的にレベルアップしていくことが現実的です。また、助成金は「おまけ」程度に考え、本来の目的である従業員満足度の向上や人材確保を重視することが大切です。
おわりに:新しい時代の経営への転換点
2025年10月から始まる育児介護休業法の改正は、単なる法的義務の追加ではありません。これは、日本の働き方そのものが大きく変わる歴史的な転換点なのです。
コロナ禍を経験した私たちは、従来の働き方が唯一の正解ではないことを学びました。テレワークの普及により、「会社に行かなければ仕事ができない」という固定観念は崩れました。時差出勤により、「みんなが同じ時間に働かなければならない」という常識も疑問視されるようになりました。
このような社会的な変化の中で、法改正は企業に新たな選択を迫っています。変化を恐れて従来の方法に固執するのか、それとも変化をチャンスと捉えて新しい価値を創造するのか。その選択が、企業の未来を大きく左右することになるでしょう。
中小企業にとって、この変化は決して乗り越えられないハードルではありません。むしろ、大企業に対抗する新たな武器を手に入れる絶好の機会です。給与や福利厚生では勝てなくても、働きやすさや人間関係の良さで優秀な人材を引き付けることができます。
両立支援等助成金の活用により、制度導入の初期負担も大幅に軽減できます。最大125万円の助成は、中小企業にとって決して小さな金額ではありません。この資金を活用して制度を充実させ、さらに多くの従業員に利用してもらうことで、投資効果を最大化することができます。
重要なのは、制度導入を「コスト」ではなく「投資」として捉えることです。短期的には確かにコストがかかりますが、長期的には従業員満足度の向上、離職率の低下、採用力の強化、生産性の向上など、様々な形でリターンが期待できます。
また、制度導入は一度やって終わりではありません。従業員のニーズの変化や社会情勢の変化に応じて、常に改善を重ねていく必要があります。この継続的な改善プロセスこそが、企業の組織力や適応力を高める貴重な経験となるでしょう。
21世紀のビジネス環境では、変化への対応力が企業の生存を左右します。技術革新のスピードは加速し、消費者のニーズは多様化し、働く人々の価値観も変化し続けています。このような環境で成功する企業は、変化を恐れず、むしろ変化を成長のエネルギーに変換できる企業です。
育児介護休業法の改正への対応は、そうした変化対応力を高める絶好の練習機会でもあります。制度設計、従業員との対話、運用上の問題解決、効果測定と改善といった一連のプロセスを通じて、組織としての学習能力や適応能力が鍛えられます。
最後に、経営者の皆さんにお伝えしたいのは、この変化を前向きに捉えていただきたいということです。確かに新しいことを始めるのは不安です。しかし、その不安を乗り越えた先には、従業員がいきいきと働き、優秀な人材が集まり、持続的に成長する企業の姿があります。
従業員一人ひとりが自分らしく働ける環境を提供することは、単なる法的義務を超えた、経営者としての使命でもあります。働く人々の幸せと企業の成長が両立する、そんな理想的な経営を実現する第一歩として、今回の法改正を活用していただければと思います。
変化の波は既に始まっています。その波に乗り遅れることなく、むしろ波を味方につけて大きく飛躍する。そんな企業が一社でも多く現れることを心から期待しています。
プロフィール
一般社団法人パーソナル雇用普及協会
代表理事 萩原 京二
1963年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒。株式会社東芝(1986年4月~1995年9月)、ソニー生命保険株式会社(1995年10月~1999年5月)への勤務を経て、1998年社労士として開業。顧問先を1件も持たず、職員を雇わずに、たった1人で年商1億円を稼ぐカリスマ社労士になる。そのノウハウを体系化して「社労士事務所の経営コンサルタント」へと転身。現在では、200事務所を擁する会員制度(コミュニティー)を運営し、会員事務所を介して約4000社の中小企業の経営支援を行っている。2023年7月、一般社団法人パーソナル雇用普及協会を設立し、代表理事に就任。「ニッポンの働き方を変える」を合言葉に、個人のライフスタイルに合わせて自由な働き方ができる「パーソナル雇用制度」の普及活動に取り組んでいる。
Webサイト:一般社団法人パーソナル雇用普及協会
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- 第17回 人材の確保・定着に活用できる助成金その2
- 第16回 人材の確保・定着に活用できる助成金その1
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