ララ・コンシェルジュ~女性起業家STORY~

第76回

自分らしく働ける社会を、ともに育てていく ~社労士と森林浴、二つの視点で“人”に寄り添う~

サポートプラス社会保険労務士事務所  長橋 知世

 

このコラムは、どん底を経験した女性がなぜ起業に至ったか、そして今何のために、どんな思いで働いているのかを、サポートプラス社会保険労務士事務所の代表を務める長橋知世がインタビューしていきます。

今回のゲストは、ネイチャー社会保険労務士事務所 代表  /  森林浴ファシリテーターの佐野悦子(さのえつこ)さんです。

ネイチャー社会保険労務士事務所 代表 / 森林浴ファシリテーター 佐野悦子さん

お仕事について教えてください

社会保険労務士として、企業の労務管理やIPO(新規株式上場)の支援を行っています。

同時に、森林浴ファシリテーターとして森の中で人と向き合う活動もしています。

少し変わった組み合わせだと思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

どちらにも共通しているのは「人の力を信じること」、そして、「自分らしく働ける場づくり」をサポートしたいという想いです。


社労士を目指したきっかけは?

私が社会に出たのは1992年。

当時は男女格差がまだ色濃く残っており、「女性だから」と補佐的な役割を求められるのが嫌で、女性が主役の場を求めてワコールに就職しました。

販売職を経て、次に選んだのは「女性が活躍しているかどうか」を基準にしたエステ業界でした。そこで管理部門を任されるようになったことをきっかけに、33歳で社労士資格を取得しました。

その後、金融ベンチャー企業のバックオフィスで働きましたが、そこはまさに男性社会。

「男性以上に働いてやっと同等」といった空気にやるせなさを感じていました。

厳しい上司に怒鳴られてトイレで泣いたり、会議で黙ってやり過ごしたり…。今となっては懐かしい苦い記憶です。

「働くにはこんな我慢が必要なんだ」と思いながらも、ずっと「今は“仮の自分”」と言い聞かせ、「ここではないどこか」を求めていました。


“本当の自分”を見つけられましたか?

40代半ばで出会った保育園運営の会社が、私の転機でした。

園を13園運営しながら上場を目指すその会社では、肩書よりも信頼でつながる関係がありました。

「自分が頑張ることで、誰かの役に立てる」「自分のままで仕事ができる」――そんな経験は初めてで、それまで常に力が入っていた私が、初めて、ふっと肩の力を抜けた場所でした。

人はやりがいや誇りを持って働くと、本当に変わるということ。

“人と組織”の関係性が、その人の力を引き出すのだと体感しました。

この会社での学びが、今の私の仕事の根っこになっています。


社労士として大切にしていることは?

社労士として大切にしているのは、制度を整えることだけでなく、その先にいる「人」がいきいきと働ける環境をつくることです。

どうすれば部下が力を発揮できるか、どうすれば組織に風が通るか。

そうした視点でコンサルティングや研修を行っています。

ご相談を受ける中で、「誰に聞いたらいいかわからなかったんです」と言われることも多く、モヤモヤした表情が少しずつほどけていく瞬間は、何度経験しても胸が熱くなります。

難しい言葉をかみ砕き、必要な情報を交通整理しながら、法律と人とのあいだにある“グレーゾーン”に現実的な着地点を見出す。

それが、私の強みであり、得意とするところです。


森林浴の活動について教えてください

忙しさの中で心を立て直す時間が必要だと感じたとき、森林浴と出会いました。

森の中で五感を開き、思考を手放す体験は、誰かと比べるでもなく、役割に縛られるでもなく、「ただそこにいる自分」を感じる時間です。

この体験を多くの人に届けたいと思い、森林浴ファシリテーターとして活動を始め、

今では企業研修にも取り入れています。

人が「本来の自分」に戻れる時間があるからこそ、発想が生まれ、行動の質が変わる。

だからこそ、これからも「仕事」と「自然」の両方から、人に寄り添っていきたいと思っています。


今後、佐野さんが目指していることは?

社会は今、大きな転換期を迎えています。

「女性の活躍」や「多様な働き方」が語られるようになったものの、実際には「男性的な働き方」が主流で、「未来志向で、ガンガン進める人」が評価されがちです。

でも、これからは「目の前の変化に丁寧に向き合う力」が求められ、女性ならではの感性や柔らかな視点が活きる時代になると思っています。

だからこそ、女性の働きやすさやウェルビーイングを含めた視点で、「自分らしく働ける企業づくり」を支援していきたい。

叔父が海外で長年キャリアを積んでおり、現在はその叔父との新たな取り組みも構想中です。

制度や仕組みを整えるだけでなく、一人ひとりの心の内側に“変化の風”を吹き込む。

これからも、その風を届け続けたいと思っています。




【社会保険労務士 / 森林浴ファシリテーター 佐野悦子さんのプロフィール 】

ネイチャー社会保険労務士事務所 代表
人事・総務・経理などの管理部門業務に長年携わり、制度設計から組織改善まで幅広く経験を積む。
2023年にネイチャー社会保険労務士事務所を設立。
企業の労務管理やIPO準備支援をはじめ、就業規則の見直しや従業員対応など、現場に寄り添ったサポートを行っている。
また、森林浴ファシリテーターとしての活動も展開。「自然の力を活かした働き方改革」をテーマに、企業研修やチームづくりへの新たなアプローチを提案している。


企業研修に取り入れている森林浴ファシリテーターとしての活動


今回インタビューした佐野悦子さんのことをもっと知りたい方は、こちら女性起業家デジタルBookをご覧ください

ネイチャー社会保険労務士事務所 代表 / 森林浴ファシリテーター 佐野悦子さん

 

プロフィール

【インタビュアー】
サポートプラス社会保険労務士事務所
セカンドキャリアの女性コミュニティ「ララ・コンシェルジュ」
アラフィフ女性に特化した人材紹介「ララ・ワーク」
代表 長橋 知世

静岡県立沼津東高校卒
立教大学社会学部観光学科卒

一般企業、商業高校の教員として勤務したのち、出産を機に退職し家庭に入る。

2児の子育てが終わってから、社会保険労務士資格を取得。

2018年に横浜で社労士事務所の開業に至る。

40代50代女性がもっと社会で活躍すべきと、セカンドキャリアの女性コミュニティを立ち上げ、一年でメンバー100名とする。

主婦はキャリアだと認められる社会を目指し、アラフィフ女性に特化した人材紹介業を立ち上げ、企業とのマッチングを進めている。

Webサイト:サポートプラス社会保険労務士事務所
      セカンドキャリアの女性コミュニティ「ララ・コンシェルジュ」
      主婦の就職支援「ララワーク

セカンドキャリアの女性コミュニティ「ララ・コンシェルジュ」とは、人生経験を積み、さまざまなキャリアを経験した女性の第二の人生を応援していくコミュニティです。

ビジネスセミナーや食事会、交流会など、プライベートを楽しみながらビジネスをひろげていくための機会を提供しています。

自己成長できる場、仲間づくり、協業できる環境であり、女性の新しい生き方を承認し、これから社会に踏み出す女性にエールを送りたいと思っています。

◆ララ・コンシェルジュについてはこちらから

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主婦はキャリア!

ララワークは、40代からの女性の再就職を応援します。
その方に合った就職先を一緒に探し、就職後もフォローアップします。
子育てがひと段落した主婦の方が、当たり前に活躍する社会を目指します!

◆ララワークについてはこちらから

 ・HP:主婦の就職支援「ララワーク」
     女性の採用「ララワーク」
 ・公式ライン:主婦の就職支援「ララワーク」

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