第2回
『やりたくないコト』を探して行政書士の勉強を始めました…
サポートプラス社会保険労務士事務所 長橋 知世
このコラムは、どん底を経験した女性がなぜ起業に至ったか、そして今何のために、どんな思いで働いているのかを、サポートプラス社会保険労務士事務所の代表であり、セカンドキャリアの女性コミュニティ「ララ・コンシェルジュ」を主宰する長橋知世が、インタビュー形式で赤裸々に深堀りしていきます。
今回のゲストは、行政書士 前田由美子さんです。
なぜ行政書士を目指されたのですか?
私は、行政書士になりたいって思って、この資格を取ったわけではないんです。
中学受験をする娘の将来を考えて、いろいろうるさく言っていたところ「お母さんはいいよね、好きなコトできて。私は好きなコトやってない…」と返され、ハッとしました。
子育てが終わったら、パン・お菓子の教室をやろうと、時間ができると教室に通い家でもパンやお菓子を作っていました。勉強とはいえ、それは好きなコト、苦ではありませんでした。
娘はそんな私を、ずっと見ていたんです。楽しそうとしか見えなかったのでしょう。私が娘のためにと思って言っていた言葉は、私が娘に一方的に求めている事でしかなかったのです。
行政書士の勉強は、娘と同じ「やりたくないコト」を探した結果でした。
この「やりたくない勉強」を始めると、娘の苦労を共感できるようになり娘に対する小言はあきらかに減っていきました。
資格取得の後、お仕事は順調でしたか?
大学卒業後、大手ITメーカーで、携帯電話の商品企画や海外キャリアとの連携業務などを手掛けていましたが、出産を機に、主婦業に専念していました。
先の娘との出来事があり、「やりたくない勉強をする」という目的のために、行政書士の勉強を始め、しっかりと取得しました(笑)
ですが、資格はありますが、仕事を取って、そこから覚えていくという器用さは私にはありませんでした。仕事を知らないことで自分に自信が持てずにいました。結果、仕事を取りにいくことができなかったのです。
行政書士事務所でのアルバイトや先輩の下請けなどで、すこしずつ経験を積んでいきました。もちろん、収入は微々たるもの。
すると、また、あの娘から厳しい言葉が…
「ママの収入から、夕飯のグレードが落ちた分と、お手伝いが増えて不快になった私の気分を引いたら、完全に赤字だよね」
仕事をして家事がおろそかになってしまったことを、こんな表現で伝えてくる娘…。
そんな、微笑ましい彼女からのエール?が、私のモチベーションになり、仕事は少しずつ増えていきました。
最初は相続や離婚・許認可の仕事。きれいな文章を書けることを褒めてもらい、文章が肝になる補助金申請を手掛けるようになっていきました。
現在、許認可申請・補助金申請・民事法務・相続関係などを業務としています。
行政書士として意識していることは?
自分の知らないことを聞くことが大好きなんです。たくさん聞きたい! 狭い世界で生きてきたので、まっさらに聞くことができるんだと思います。
補助金の申請などをやっていると、会社への想いや、社長そのひとの生き方などが経歴のなかにでてきます。想いや考え方は、ひとの数だけに存在しています。
給食のパンを作っている会社から補助金申請の依頼をいただきました。
普通のパン屋さんと違い、同じ時間に、均一なパンを大量に焼き上げなければいけないことや、安定的な事業である反面、成長性のない事業であることなど、同じパン業界とは懸け離れた事実を知ることになります。競争のない特殊な仕事であることは「安定」とは裏腹に、「挑戦」という、事業というものの醍醐味がなかったそうです。
そんな話をしてくれる社長の話を聞くことは、もちろん私の興味をそそります。ただ、興味だけではいけない。事実や数字を追うだけでなく、そこで働く人の気持ちを汲み取って、申請文を書きあげる。
経営者とそこで働いている人の想いを現することを信条としています。書き上げた文章は、自分たちの気持ちが目で見えるカタチになったことで、お客さんからもとても喜ばれます。
私が事業者と共に将来の計画を練り上げるときに必要なこと、それはまさしく娘が私に教えてくれた、「共感」です。
そんな申請書は、審査をする相手にも伝わるのでしょう。現在、私の補助金採択率は9割にせまる勢いです。
行政書士として叶えたい思いとは?
士業として、先生と言われたくない、同じ目線で走る人でありたいと思ってます。
この仕事を通じて、高齢者も子供も、それに関わる大人たちも、笑顔で過ごせる… 生まれてきた子供たちが笑顔で暮らせる…
やりたくないコトから始まった私の仕事ですが、そんな社会をつくることに、すこしでも役にたっていければと思います。
【行政書士 前田由美子さんのプロフィール】
行政書士まえだ事務所の代表。
行政書士まえだ事務所では、中小企業の皆様に、補助金・許認可を生かした経営支援、一般のお客様には離婚・結婚契約・遺言相続・成年後見を中心にお手伝いしています。専門家が親身になってサポートいたします。
今回インタビューした前田由美子さんのことをもっと知りたい方は、こちら女性起業家デジタルbookをご覧ください
プロフィール
【インタビュアー】
サポートプラス社会保険労務士事務所
セカンドキャリアの女性コミュニティ「ララ・コンシェルジュ」
アラフィフ女性に特化した人材紹介「ララ・ワーク」
代表 長橋 知世
静岡県立沼津東高校卒
立教大学社会学部観光学科卒
一般企業、商業高校の教員として勤務したのち、出産を機に退職し家庭に入る。
2児の子育てが終わってから、社会保険労務士資格を取得。
2018年に横浜で社労士事務所の開業に至る。
40代50代女性がもっと社会で活躍すべきと、セカンドキャリアの女性コミュニティを立ち上げ、一年でメンバー100名とする。
主婦はキャリアだと認められる社会を目指し、アラフィフ女性に特化した人材紹介業を立ち上げ、企業とのマッチングを進めている。
Webサイト:サポートプラス社会保険労務士事務所
セカンドキャリアの女性コミュニティ「ララ・コンシェルジュ」
セカンドキャリアの女性コミュニティ「ララ・コンシェルジュ」とは、人生経験を積み、さまざまなキャリアを経験した女性の第二の人生を応援していくコミュニティです。
ビジネスセミナーや食事会、交流会など、プライベートを楽しみながらビジネスをひろげていくための機会を提供しています。
自己成長できる場、仲間づくり、協業できる環境であり、女性の新しい生き方を承認し、これから社会に踏み出す女性にエールを送りたいと思っています。
◆ララコンシェルジュについてはこちらから
・女性起業家デジタルbook
・ポットキャスト:え?わたしも働ける?人生薔薇色ラジオ
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・公式ライン:ララ・コンシェルジュ
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