中小企業の「シン人材確保戦略」を考える

第33回

経営課題は「現在」「3 年後」「5 年後」のすべてで「人材の強化」が最多

一般社団法人パーソナル雇用普及協会  萩原 京二

 

持続可能な成長は、企業が直面する最も切実な課題の一つです。市場のグローバル化、技術革新の加速、環境問題への意識の高まりといった外部環境の変化は、企業に新たな経営戦略の模索を強いています。一方で、社会全体の価値観が変わる中で、企業が社会的責任を果たすことも求められており、これらすべてが経営の持続可能性に直結しています。

2023年の一般社団法人日本能率協会による調査によれば、多くの企業が現在及び将来にわたって「人材の強化」を最重要の課題として挙げています。これは、適切な人材を確保し、育成することが企業成長の鍵を握ると同時に、社会的な期待に応える上でも重要であると認識されているからです。

また、本調査は「人材の強化」は「現在」、「3年後」、「5年後」という長期にわたって企業にとって中心的な課題であり続けることも示しています。さらに、デジタルトランスフォーメーションの波が経営の各領域に新たな課題を生じさせており、これに適応することもまた経営者にとって避けて通れない道となっています。

このような状況下において、企業は継続的な人材育成とキャリア開発に投資し、多様な才能を引きつけ、育てることが急務であると認識する必要があります。これにより、企業は不確実な市場環境に対応し、将来にわたって競争優位を維持することが可能となります。経営の質を向上させ、企業の競争力を維持するためには、適切な人材を確保し、育成しなければなりません。企業は多様性を重視し、従業員の能力を最大限に活用する方法を模索する必要があるのです。

次に、デジタル技術の活用も重要な経営課題として位置づけられています。デジタル化は、業務の効率化、新しい顧客体験の提供、そして市場における競争優位性の確立に不可欠です。企業は、AIやビッグデータなどの最新技術を積極的に取り入れ、事業プロセスを革新することが求められています。

最後に、経営の柔軟性と適応性の向上も重要です。市場環境や消費者ニーズは常に変動しており、これに迅速かつ効果的に対応できる企業だけが生き残ることができます。経営戦略においては、短期的な利益追求だけでなく、長期的な視点を持って、持続可能な成長を目指す必要があります。

これからの課題に対応するためにも、各企業は以下のような施策を実行に移すことが「成功の鍵」となるでしょう。

<人材の強化>

人材の強化には、多角的なアプローチが必要です。まず、採用プロセスの見直しを通じて、多様な才能を引き寄せることが重要です。次に、継続的な教育とキャリア開発プログラムを提供し、従業員がスキルを磨き続ける機会を創出する必要があります。また、従業員のエンゲージメントと満足度を高めるために、柔軟な労働条件や健康的な職場環境を整えることも不可欠です。

<デジタル技術の活用>

デジタル変革を推進するためには、まず組織内のデジタルリテラシーを高めることが必要です。全従業員が基本的なデジタルスキルを身につけ、新しい技術を受け入れる文化を育てることが重要です。さらに、クラウドコンピューティング、人工知能(生成AI)、ビッグデータ分析などの技術を活用し、業務プロセスの効率化や意思決定の精度向上を図ることが推奨されます。

<柔軟性と適応性の向上>

経営の柔軟性と適応性を高めるためには、定期的な市場分析と消費者動向の監視が必要です。これにより、市場の変化に迅速に対応し、新たなビジネスチャンスを捉えることができます。また、事業継続計画を策定し、不測の事態が発生した際にも業務がスムーズに続けられるように準備を整えることも重要です。

また、持続可能な成長とは、単に経済的利益を追求するだけでなく、社会的、環境的責任を果たしながら事業を行うことを意味します。本コラムを通じて探求した経営課題と対策の検討から、企業が直面する複雑な問題に対処するためには、戦略的かつ総合的なアプローチが必要となることは明らかです。

以上のように、「人材の強化」「デジタル技術の活用」、そして「経営の柔軟性と適応性の向上」は、これからの企業が成功を収めるためには避けて通れない道です。企業がこれらの課題に効果的に取り組むことで、不確実な市場環境下でも持続可能な成長を達成し、社会全体の発展に寄与することができます。

最終的には、各企業のリーダーがこれらの課題に前向きに取り組み、組織文化を変革することが求められます。そのためには、明確なビジョンの設定と、全従業員が参画する環境の整備が不可欠です。そして、先端企業の成功事例なども参考にしながら、継続的な評価と改善を行うことで、課題への対応をさらに洗練させることができるでしょう。


 

プロフィール

一般社団法人パーソナル雇用普及協会
代表理事 萩原 京二

1963年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒。株式会社東芝(1986年4月~1995年9月)、ソニー生命保険株式会社(1995年10月~1999年5月)への勤務を経て、1998年社労士として開業。顧問先を1件も持たず、職員を雇わずに、たった1人で年商1億円を稼ぐカリスマ社労士になる。そのノウハウを体系化して「社労士事務所の経営コンサルタント」へと転身。現在では、200事務所を擁する会員制度(コミュニティー)を運営し、会員事務所を介して約4000社の中小企業の経営支援を行っている。2023年7月、一般社団法人パーソナル雇用普及協会を設立し、代表理事に就任。「ニッポンの働き方を変える」を合言葉に、個人のライフスタイルに合わせて自由な働き方ができる「パーソナル雇用制度」の普及活動に取り組んでいる。


Webサイト:一般社団法人パーソナル雇用普及協会

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