中小企業の「シン人材確保戦略」を考える

第123回

退職代行「モームリ」事件が教える 経営者が知っておくべき士業紹介料の落とし穴

一般社団法人パーソナル雇用普及協会  萩原 京二

 

はじめに


退職代行サービス「モームリ」を運営する会社が警察の家宅捜索を受け、提携していた弁護士3人が書類送検される──。2025年から2026年にかけて起きたこの事件は、多くの中小企業経営者にとって「対岸の火事」に見えるかもしれません。しかし、この事件の本質を理解すると、実は私たち経営者の日常業務に深く関わる重大なリスクが潜んでいることがわかります。

本稿では、モームリ事件を入り口として、弁護士や税理士、社会保険労務士といった「士業」と呼ばれる専門家への案件紹介と報酬のやり取りに潜む法的リスクを、できるだけわかりやすく解説します。そして、経営者として知っておくべき安全な専門家との付き合い方をお伝えします。



1.モームリ事件とは何だったのか


まず、事件の経緯を整理しましょう。

2025年10月22日、警視庁が退職代行サービス「モームリ」を運営する株式会社アルバトロス(東京都品川区)の事務所を家宅捜索しました。容疑は弁護士法違反、具体的には「非弁行為」と「非弁提携」と呼ばれるものです。

そして2026年2月5日、モームリ側が弁護士3人に退職に関する法律相談の案件を紹介し、その見返りとして「労働組合への賛助金」という名目で実質的な紹介料を受け取っていた疑いで、弁護士らが書類送検されました。

一見すると単純な話です。退職代行会社が弁護士に仕事を紹介し、紹介料をもらった。しかし、なぜこれが違法になるのでしょうか。一般的なビジネスの世界では、顧客紹介に対して紹介料を払うことは日常茶飯事です。不動産仲介でも人材紹介でも、成果に応じた報酬は当たり前です。

ところが、弁護士をはじめとする士業の世界では、この「紹介料」が極めて厳しく規制されているのです。そして、その規制を知らずに専門家と取引している経営者は、思わぬリスクを抱えることになります。



2.なぜ士業の紹介料は厳しく規制されるのか


普通のビジネスなら当たり前の紹介料が、なぜ士業では問題になるのでしょうか。その答えは、士業の「公共性」にあります。

弁護士法の第1条には「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」と書かれています。同じように、社会保険労務士法の第1条にも「労働および社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする」とあります。

つまり、士業は単なる営利目的の事業者ではなく、「法律を正しく運用し、依頼者を守る」という公的な役割を担っているのです。その使命を全うするためには、中立性と独立した判断が絶対に必要です。

ここに紹介料が絡むと、どうなるでしょうか。

例えば、ある退職代行会社から高額の紹介料をもらっている弁護士がいたとします。この弁護士は、依頼者にとって本当に必要かどうかよりも、「紹介元に喜ばれるかどうか」を優先して判断してしまうかもしれません。不要な訴訟を勧めたり、逆に依頼者に不利な案件を避けたりする可能性が出てきます。

モームリ事件では、退職代行会社が「安価な窓口」として顧客を集め、弁護士に高額案件を回すことで利益を確保していました。しかし、この構図では依頼者の利益が二の次になっていると批判されています。

依頼者である労働者は、自分の支払った報酬の一部が「裏金」として紹介元に流れていることを知りません。知らないうちに報酬が上乗せされていたり、不当な契約誘導を受けていたりする可能性があります。こうした契約は、民法第90条の「公序良俗違反」で無効になることさえあります。

さらに問題なのは、こうした事例が積み重なると、士業制度全体の信頼が崩れてしまうことです。「あの税理士は紹介料目当てで仕事をしている」「あの社労士は紹介元の利益を優先している」といった疑念が広がれば、本来依頼者を守るべき専門家制度が形骸化してしまいます。

だからこそ、士業の紹介料には厳格なルールが設けられているのです。



3.士業ごとに異なる規制の実態


一口に「士業」といっても、弁護士、税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士など、さまざまな職種があります。そして実は、それぞれで紹介料に関するルールの厳しさが微妙に異なります。


弁護士:最も厳格

弁護士は最も厳しく規制されています。弁護士職務基本規程第13条で、事件の紹介に対する報酬提供は原則として全面禁止です。さらに弁護士法第72条では、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を取り扱うこと(非弁行為)や、弁護士がそうした者と提携すること(非弁提携)を禁じています。

モームリ事件で問題になったのは、まさにこの非弁提携です。「労働組合への賛助金」という名目でも、実質的に紹介料であれば違法と判断されました。名目を変えても逃れられないのが弁護士規制の厳しさです。

違反した場合は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑事罰が科される可能性があります。


税理士:やや緩やかだがグレーゾーンあり

税理士法第37条の2では、税理士業務の紹介を目的とした金品の供与が禁止されています。しかし実務上は、紹介サイト経由で顧問契約を結んだ場合、初年度の顧問料の25〜50%を紹介サイトに支払うケースが広く行われています。

これは完全にクリアとは言えないグレーゾーンですが、「サイト利用料」「広告料」という名目で一定程度許容されているのが現状です。ただし、品位保持義務に反するような露骨なキックバックは問題視されます。


社会保険労務士:非資格者との提携を厳格禁止

社労士法第23条の2では、社労士でない者との提携やあっせんを禁じています。第27条では違反に対して1年以下の懲役または100万円以下の罰金が定められています。

退職代行のような非資格者から案件を紹介してもらい、その見返りに報酬を支払うことは、ほぼ確実に違法と評価されます。モームリ事件でも、もし社労士が退職後の社会保険手続きで紹介料を払っていれば、社労士法違反に直結していたでしょう。


行政書士・司法書士:近年厳格化

行政書士は2024年に施行された行政書士職務基本規則で、キックバックが全面禁止されました。報酬の上乗せも禁止されています。

司法書士も司法書士会則や職務基本規程で紹介料の授受を禁止しており、違反すれば懲戒処分の対象となります。不動産業者などへのバックマージンも問題視されています。


このように、士業ごとに規制の強弱はありますが、共通しているのは「依頼者の利益を最優先する」という理念です。



4.違反したらどうなるのか


では、実際に紹介料の規制に違反した場合、何が起きるのでしょうか。そして、それは経営者にどう影響するのでしょうか。


・懲戒処分は確実

全ての士業に共通するのが、所属する会からの懲戒処分です。軽い順に、戒告、業務停止(1年以内)、退会命令、除名があります。モームリ事件の弁護士たちも、現在懲戒審査を受けている状態です。

過去の事例を見ると、紹介料絡みの違反では数ヶ月から1年程度の業務停止処分が科されることが多くあります。


・悪質なケースでは刑事罰

悪質と判断されれば、刑事罰が科されます。弁護士法違反では2年以下の懲役または300万円以下の罰金、社労士法違反では1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

実際に、2025年10月には大阪で税理士が社労士業務を無資格で代行し、紹介料絡みのスキームで約400万円の報酬を得て逮捕される事件が起きています。


・民事リスク:契約無効や損害賠償

紹介料を前提とした契約は、公序良俗に反するとして無効になる可能性があります(民法第90条)。また、もし顧問士業が「紹介料目当て」で不適切な判断を下し、それによって依頼者である経営者に損害が出た場合、損害賠償を請求される可能性もあります。


・経営者への波及効果が深刻

ここが最も重要なポイントです。違反するのは士業本人ですが、その影響は依頼者である経営者にも及びます。

顧問税理士が業務停止処分を受けたらどうなるでしょうか。確定申告の期限に間に合わず、追徴課税を受けるリスクが生じます。新しい税理士を急いで探さなければならず、引き継ぎにも時間がかかります。

社労士が処分を受けて業務ができなくなれば、社会保険料の算定や労働保険の手続きが滞ります。助成金の申請中だった場合、申請が取り下げられて受給できなくなることもあります。

さらに、もしあなたの会社が利用していたサービスが、モームリのように違法なスキームを使っていたことが明るみに出たら、取引先や金融機関からの評判が下がる可能性もあります。いわゆる「レピュテーションリスク」です。

「うちは何も悪いことをしていない」と思うかもしれませんが、「適切な専門家を選定する義務」を怠ったと見なされるリスクもゼロではありません。

短期的な「安さ」や「便利さ」に飛びついた結果、長期的に大きなリスクを抱えることになるのです。



5.実際にあった類似事例から学ぶ


モームリ事件だけが特殊なケースではありません。過去にも似たような事例は繰り返し発生しています。


・大阪税理士逮捕事件(2025年10月)

税理士が社労士資格を持たないにもかかわらず、顧客の社会保険手続きを代行し、紹介料を含む約400万円の報酬を得ていました。この税理士は逮捕され、顧問先企業も手続きの中断による混乱を強いられました。


・補助金コンサルタント連携問題

補助金申請を代行する無資格のコンサルタントが、実際の書類作成は行政書士に外注しながら、顧客からは高額の報酬を受け取り、行政書士には一部をキックバックするスキームが問題化しました。顧客は知らないうちに「中抜き」されており、適正価格よりも高額な報酬を支払っていたのです。


・M&A仲介業者の紹介料問題

M&A仲介業者が、案件成立時に弁護士や税理士に紹介料を支払うスキームで、複数の士業が懲戒処分を受けました。依頼者である経営者は、士業が中立的な立場でアドバイスしていると思っていましたが、実際には仲介業者の利益を優先した助言が行われていました。

これらの事例に共通するのは、「表面的には便利で効率的に見えるサービスの裏に、違法なスキームが隠れていた」という点です。そして、最終的にツケを払わされるのは、何も知らずにサービスを利用していた経営者なのです。



6.では、どうすれば安全に士業と連携できるのか


ここまで読んで、「じゃあ、複数の専門家に協力してもらうことは不可能なのか」と思われたかもしれません。そんなことはありません。紹介料を介さない、法令に適合した連携方法はいくつも存在します。


<絶対に避けるべきNGパターン>

まず、これだけは絶対にやってはいけないパターンを確認しましょう。

• 「顧問料の30%をバック」「成約1件あたり5万円」といった成果連動型の報酬

• 受任件数や金額に連動する仕組み

• 名目を偽装した支払い(「広告料」「賛助金」「情報提供料」など)

モームリ事件の「賛助金」はまさに名目偽装の典型例です。名前を変えても、実質的に紹介料であれば違法と判断されます。


<推奨される安全なパターン>

では、どうすれば安全なのか。キーワードは「役務ベース」です。つまり、「紹介に対する報酬」ではなく、「具体的な仕事に対する報酬」という形にするのです。


・パターン1:役割分担型の業務提携

これが最も安全で、実務でもよく使われる方法です。

例えば、補助金申請のプロジェクトで、行政書士が書類作成を担当し、社労士が労務面の確認を担当するとします。この場合、それぞれの士業が依頼者である経営者と直接契約を結び、それぞれが自分の担当業務について請求します。

重要なのは、士業同士でお金のやり取りをしないことです。あくまで依頼者との一対一の契約です。

M&Aの案件でも同様です。弁護士が契約書のチェックを担当し、司法書士が登記手続きを担当します。それぞれが経営者と直接契約し、紹介料は発生しません。

こうした連携をする場合、士業同士で「専門領域を分担し、対価の授受は行わない」という内容の覚書を交わしておくと、より安全性が高まります。

経営者としては、「各専門家に直接依頼し、直接支払う」という原則を守ることで、透明性が確保されます。


・パターン2:共同セミナーやコンテンツ制作

複数の士業が共同でセミナーを開催したり、メールマガジンやブログを執筆したりする方法もあります。

例えば、「退職トラブルを防ぐための経営セミナー」を税理士、社労士、行政書士が共同で開催します。会場費や広告費は実費で按分(例えば各3万円ずつ)して負担します。

参加した経営者は、それぞれの士業の専門性を理解し、必要に応じて直接依頼します。ここでも紹介料は発生しません。

この方法のメリットは、自然な形で信頼関係を構築できることです。セミナーを通じて各士業の人柄や専門性を知ることができるため、経営者にとっても安心です。

また、共同でメールマガジンを発行したり、ブログ記事を執筆したりすることで、それぞれの専門性を活かした情報発信ができます。こうした活動を通じて集まった顧客は、各士業が個別に対応するため、紹介料の問題は発生しません。


・パターン3:固定報酬の役務外注契約

もう一つの方法は、具体的な役務に対して固定報酬を支払う契約です。

例えば、税理士が「就業規則の月次監修」を月額2万円で社労士に依頼する。あるいは、社労士が「セミナー講師」として1回3万円で税理士に依頼する。

重要なのは、契約書に役務内容を具体的に明記することです。「10件までのチェック」「2時間の講演」といったように、何をどこまでやるのかを明確にします。そして、報酬は受任件数に連動させず、固定額または時間給にします。

こうすることで、「紹介料」ではなく「役務提供の対価」であることが明確になります。

請求書や納品物などの証跡もきちんと残すことで、税務調査や会則調査の際にも説明可能な透明性を確保できます。


<公的なネットワークやプラットフォームの活用>

商工会議所や各種業界団体が提供する士業紹介サービスを利用するのも一つの方法です。こうした公的機関は、法令順守を前提としたマッチングを行っているため、比較的安全です。

最近では、コンプライアンスを重視したマッチングプラットフォームも登場しています。こうしたサービスは、紹介料ではなく「プラットフォーム利用料」という形で運営されており、士業同士の直接的な金銭授受を避ける設計になっています。

ただし、プラットフォームを利用する場合でも、その仕組みが本当に法令に適合しているかを確認することが重要です。「広告料」という名目でも、実質的に紹介料になっていないか、慎重に見極める必要があります。



7.経営者として今日からできること


ここまでの内容を踏まえて、経営者として今日から実行できることをまとめます。


<士業を選ぶときに確認すべき質問>

新しく顧問契約を結ぶときや、プロジェクトで専門家に依頼するときは、以下のような質問をしてみましょう。

• 「他社からの紹介で報酬をもらうスキームはありますか?」

• 「提携している他の専門家との報酬の関係を教えてください」

• 「業務の境界線について、法令上のコンプライアンス体制はどうなっていますか?」

これらの質問をすることで、相手の姿勢が見えてきます。誠実な士業であれば、きちんと説明してくれるはずです。逆に、曖昧な回答しか得られない場合は、注意が必要です。

質問することを遠慮する必要はありません。あなたは依頼者として、安全な取引を求める権利があります。むしろ、こうした質問に真摯に答えてくれる士業こそ、信頼できるパートナーです。


<複数の士業が必要な場合の進め方>

補助金申請やM&Aなど、複数の士業の協力が必要なプロジェクトでは、あなた自身が「ハブ」になることが重要です。

それぞれの士業と直接契約を結び、それぞれに直接報酬を支払います。士業同士は専門領域で協力し合いますが、金銭のやり取りはあなたを介して行われます。

こうすることで、紹介料が発生する余地がなくなり、透明性が保たれます。

最初は手間に感じるかもしれませんが、長期的には「誰が何を担当しているか」が明確になり、責任の所在もはっきりします。問題が発生したときにも、対応がスムーズになります。


<退職代行や各種コンサルを利用するときの注意>

退職代行サービス、補助金コンサルタント、M&A仲介業者などを利用するときは、「裏で士業と提携していないか」を必ず確認しましょう。

特に注意が必要なのは、「弁護士提携」「社労士監修」といった表記があるサービスです。提携の形態が適法なのか、報酬の流れはどうなっているのかを確認してください。

「どのような契約形態で士業と連携しているのですか?」「士業への報酬は、私が直接支払うのですか、それとも御社経由ですか?」といった質問をするだけで、相手の対応から多くのことがわかります。

不安があれば、直接顧問の士業に相談するのが最も安全です。特に、退職トラブルや法的問題については、最初から顧問弁護士や顧問社労士に相談することで、余計な中間業者を介さずに済みます。


<チェックリストを作る>

以下のようなチェックリストを作り、専門家との契約時に確認する習慣をつけましょう。

□ 報酬は固定額または時間給で、受任件数に連動していないか?
□ 役務の内容が契約書に具体的に明記されているか?
□ 依頼する業務は、各士業と一対一の直接契約になっているか?
□ 各士業の会則や職務基本規程に違反していないことを確認したか?
□ 請求書や成果物など、証跡をきちんと残しているか?

こうしたチェックを習慣化することで、リスクを大幅に減らすことができます。

このチェックリストは、印刷して契約締結時の確認資料として活用することをお勧めします。社内の総務担当者や経理担当者とも共有し、組織全体でコンプライアンス意識を高めることが重要です。


<定期的な見直しの習慣>

既に契約している顧問士業との関係についても、年に一度は見直す習慣をつけましょう。

• 契約内容は明確か

• 報酬体系は適正か

• 他の業者との提携関係に変化はないか

• 懲戒処分などの情報はないか

士業の懲戒処分情報は、各士業会のウェブサイトで公開されています。年に一度、顧問士業の名前を検索してみるだけでも、リスク管理になります。



8.モームリ事件から学ぶべき本質


モームリ事件は、多くの経営者に重要な教訓を与えてくれました。

「表面的な安さや便利さ」だけで判断してはいけないということです。退職代行サービスが安価で手軽だからといって飛びついた結果、裏で違法なスキームが動いていたとしたら、最終的には自分にリスクが跳ね返ってきます。

士業は、単なるサービス業者ではありません。法律を正しく運用し、依頼者を守るという公的な役割を担っています。その信頼性を支えているのが、紹介料規制という厳格なルールなのです。

法令を順守している士業と取引することは、短期的にはコストがかかるように見えるかもしれません。しかし、長期的に見れば、不当な誘導を受けることなく、適正な価格で適切な支援を受けられることを意味します。これこそが、中小企業の持続的な成長を支える基盤となります。

また、この事件は「安易な業務委託」の危険性も教えてくれます。自社の重要な業務を外部に委託する際には、その業者が法令を順守しているか、適切な体制を持っているかを確認する責任が、経営者にはあります。

「知らなかった」では済まされないのが、経営者の立場です。



おわりに~法令順守が最強の競争力になる


最後に、少し視点を変えてみましょう。

法令順守は、単に「リスクを避ける」だけのものではありません。実は、競争優位性を生み出す源泉にもなり得ます。

コンプライアンスを重視する企業文化を持つ会社は、取引先や金融機関、そして優秀な人材からの信頼を得やすくなります。「あの会社はきちんとしている」という評判は、目に見えないけれど大きな資産です。

士業との健全な連携も同じです。紹介料に頼らず、透明性の高い関係を築いている経営者は、士業からも「信頼できる依頼者」として認識されます。その結果、より質の高い支援を受けられるようになります。

優秀な士業ほど、コンプライアンスを重視する依頼者と長期的な関係を築きたいと考えています。紹介料目当ての安易な提携よりも、正当な報酬で誠実な仕事をしたいと思っているのです。

モームリ事件を「自分事」として捉え、今こそ安全な士業ネットワークを構築する時です。法の枠内で連携すれば、全員がwin-winの関係を築くことができます。

あなたの会社を守るために、そして持続的な成長を実現するために、まずは今日から、顧問士業との関係を見直してみませんか。

透明性の高い関係は、短期的には手間がかかるように見えるかもしれません。しかし、それは将来のトラブルを避け、安定した経営基盤を築くための「保険」なのです。

法令順守という一見地味な取り組みが、実は最も強力な競争優位性を生み出す──それがモームリ事件が私たちに教えてくれた、最も重要な教訓なのです。


 

プロフィール

一般社団法人パーソナル雇用普及協会
代表理事 萩原 京二

1963年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒。株式会社東芝(1986年4月~1995年9月)、ソニー生命保険株式会社(1995年10月~1999年5月)への勤務を経て、1998年社労士として開業。顧問先を1件も持たず、職員を雇わずに、たった1人で年商1億円を稼ぐカリスマ社労士になる。そのノウハウを体系化して「社労士事務所の経営コンサルタント」へと転身。現在では、200事務所を擁する会員制度(コミュニティー)を運営し、会員事務所を介して約4000社の中小企業の経営支援を行っている。2023年7月、一般社団法人パーソナル雇用普及協会を設立し、代表理事に就任。「ニッポンの働き方を変える」を合言葉に、個人のライフスタイルに合わせて自由な働き方ができる「パーソナル雇用制度」の普及活動に取り組んでいる。


Webサイト:一般社団法人パーソナル雇用普及協会

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