第18回
共成功信念をどうやって共有するか
StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ 落藤伸夫

2回にわたり共創を成功に導く「共成功信念」について考えてきました。「それは尊い心持ちだが、パートナーも共有していないと絵に描いた餅だろう。自分が損するだけだ。」その通りだと思います。今回は、共成功信念をどうやって共有するかについて考えます。
共成功信念が必要となる場面
共創の成功要因として「共通目的」、「違いの受け入れ」、「スモールスタート」そして「パートナーへの姿勢(手段ではなく主体として尊重)」という行動要因が挙げられ、それを実現する上位概念として「共成功(Success Together)信念」を挙げたところです。
「パートナーの成功が自分の成功に繋がる。私は自分が成功したいからこそ、パートナーとの共創関係を築き上げるため工夫や努力を尽くし、時には忍耐する」と考えるのです。
この姿勢、一見すると没自我のサービス精神に見えるかもしれませんが、それは違います。共成功信念は「成功への道には幾つもの選択肢がある中、今回は“共創”を目指す。共創を成功させるアプローチとして契約やリーダーシップなどの選択肢もあるが、今回は共成功信念でもって立ち回る」という判断の中で選ばれます。
「共成功信念に絶対的な価値があるので、何があってもそれを放棄してはならない」というものではありません。自分が持つ共成功信念をパートナーが持っていないと分かれば、関係を終わらせることも、もちろんあり得る選択肢です。
一方で、共創を成功させるために共成功信念が切り札になることが多いと考えられます。先ほど挙げたように、ボランティア組織など契約等の強制力を活用できない場合や、秀でたリーダーシップを発揮しても乗って来ないパートナーがいる場合(実は、このような場合が多い)には、共成功信念が原動力になる可能性があるのです。
「とはいえ共成功信念は全員が共有しないと意味がない。その方法はあるのか?」その疑問も、もっともです。人間には「パートナーはこの共創関係でこそ成功できると考え、工夫や努力を尽くし、時には忍耐しているようだ。ならば自分も我が儘ばかりとはいかないだろう」との気持ちを持つ傾向がありますが、善意ばかりに頼ることはできません。共有の方法を考えていきましょう。
共成功信念を共有する方法
共成功信念は「心持ち」なので強制でもって相手に抱かせることはできません。敢えて言えば「伝播させる・伝染させる」ことになります。「もっと分からなくなった。」整理して考えていくことにしましょう。
第1は、成功体験の共有です。「共成功信念に基づく言動が成功の原動力になった」との気付きを共有するのです。多くの場合、成功の原動力は「協力」です。自分が困っていることをそれを得意にする人が解決してくれた、それが成功に繋がったという経験でもって、共成功信念が共有されていきます。
第2は、意味の言語化です。協力の弊害は「依存」で、このため安易な協力は控えるべきとの意見もあるほどです。しかし共成功信念による積極的協力は、相手を哀れんだり、教育を施そうとしての意味合いではありません。「パートナーの成功が、我が成功に繋がる」との考えのもと、「私はこの共創から絶対に成果を得たい。そのため共創関係構築には誠実に取り組む」との想いが相応しい場面で「協力」となって現れるのです。
逆に、当事者が責任を果たすべき場面では「あなたこそが、それに立ち向かう適任者だ。応援は厭わないので、頑張ってほしい」との発言になります。共成功信念が目指す意味を時には深く言語化して伝えることが、共有の原動力となります。
第3は、場の設定です。今挙げた第1ポイントは偶然の産物、第2ポイントは日々に実践できる「意識の刷り込み」でした。重要な要素とはいえ、言動への影響力は限定的です。人への影響力は「人と人が直接対面して話し合うこと」が一番です。その場を設けるのです。
「言語化して伝えるとの差が分からないが。」言語化は情報に重心がありますが、場は熱意や決心の強固さの伝達、気持ちの摺り合わせなど、エネルギーを伝える舞台です。そこで行われるのは「説得」ではありません。共に成功を得ることのメリットや、自分はそれを是非とも得たいと考えていること、共創パートナー同士の協力が唯一の原動力になることなどについての真摯な、挫けることない対話です。
確固とした共成功信念の持ち主は最初は一人だけかもしれない、しかし真摯な想いがエネルギーに乗せて伝わっていき、同じ姿勢のメンバーが増えていくことで、共創が成功に近付いていきます。
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なお、冒頭の写真はChatGPTにより作成したものです。
プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)
中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA
日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。
現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。
新型コロナウイルス感染症が収束して社会的にも中小企業金融においても「平時」に戻ったとの声がある中、今後は「共創」を目指す企業が躍進していく時代になると確信、全ての中小企業がビジョンを描いて持続と発展を目指すよう提案することとして「共創型金融の時代!あなたはビジョンを描けますか?」コラムを2025年10月からスタートさせた。
【落藤伸夫 著書】

『日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル』
さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。
Webサイト:StrateCutions
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- 第15回 危機を共創の入り口にする
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