第16回
共創の成功条件:「共成功」信念
StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ 落藤伸夫

事業環境が厳しくなっていく中で道を拓いていくには共創がポイントになると言われています。一方で「共創は難しい、上手くいった試しが少ない」という声も多く聞きます。今回は共創の成功条件について考えます。
共創の成功要因としてよく挙げられる4要因
共創はどうしたら成功させられるか。様々に研究されており、よく挙げられるのは以下の4点です。
第1は、「共通の目的を設けること」です。人が集まれば共創が成し遂げられる訳ではありません。「何を実現したいのか」が共有されていることが出発点です。
例えば、参加者の各々が「自社の売上を伸ばしたい」と考える中で、その方法論として「地域の活性化がカギになる。まずは地域を元気になるよう取り組もう」と目的が共有されていることで、共創が生まれてくると考えられます。
第2は、「違いを受け入れること」です。共創関係に取り込まれるメンバーには「違い」があるでしょう。「様々な能力を集めることで、今まで不可能だった成果が得られる」と考えてメンバーを募るからです。
しかし能力が違えば行動が違う、考え方も価値観も異なります。ここで我との違いに目くじらを立てていたのでは共創関係を継続することはできません。「共通の大きな目的を実現するには違いを受け入れる」という姿勢がカギなのです。
第3は「小さく始めること」です。最初から大きな成果を目指すと、途中に障害が多く、失敗しやすくなります。成功事例を見ると月1回の情報交換など非常に細かいステップから関係を築き上げています。
第4は、パートナーを「我が目的を実現する手段」ではなく「彼の目的を実現しようとする主体」として尊重することです。共創関係が解消してしまう時によく聞かれるのは「各々が勝手に取組みを進めた。心がバラバラだった」という言葉です。
そのために共創関係の理念などを厳密に定義しようとしますが、結局はまとまらない場合が少なくありません。各々が「自分の目的を実現しよう」との方向性で、共創関係の理念を解釈してしまうからです。それを排除するのではなく、パートナーがそう考えるのはある意味で自然なので、その想いを尊重することが共創関係の維持に繋がります。
信頼が成功4要因を推進するか
「共創の成功要因となるこれら4点、口で言うのは簡単だが実現するのは難しい。人はどうしても『自分のため』を求めてしまうからだ。」仰る通りですね。このためこれら4点の上位概念、あるいは「関係者が持つべき姿勢」がポイントになるとの指摘があります。
ではそれは何か?「信頼だ」との声を耳にすることが多いのですが、現実には難しいのではないでしょうか。信頼はこれら4点が上手くいった場合に育まれるからです。
「共通の目的を描こうとするが、どうしても違いが出てしまう」、「違いを認めず、自分のやり方に合わせるよう求めるパートナーがいる」、「小さく始めようとするが、どうしても成果を目指してしまいがち」あるいは「パートナーを独自の考えを持つ主体としてというより、手段として扱いがち」という状況では信頼は生まれません。つまり、これら状況を改善する力にはなり難いのです。
信頼を築くために一定期間、パートナー同士が協力し合うよう契約で求めるとのアプローチもあり、時には成功に至る場合があるようです。さりとて契約は、対等と自他共に認める当事者同士で成り立つもので、その他の場合の方が多い、つまり使えない場合が多いのです。
「共成功」信念が共創関係を成功に導く
なぜ共創を求めるのか?それは「自分は答えを持っていないから、実現能力を持っていないから」でしょう。これを出発点とするなら、次に「我が成功は、パートナーが成功できるかどうかにかかっている」と気付くことができます。
これをもとに「パートナーが成功できるようにすることが、我が成功に繋がる(共成功:Success Together)」という信念を持ち、これでもって自分を律し、パートナーと接することがポイントだと考えられます。共創関係を維持して取組みを推進、成功に至ることができるか否かは、関係者が共成功信念を持って立ち回れるかどうかにかかっているのです。
「共成功」は助け合いだけでは実現しません。成功したら利益を共有しようとの約束で推進されることもありません。自己の成功のために尽くすのと同様の工夫や努力、忍耐を、パートナーの成功のために発揮することです。
共創を成功させたいなら、まずは自分が共成功信念を有しているかを問うてみるのが良いと考えられます。
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なお、冒頭の写真はChatGPTにより作成したものです。
プロフィール

落藤伸夫(おちふじ のぶお)
中小企業診断士事務所StrateCutions代表
合同会社StrateCutionsHRD代表
事業性評価支援士協会代表
中小企業診断士、MBA
日本政策金融公庫(中小企業金融公庫~中小企業信用保険公庫)に約30年勤務、金融機関として中小企業を支えた後、事業改善手法を身に付け業務・経営側面から支える専門家となる。現在は顧問として継続的に企業・経営者の伴走支援を行っている。顧問企業には財務改善・資金調達も支援する。
現在は金融機関職員研修も行うなど、事業改善と金融システム整備の両面からの中小企業支援態勢作りに尽力している。
新型コロナウイルス感染症が収束して社会的にも中小企業金融においても「平時」に戻ったとの声がある中、今後は「共創」を目指す企業が躍進していく時代になると確信、全ての中小企業がビジョンを描いて持続と発展を目指すよう提案することとして「共創型金融の時代!あなたはビジョンを描けますか?」コラムを2025年10月からスタートさせた。
【落藤伸夫 著書】

『日常営業や事業性評価でやりがいを感じる!企業支援のバイブル』
さまざまな融資制度や金融商品等や金融ルール、コンプライアンス、営業方法など多岐にわたって学びを続けながらノルマを達成するよう求められる地域金融機関渉外担当者が、仕事に意義を感じながら楽しく、自信とプライドを持って仕事ができることを目指した本。渉外担当者の成長を「日常営業」、「元気な企業への対応」、「不調な企業への対応(事業性評価)」、「伴走支援・経営支援」の5段階に分ける「渉外成熟度モデル」を縦軸に、各々の段階を前向きに捉え、成果を出せる考え方やノウハウを説明する。
Webサイト:StrateCutions
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