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第249回

しなやかさを実現する「タフさ」とは

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



先月、今のような危機の時には朝令暮改が必要になる、これを適切に実現できることが会社を守るカギになるとお話しました。朝令暮改をスムーズに行える「しなやかさ」を備えた組織になるにはタフさが必要というお話もしました。今回はこの点を深堀して考えていきます。



今の時代に必要となる朝令暮改と心理的負担

3年以上続いたコロナ禍が落ち着き、法的にも第5類に分類されることになって、街は随分と活気を取り戻しました。それを受けて街の飲食店なども以前の活気を取り戻せるかと思ったら、実は一筋縄ではいかなかった例がレポートされていました。まず、以前に働いていた人材に戻ってもらえず新規採用もできないので深刻な人手不足に悩まされている姿です。来店するお客も異なるようで、以前には喜んでもらえたメニューは、今はそんなに喜んでもらえません。また以前には店には暗黙のルールがあり、それを受け入れる客で雰囲気が保たれていたが、今は気にしない客が増えてしまい、最初は守るようお願いしたが今では甘受するようになった、それで客層が変化した、などの状況もレポートされていました。


こうなると避けられないのが朝令暮改です。上段で挙げた飲食店の例では、以前から守っていた接客方法を、顧客が急速・大幅に増加しながら人手不足なので守ることができなくなり、メニューを変えたことでまた変更することになり、客層の変化でまた変えざるを得ないといった状況に陥ったのです。時々に迫られる変化に対応できる「しなやかさ」が求められているのです。


このような変化は、従業員にとっては負担になるでしょう。新しい方法を学び、試してみて、一度や二度では上手くいかず、絶えず改善が求められるからです。これらの手間や精神的な負担により、従業員ばかりでなく経営者も疲弊することになりかねません。こうなると「もう変化するのは止めよう」という気持ちになってしまうのも理解できます。しかし環境変化により変化が求められている場合に対応しないのは、大きなしっぺ返しに繋がる恐れがあります。顧客と良好な関係が維持できなくなり、事業が難しくなるかもしれません。



変化を遂げられる組織が備える「タフさ」

一方で、このような事態にあって変化を遂げている企業もあるようです。なぜ、このような差が生まれるのか?そのカギは、変化によって生じる心理的負担には実はいくつか種類があることにあります。一つは、変化が人に新たな要求を課すことによるストレス、また変化が不確実性をもたらすことによるストレスを原因とする心理的負担です。変化が求められない時に人は、予測可能な状況の中でルーティンに頼り、期待した結果が得られることで心地良さや安心感を得ていますが、変化によりこれら心地良さや安心感が失われた上で、新たな学習や適応行動が必要になったり、その結果が不確実であるというストレスが加わるので心理的負担を感じるのです。


変化によって生じるもう一つの心理的負担は「現状維持バイアス」によるものです。言葉を変えると、上に示した状況・ストレスを嫌い、それを避けようとする願望が裏切られるのでストレスを感じ、心理的負担となってしまうのです。こちらの特徴は、心理的な作用なので、人によって感じ方が大きく異なることです。変化を嫌う人が少なくない中、変化を楽しみ、時には変化を自ら起こしていく人もいることを、皆さんもご存じでしょう。


また現状維持バイアスによる心理的負担は、時と場合によって異なる場合もあります。変化することが究極の目標や幸福の実現に繋がるという情報があるのとないのとでは、現状維持バイアスの働き方は全く異なります。それらの情報により、人々の視点や評価基準が変化し、変化への意識がネガティブなものからポジティブなものに変化する可能性があるからです。


こう考えると「会社を潰さず、社員を路頭に迷わせない。逆に会社を発展させ、社員が豊かで幸せな生活を送れるようにする」と明記した経営理念を持ち、その実現を目指す企業では、現状維持バイアスによる心理的負担が軽減されると考えられます。今のような状況では社員を守るには相当の努力が必要となりますが、挫折することなく行うことで「会社と社員のWin-Win関係」が社員に銘記されるしょう。これを行い続ける「タフさ」を発揮し続けられる企業が変化に強くなれると考えられます。




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本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


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なお、冒頭の写真は 写真AC から acworks さんご提供によるものです。 acworks さん、どうもありがとうございました。


 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


Webサイト:StrateCutions

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