「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第70回

資金調達できる!日頃の行動を考える

落藤 伸夫 2018年10月29日
 

 資金調達のご支援をする中、時としてあるのが「例年の資金調達が今年はできない!」というご相談です。売上減少など納得できる理由(しかし、この場合でも事業性評価融資を提案する事業計画書の提出により資金調達できる場合があります)ばかりではありません。思わぬ油断が原因で資金調達できないこともあります。注意点を挙げると「もちろん知っているよ!」ということばかりですが、日常ではつい「これくらい大丈夫かな」と思ってしまうのです。そういう落とし穴に陥らないよう、ここでまとめておきましょう。 


 金融機関がお金を貸すのは、突き詰めて言えば、相手を信頼しているからです。信頼できない相手にお金を貸すことはできません。そしてみなさんも、ご自分の体験などから、信頼感には色々な要素が絡むと感じているでしょう。名の通った大企業であるとか、所有不動産が多いなどという「相手の状況」をベースにする信頼感がある一方で「相手の行動」も、信頼感のベースとなります。ここでは、資金調達において「あれっ!?」ということがないように気を付けておくべき、日頃の行動について考えてみることにしましょう。



着実に返済する

 先ほど大企業や所有不動産が多いと信頼感が増すと言いましたが、そのような相手でも支払いが滞りがちだと信頼することができません。人間は、自分のことだと「1回、数日遅れるくらいでも大丈夫かな」と思いがちですが、相手が1回でも滞ると「信頼できない!」と考える性質があるようです。金融機関は「1回、数日遅れは大丈夫」とは考えていません。「期日遅延1回」とカウントし、記録に残しています。 


 このため、既に借入中の融資返済が滞っていると、金融機関から追加で融資を受けることはできません。これは他の金融機関からの借入やクレジットカード、キャッシングなどでも同様です。金融機関は、借入やクレジットカード、キャッシングなどについて返済が延滞した先の情報を共有しているからです。 


 これから事業を起こす起業者だと、金融機関からの借入はないかもしれません。この場合、公共料金や税金の支払いなどがチェックされます。「お金の支払いについて期日管理ができる先である」という信頼感は、金融機関が最も重視するポイントです。



資金使途を守る

 信頼感は、もちろん、料金支払い以外にも及びます。既に融資したお金の資金使途が守られていないと、「この人は約束を守らないタイプの人かもしれない」という思いを植え付けてしまう可能性があります。例えば運搬用のトラックを購入する代金として借りたお金を運転資金に流用し、それについて相談どころか報告さえもしていないようなら、追加の融資は難しいと判断されるかもしれません。 


 「運搬用車両を購入するつもりだったが、取引先からの入金が滞っている中でこちらの支払期限が到来し、支払わなければならない状況だってある。そういう事情も斟酌してくれて良いではないか。」確かに、そのようなことも発生すると思います。この場合は、予め金融機関に相談し、了解を得ておくのが望ましいのです。どうしても間に合わなかった場合なら、必ずじ後に報告しましょう(なお、相談すれば必ず了解が出るとは限りません。特に資金使途を限定した制度を使った融資の場合です)。まったく相談も報告もせず、次回融資の面談で以前の資金が申し出た資金使途に使われていなかったことが判明すると、金融機関は警戒心を抱かざるを得なくなります。



粉飾(ずさんな会計処理)

 金融機関からの信頼感を大きく落としめてしまうのが粉飾です。「確かに、利益が出ていないのに出ているように見せかけて融資を引き出されることを、金融機関は警戒しているだろう。でも、利益を圧縮するのは構わないだろう。」それは違います。粉飾は、会社の現状、それもお金という客観的な指標を使った表現に嘘があるということです。「この社長は、税務署はだまそうとするが、自分をだますことはない」と信じるほど金融機関はお人好しではありません。 



 自分の信用を大切にする

 ビジネスにおいて信頼を第1に考えること、それは金融機関に限らず、全てのビジネスパートナーに言えることです。とりわけ金融機関は預金者から預かった(言い換えると「一般の人々から借りた」)資金を貸し出すのがビジネスですから、信頼についてはシビアに考えています。このような相手から「信頼できない」と言われないように、普段の行動に気をつけましょう。最初は大変かもしれませんが、それに慣れることで、ビジネス全般で信頼される存在になれることでしょう。 




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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。

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