「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第118回

自分が遂げるべき「進化」を考える

落藤 伸夫 2020年6月22日
 


コロナ禍が続き、もしかすると第2波が襲ってくるかも知れない状況に対応するためにはビジネスモデルの転換まで必要になる可能性について前回にご説明しました。今回は引き続きとなりますが、日経新聞6月16日付朝刊トップに「コロナと企業」シリーズ第1回として「進化か退場か 迫る覚悟」という記事があったので、引き続き企業に求められている「進化」について、考えます。



成功モデルが使えなくなる恐怖

日経紙面には、航空会社が乗客の社会的距離を確保するために座席数を1/3に減らすと運賃を約5割引き上げなければ赤字となることや、工場で作業員同士のソーシャルディスタンスを確保しようとすると効率が落ちてしまうため、アメリカでは既に10,000人を超える人員削減に追い込まれた企業の例が挙げられていました。私たちの周囲を見ても、近隣の会社に多くの人々が通勤することを前提にしてきた飲食店や、インバウンド顧客をあてにしていた土産物店などが苦境に立たされています。今までの成功モデルが消失してしまった可能性があります。


成功モデルが使えなくなったとは、それに依存していると、企業も人も持続できなくなることを意味しています。「そんなに厳しくはないのではないか?」楽観視できなことは、過去を見れば明らかだと思います。私たちは学校で、産業革命時に生産機械の台頭を嫌った人々がそれらを打ち壊したラッダイト運動があったと学びました。目の前にある機械を破壊した人々は自らの仕事を守りきれたか?200年後に生きる私たちは答えを知っています。退場を余儀なくされたのです。



進化をどのように起こすのか?

では、どうすれば良いのか?進化が必要なことは明らかです。「どんな進化か?」日経紙面には「適応力、デジタル、耐久力」が挙げられていました。「そうか、我が社もデジタル化しなければならないのだろう。しかし、それができる人材がいないのだ。また、デジタル化したら会社を盛り上げられる保証もないし。」変化が必要なことに気付かれたのは素晴らしいですが、デジタルという言葉にノックアウトされてしまう必要もないと思います。


日経新聞が「適応力」を冒頭に置いたのは的を射ていると感じます。先ほどソーシャルディスタンス確保のため座席数を1/3に減らさなければならない航空会社の話をしました。この会社の経営者が「我が社の起死回生策はデジタルだ。デジタルで我が社が利益を取り戻す方法を考えよう」と号令を出しても、良い案が浮かぶ可能性は低そうです。しかし「人が座らない座席が3分の1ある。これをどうにか収益源にしたい」と考えると、答えが出るかもしれません。座席にピッタリとフィットして左右の人に邪魔にならない、汚されたり奪われることもない収納ケースを設置し、小さいが値の張る製品(半導体基板や宝石など)を輸送する方法が考えられます。


「この仕組みで儲けるには、もう一工夫が必要だな。人間の輸送ほど料金は取れないだろうから、手続きを極限まで効率化する必要がある。」デジタルがカギとなるかもしれません。旅客用の予約・管理システムとは別に小荷物専用の予約・管理システムを設けて顧客満足とコスト削減を同時に実現するのです。それは「空の旅」提供者から「空輸」提供者に進化することを意味しています。



自らの「進化」を真剣に考える

コロナ禍に遭遇した企業は皆、このような変化が求められています。というか、以前から世界ではデジタル化やグローバル化など「産業革命」が進展していた中、日本は無風状態だと思い込んで見過ごしていました。コロナ禍によって、そのトレンドを無視していると立ち行かない状況が増強され、加速化されたのです。


「分かった。そのうち、考えておく。」それでは遅いと思われます。「では、いつまでだ?」コロナ対策資金を手にした後、次に融資を申し込む時までに考えておくのが安全です。その時に金融機関は「コロナ後、あなたの会社はどうやって存続していくか、考えていますか?」と聞いてくるでしょう。その時に「今はデジタルがキーワードなので導入したい。その分も含めて〇〇円を貸してくれないか?」と申し込んでも、首を縦に振ってはくれないと思います。でも例えば「我が社は『空の旅』提供者から『空輸』提供者に進化すると決めた。そのため専用システムが必要だ。運転資金とシステム構築費として〇〇円を調達させてくれないか」と説明できれば、真剣に相談に乗ってもらえる可能性が高まります。


「意外と時間がないな。我が社単独で可能だろうか?」もしそうお感じなら、支援を受けることを検討してください。地元自治体や商工会議所などの経営相談窓口を訪れることができます。StrateCutionsでもご相談に応じています。我が社の生き残りに必要な「進化」への取り組みを是非、遅れないように始めてください。




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本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は写真ACからfujiwaraさんご提供によるものです。fujiwaraさん、どうもありがとうございました。




 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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