「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第166回

「打つ手がない」と思った時に行えること

落藤 伸夫 2021年6月21日
 



この記事を書いている2021年6月17日(木)時点で、10都道府県に発令されている緊急事態宣言について、沖縄は継続、9都道府県は20日の期限をもって解除する方針だと報道されています。解除されたからといって事業活動が元に戻るとは限らず、東京、大阪など7都道府県ではまん延防止等重点措置に移行することになっており、飲食店の酒類提供をはじめとした事業活動の制限は継続される可能性があり、予断を許しません。


そのような中、事業再構築補助金の緊急事態宣言特別枠について、6月16日に採択の発表がありました。

https://jigyou-saikouchiku.jp/result.php


発表には「事業計画名」欄があり、これを読むと全国の中小企業が実に様々な「事業再構築」を企画していることが分かります。中には「そんな再構築を企画したのか。良いところに気が付いたな」と感じることがあります。


今回は、事業再構築補助金の採択発表から感じたことを、考えていきましょう。



「もう打つ手がない」のは本当か?

筆者が前職の公庫時代に、倒産審査マンとして信用保証協会が代位弁済した案件を約30年間で18,000件以上、審査してきたことを、以前にお話ししました。そこで気になったことの1つに「倒産企業が行っていた努力の方向性は、適切なのだろうか」があることも、お話しました。倒産の経緯について、ほとんどの案件で「業況回復に向けて懸命に努力してきたが、万策尽きて倒産に至ってしまった」と報告されているけれど、事業改善や経営戦略についてMBA課程で学んだ者からすると「1度トライして効果があがらなかった策を何度も続け、そのうちに資金も尽き気力も尽きて倒産してしまったのではないか」、「もっと他の選択肢があったのではないか」と感じてしまうケースが少なくなかったのです。


このように言うと「仕方ないではないか。企業はいろいろトライして成果が出ないので『万策尽きた。もう打つ手はない』と力尽きてしまったのだ」と言われるかもしれません。確かに、全ての企業が全力を尽くして倒産を回避しようとしていたことは、ひしひしと感じます。一方で、努力の方向性については「他の手もあったのではないか」と感じてしまうのです。


そう感じるのは、筆者が第3者だからなのでしょう。第3者は当事者より「距離を置いて」いるので、見えるものがあるのです。例えばコロナ禍で自社製品が売れなくなった場合、当事者に見えているのは「自社製品が売れなくなった」ことだけです。それで「どうしよう」と慌ててしまい、「安売りすれば売れるかもしれない」と考えてトライし、うまくいかないと「打つ手はない。万策尽きた」と考えてしまう可能性があります。


しかし距離を置いて見ている第三者は、ある商品が売れなくなったら多くの場合、他の商品が売れていることに気付きます。今回のコロナ禍でも、もちろん消費者が消費を抑えている部分も無きにしも非ずですが、ほとんどの場合、ある商品を買わなくなったら他の商品を買っています。次に売れ筋になった商品を売ることで、ビジネスを維持できるかも知れません。打つ手はあるのです。



「打つ手を打つ」ために、自分を変える

「そんなこと、事業者だって分かっている。ただ事業者には変化が難しいのだ。顧客の要望が変わったからといって、自らを変幻自在に変えられるものではない。」仰ることは良く分かります。例えば商店で取扱商品を変えるには、仕入れ先を変える必要があるかもしれません。口で言うは簡単ですが、それは一筋縄ではないでしょう。また取扱商品に応じて店舗も変える必要があるかもしれません。莫大な費用をかけて改装等するのは困難です。


このような場合に、どう考えるべきか?もし「コロナ禍が終わっても、自社の売上は以前には戻らない。成り行きではいずれにせよ、企業を持続させることはできない」と考えられるなら、損益分岐点を超えるレベルに売上を拡大するために、打つ手を打たなければなりません。自分を変える必要があるなら、変革・再構築するのです。


「だから言っただろう。それは難しいのだ。」打開する一助として「事業再構築補助金」が準備されたのではないかと思います。冒頭でも申したように、採択リストを見ると「そうか、そんな変革方法があったのか」と膝を打つアイデアを見付けられる場合があります。「打つ手が見えない。しかし、このままでは先がない」とお考えの経営者がおられたら、是非、採択リストを眺めてみるよう、お勧めします。今まで思いつかなかったヒントが、そこに見つかるかもしれません。




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なお、冒頭の写真は写真ACから fujiwara さんご提供によるものです。fujiwara さん、どうもありがとうございました。




 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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