「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第157回

伴走支援型特別保証を事業性評価にする方法案

落藤 伸夫 2021年4月12日
 



先週の本コラムでは4月に始まった「伴走支援型特別保証制度」について、事業性評価を行う制度として運用されるよう期待しているとお話しました。このようにお話しすると、2つの疑問が生じると思います。1つ目は「当該保証制度が事業性評価として運用されるために、何か注意点はあるのか」という疑問、2つ目は「当該保証制度が事業性評価として運用されると、どんな良いことがあるのか」という疑問です。今回は、これらの疑問について考えてみます。



事業性評価として運用されるメリット

順番が逆になりますが、最初に2番目の疑問「当該保証制度が事業性評価として運用されると、どんな良いことがあるのか」との疑問から考えてみます。というのは、このことは前回コラムで軽く触れているからです。伴走支援型信用保証制度が事業性評価として運用されると、「2度目のコロナ特別貸付・コロナ特別保証で資金調達ができない」と困っている、しかしコロナ禍を生き残ころうと強く決意している中小企業が、自社の事業性を評価されて再び資金調達できる可能性が高まります。


昨年秋以降、「コロナ特別貸付・保証の2度目は困難だ」との声が聞かれました。春から夏にコロナ特別融資・保証を受けた後、秋以降はセーフティ保証要件を満たしても審査が通らないという現象です。この理由一つとして、企業が、金融機関(信用保証協会を含む)が企業毎に設定する限度額を超えて資金調達したことがあります。


今までの枠組み(民間金融機関では「信用格付」準拠の、日本公庫や信用保証協会では各々の審査思考ロジック)で融資(保証)限度額が5,000万円とされ、一昨年末に限度まで借り入れていた企業を考えましょう。普段ならプラスアルファは難しいところですが、昨年はコロナ特別貸付もしくは特別保証で2,000万円が調達できたとします。この企業がコロナ禍の継続のため更に1,000万円を申し込んだ場合、民間金融機関のみならず、日本公庫そして信用保証協会も承諾は困難でしょう。限度額をはるかに超える与信が、既に行われているからです。


この企業が資金調達できるようになるには、金融機関が限度額を引き上げる必要があります。「今までの思考ロジックでは5,000万円だったが、他の思考ロジックを追加すると3,000万円が上乗せできる」と考えてもらうのです。その思考ロジックが「事業性評価」です。



伴走支援型特別保証が事業性評価として運用されるには

「コロナ禍が続く中、会社を持続させる資金調達がままならない。コロナ特別貸付・コロナ特別保証では2度目は難しい」と困っていた企業でも資金調達が可能になるかもしれない制度として期待できる伴走支援型特別保証ですが、「では、申し込もう。後は金融機関担当者に任せれば良い」という考えでは、上手くいくはずの制度も活用できなくなる可能性があります。金融機関担当者に任せるのではなく、ご自身で取り組むのがポイントです。


「なぜだ?この制度の名前にも『伴走支援型』とある。金融機関がしっかりサポートして資金調達を可能にしてくれるのが制度趣旨なのではないか。」いえ、筆者は、「伴走支援」の読み方は、そうではないと考えています。「伴走支援」とは「主体的走者」があってのこと、金融機関(担当者)が伴走者だと位置付けられているとは、「主な走者」は別にあると読む必要があります。企業の資金調達における主体的走者は企業自身、経営者自身です。まず企業が「走るぞ!」との決意を示し、走り出す必要があります。それをどうやって示すか?制度要件である「経営行動計画書」を策定で主体性を発揮してください。そのモデルケースがネット上で公開されています。

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2021/210325hosyo02.pdf


事業改善の計画策定と実行に主体的に取り組むことが、「伴走支援型特別保証」を事業性評価として運用してもらう鍵だと考えられます。ここで主体性を発揮せず、「計画なんか、金融機関に策定を任せていれば良い」というスタンスでいると、事業性評価してもらえる可能性は限りなく低くなると考えられます。当該制度による資金調達そのものが、できなくなるかもしれません。



金融機関にしっかり伴走してもらう

「経営行動計画と言われても、どんな計画を作れば良いのか分からない。」ならば伴走者である金融機関に相談してください。政府は経営行動計画書のフォーマットを提示していますが、それを見ただけで計画を策定できる経営者は少ないでしょう。だからこそ政府も「中小企業の経営者が1人で悩むことなく、支援機関と相談をしながら」策定するように勧めています。


「計画策定で相談はするけれど、実行にあたって伴走してもらうけれど、主体者は私自身」と経営者が思い定めて事業改善に真剣に取り組むことが、伴走支援型特別保証を事業性評価として運用してもらう鍵だと、筆者は考えています。




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本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は写真ACから mybears さんご提供によるものです。mybears さん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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