「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第82回

信用保証制度見直しの影響

落藤 伸夫 2019年6月3日
 
 昨年春、当コラムで「中小企業信用保証制度見直し」について、内容や影響、対応方法について5回にわたりご説明したところです。ここに来て、その影響と思われる事象について見聞きするようになったので、ご紹介しようと思います。特に「発展期」にある中小企業(小零細企業を覗く)に対して、これまでとは少し違った対応が見られるようになっています。

信用保証制度見直しとは

 「中小企業信用保証制度見直し」とは、2017年6月に成立した「中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案」が施行されたことにより実現したものです。

<中小企業庁告知サイト>

 見直し措置は2本柱で構成されています。第1の柱は「中小企業の多様な資金需要に対するきめ細かな対応」で、大規模な経済危機、災害等による信用収縮への対応策となる「危機関連保証の創設」や、特別小口保険適用保証や小口零細企業保証に係る付保限度額を拡充(1250万円→2000万円)する「小規模事業者への支援拡充」、創業関連保証付保限度額を拡充(1000万円→2000万円)しつつ保証割合は100%保証を維持する「創業関連保証の拡充」などの措置が取られました。これらの制度拡充は「創業期」や「再生期」、「持続的発展」、「危機時」にある企業が対象とされました。

 第2の柱は「信用保証協会と金融機関とが連携した支援」で、プロパー融資(信用保証なしの融資)と信用保証付き融資を適切に組み合わせてリスク分担を図る「信用保証協会と金融機関の連携」と、法律に明記したことで強力に推進していくこととされた「信用保証協会における経営支援」、及び、不況業種を対象とするセーフティネット保証5号の保証割合を100%から80%に変更する「セーフティネット保証5号の保証割合の引下げ」などの措置が取られました。これらの措置は、「成長発展」にある企業が対象とされています。

 これを見ると、信用保証の利用が企業の特性により区別されることが理解できます。小零細企業や再生期などにある企業は従前と同じ、いや以前より拡充された信用保証が利用できる一方で、発展期の中小企業は民間金融機関との連携の中で信用保証を受けられることとなったのです。

発展期企業経営者からの情報

 そういった中、首都圏のある企業経営者から情報が寄せられました。金融機関の姿勢が変わったそうです。その企業は創業から数年間、売上不振に悩まされ連続赤字で債務超過に陥っていました。しかし収益性をアップできるビジネスモデル変更を断行し、好感触を得たので強力推進することにしました。その資金調達のご支援で事業性評価を引き出す事業計画書を提出、期待額満額融資が得られました。約2年前のことです。

 昨年度は、高収益に支えられて債務超過額を縮小、この流れをチャンスにと積極的に資金調達に取り組み、設備投資して従業員も増員しました。金融機関はプロパー融資と保証付融資も取り混ぜて対応してくれました。この調子なら、事業性評価を引き出す計画書も不要になるかと、筆者も感じていたところです。

 今年度早々、債務超過を解消した頃から金融機関の姿勢が変化したそうです。「今後は原則、プロパーで取り組ませて頂く」という発言があり、社長は最初「保証料不要なので助かる」と喜んでいました。しかし、それだけではなかったようです。「プロパー対応が難しいので信用保証付きで」とも言わなくなったそうです。昨年から予告していた増加運転資金は、改めて事業計画書を提出してプロパー融資で調達できました。

金融機関の姿勢を推察する

 この現象は「信用保証制度見直し」の影響として、とても納得できるものです。事例企業は、昨年までは債務超過の「再生期」にある従業員5名以下の「小零細」販売業企業で、信用保証の支援対象にぴったり該当します。その後に債務超過を解消し、従業員も8人となり今後も拡大見込みとなると、「成長期」に分類されたと思われます。この段階では金融機関と信用保証協会が「連携」してリスク共有すると謳われています。

 「さりとて、すぐに信用保証協会を使わないと判断する必要もないのではないか?」筆者も、そう思います。一方で、金融機関には別の事情があったのかもしれません。例えば、単独支援が難しそうな他企業で信用保証を使えるように、成長が明らかな企業ではなるべく使わないと判断したのかもしれません。

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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。

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