「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第219回

戦略・ビジョンで取組を成功させる

落藤 伸夫 2022年8月1日
 



「事業改善に取り組まなければならないと理解しているが、失敗の可能性が少なくない。時にはもっと困難な状況に陥る危険性を考えると、取組に踏み切れない」という声を聞きます。しかし、現状を続ける中に活路が見出せないとするなら、恐怖感が障害になって必要な取組を始められないことは、とても残念です。今回は、これまで考えた「上手くいかない理由」を踏まえて、どうしたら挑戦的な取組に成功できるか、考えてみます。



「上手くいかない理由」を一掃する戦略

会社の立て直しのように意欲的な取組が上手くいかない理由の第1に経営者が「自分事」にしていないこと、第2に従業員が「みんな事」にしていないこと、第3に試みを成功させるための合理的な道筋が描けていないことが挙げられます。これら3つの失敗理由を予め排除しておけば、成功の可能性はかなり向上すると考えられます。では、どうすれば良いか?事業改善・事業再構築について戦略とビジョンを描くという方法があります。


こういうと「事業計画には当然、戦略を記載した。それでも成功できなかったぞ」という声があがりそうです。確かにほとんど全ての事業計画に戦略が記されていますが、多くに不足があると、前回にお話をしました。「試みを成功させるための合理的な道筋」になっていないのです。少なからぬ計画書の「戦略」欄に記載されている内容には不足があることが失敗の原因になっています。


例えば技術的難度が高い山を踏破しようとする時を考えてみましょう。登山道を確認し、季節に応じた装備を決め、歩くスピード等から休憩場所・宿泊場所を決め、日程(予備日も含む)に応じた飲食料を準備すること等をしっかり計画することで成功確率が高まります。「◯◯岳登山計画」と銘打ちながら登山道と宿泊場所だけが記載され、装備や休憩場所、飲食料に触れていない計画では、成功は覚束ないのです。


経営改善・事業再構築に挑もうとする計画に、同様の「抜け落ち」があるものが少なくありません。「◯◯岳に登る」と同レベルの貧弱なものさえありました。それでは到底、成功はできません。事業改善や事業再構築を成功させるために「必要だと考えられる取組は全て計画した」と言えるほどの戦略を立てることで、成功確率を高めることができます。



「みんな事」のために役立つ「ビジョン」

会社立て直しが失敗する第2の理由は、従業員が「みんな事」にしないことです。立て直しを「みんな事」にするよう「従業員を巻き込む」とは、「力づくで関与させる」ことではありません。「この会社の先行は不安だが、社長は『会社を立て直す』と息巻いている。面白そうだし、成功したら私も気分が良いだろう。自分の力を試す意味で取り組んでみよう」という気分にさせることです。従業員のみんな事と経営者の自分事はワンセットです。


「みんな事」を成立させるには「従業員の貢献を明確化する」ことと、「従業員にとってなくてはらない会社である」ことがポイントです。前者はアクションプランで多くの企業で明確化していますが、成功しないのは何故か?後者、つまり「ビジョン」が描かれてないからです。


今まで拝見した事業計画の多くは「企業が売上を伸ばし、利益を増大させる。弱りきった財務体質を改善し、金融機関からも信頼される会社になる」が結論で、「金融機関から見た企業像」にフォーカスされています。別途聞いてみても「従業員から見た企業像」が描かれている計画書は、極めて少数です。一方で、従業員が生き生きと働く企業に事業計画を見せてもらうと、例外なくと言えるほど「従業員から見た企業像」が描かれています。


ビジョンは、その言葉の通り「将来像」が主です。「売上を伸ばし利益が増大したら、給料や仕事環境、福利厚生などで還元される」という構図です。一方で会社の立て直しの場合、かなり遠い将来像、実現にリスクある像だけに頼ると従業員のモチベーションが下がってしまうかもしれません。


このため、戦略目標が実現するタイミングよりも前の、比較的近い未来のビジョンも描いておくことが勧められます。「従業員が会社に貢献すればするほどメリットがある」構図を描くのです。以前にもご説明したように、地域になくてはならないサービス、お客様から「あなたの会社がなくなったら困るよ」と言われるビジネスを目指すという方法もあります。


「会社を立て直す取組、次は絶対に成功させたい」と思われるなら是非、戦略とビジョンを工夫してください。「自分にできるだろうか?誰かと相談したい」と思われるなら地域の「よろず支援拠点」などにご相談ください。StrateCutionsでもご相談に乗りますのでご連絡ください。




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なお、冒頭の写真は 写真AC から keisuke3 さんご提供によるものです。keisuke3 さん、どうもありがとうございました。




 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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