「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第210回

事業改善を目指すべき場合とは

落藤 伸夫 2022年5月30日
 




令和4年3月を決算期とする企業の申告がピークを迎えています。多くの企業の決算書に、コロナ禍が2年以上も続いた影響が色濃く反映されているでしょう。ウイズコロナへの突入がほぼ確実となる中、これによって業績回復が見込める企業はコロナ禍前の需要が戻ってくるのを待てば良いのかもしれませんが、それが期待できない企業は計画的な取り組みが必要です。前回は新製品開発や業種・業態転換等のイノベーションが可能な企業について考えてみました。今回は、以前からの事業を改善していく事業改善しか道のない企業について考えます。



イノベーションできない企業

つい10年前までは多くの企業にとって、それまで経験のない・関連もない事業に足を踏み入れるのは、切替や初期費用が高くノウハウもない、リスク管理もできない等の理由から、そう簡単に着手できるものではありませんでした。しかし現在では、ITの飛躍的な発展やインターネットの普及、社会通念の変化などからイノベーションのハードルが大きく下がっています。これを後押しする事業再構築補助金が設けられたこともあり、今までになくイノベーションが身近になったと感じられます。


一方で、引き続くコロナ禍の中でも事業継続を目指していくために、新製品開発や業種・業態変更などのイノベーションを目指すことはできない企業も存在します。例えば転用の効かない不動産・機械設備を備えた企業です。ある運送業者は、重量があり長尺・特殊な形状の荷物の輸送に特化して一台数千万円する運搬具を多数有しているので、他業種に転換するのは現実的ではありません。他の荷物を運ぶことすら、難しいのです。これほどの事情がなくても、そもそも新たに始める事業が思いつかない(ノウハウや資源がない。市場・顧客を知らない、遠いなど)という企業もあるでしょう。


このような企業は、いくら現在の事業がコロナ禍により大きな影響を受け今後の早期の回復が見込めないとしても、イノベーションを目指すのは容易ではありません。既存事業の中で売上や利益の拡大を目指す「事業改善」に取り組むのが現実的です。「もしかしてイノベーション(事業再構築)が可能かもしれない」と考えて時間やコストを浪費するのはお勧めできない、と言えるほどです。



事業改善のアプローチが増えてきた

「コロナ禍やウクライナ戦争などで大きく需要が減退、サプライチェーンも毀損した環境下で何ができるのか」という経営者も多いことでしょう。お気持ちはよく分かります。しかし今、取組を始める必要があります。事業再構築(イノベーション)が困難なら、既存事業を立て直す事業改善に今すぐ着手しなければなりません。


その理由の第1は、企業が宿す「存続に必要なエネルギー:資金」が尽きかけているからです。コロナ禍の影響を受けた企業の多くは「コロナ特別貸出」や「コロナ特別保証」を利用して資金を確保したでしょう。「今もその資金は残っている。来年には底を尽くが」と計算されるなら、その時に事業を継続できる資金を調達できるように、会社が回復基調にある姿を見せなければなりません。


「緊急的な支援措置で資金調達できるのではないか?」それは時速100km以上で車が走行する片道5車線の高速道路を走って横切ろうとするのと同じほど、運に天を任せた行為です。金融機関が「この企業は資金を提供すれば持続化できるだろう、立ち直れるだろう」と納得できる状況を作っておくことがポイントなのです。


第2は、どんな業種・業態にあっても売上をあげ、利益を確保している企業があるからです。今までにない売上・利益を実現して名声を高めている企業さえ、あるかもしれません。このような状況を見ると、あなたの会社が立ち直りを諦める理由はないと分かるでしょう。


「それはコロナ禍になる前に、現在の躍進に繋がる『取っ掛かり』を作っていた企業だ。自社はそれはできなかった。今、できることは何もない」そうでしょうか?コロナ禍が2年以上も続いたことで事業環境が大きく変化しました。中にはインバウンドなど、コロナ以前から1/10近くまで需要が減少するなどマイナスの方向性もあります。一方で、その間にインターネットによる情報展開や販売、そして運送業者を活用した販売などプラスの方向性もあります。ビジネスチャンスを捉える・活かす事業環境が出現してきたのです。実際、今、元気な企業はこの環境変化を活用しています。


「そう言われてみると自分にも可能な気がしてきたが、一人では難しい。誰かと相談したい」と思われるなら是非、地域の「よろず支援拠点」あるいは取引金融機関などにご相談ください。StrateCutionsでもご相談に乗っています。




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なお、冒頭の写真は 写真AC から bBear さんご提供によるものです。bBear さん、どうもありがとうございました。




 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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