「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第125回

戦略を考えた次にやること:言語化・数値化

落藤 伸夫 2020年8月17日
 


前回、コロナ禍で新たなトレンドが生じており対応が求められていることと、それ以前からあったトレンドを掛け合わせると一見、ピンチと思えた企業にもチャンスが巡ってくる可能性があることを考えました(これは、コロナでチャンスを掴んだ企業でも、ぼやぼやしていると落とし穴にはまる可能性があることも意味しています)。

「参考になった。現在は厳しい状況だが、トレンドを押さえることで血路が見出せる可能性がある。自分も考えてみた。」それは素晴らしいことです。それで、どうしましたか?「どうしたかって?考えろと言われたので考え、いろいろと可能性があると感じた。それだけではダメなのか?」ダメとは言いませんが、もったいないです。そこまで考えられたら、是非、次の段階に進んでください。


戦略を言語化する

戦略を考えたら、是非、それを言語化してください。口に出して言う、そして言葉として書き出すのです(手書きでも良いし、パソコンでも構いません)。なぜ言語化するのが良いか?次のようなメリットがあるからです。

第1に、他の人々に的確に伝えられます。伝えるべき相手として「実行してくれる社内担当者・彼らをリードするマネジャー(つまり社員全員)」の他、「戦略実施に共感し協力してくれる関係者」がいます。金融機関も、時には我が社の戦略策定・実行を力強くサポートしてくれます。また時には「共に栄えることを目指したい顧客や取引先など」を見つけることができるかもしれません。

第2に、ブレークダウンが可能になることです。経営者が思いついた戦略は「あの顧客に、この商品をアピールしたい」などのラフスケッチが多く、その実行にはアクションプランが必要になります。アクションプランは経営者だけでは困難で、社員の協力が必要になりますが、言語化されていないと社員を巻き込むことができません。

第3に、ブラッシュアップが可能になることです。今まで多くの企業で戦略策定・実施のお手伝いをしてきましたが、最初に浮かんだアイディアをそのまま実現すればうまくいったという場合は、多くありません。対象市場やターゲット顧客、協力先、実行手順などの側面からブラッシュアップすることが必要でした。それを頭の中で行っても、堂々巡りになることが多いのです。言語化してこそ、うまくブラッシュアップができます。


戦略効果を数値で表現する

戦略を言語化してブラッシュアップし、社員に伝え、彼らを巻き込んでアクションプランを検討できる段階になったら是非考えてもらいたいのが、戦略効果を数値で表現することです。

「そうやって金融機関は『数値計画!数値計画!!』とばかり言う。しかし、そうやってせき立てられて作った数値計画が実現した試しがない。」はい、そのような現状を、筆者もたくさん見てきました。多くの場合、それは「数値計画ありき」で作成されたものが多いと感じています。トレンドを見極め、不利なトレンドには抗うため有利なトレンドを利用する戦略を立て、アクションプランを策定し、社内一丸となって取り組むと心を一つにするというプロセスを経ていない計画です。このような計画は、いくら経営者が実行を促しても「笛吹けども踊らず」という状況になりやすいのです。

一方で、今回の戦略・計画は「こんな状況を打開したい!トレンドを踏まえて練りに練って戦略を立てたので、社内一丸となって実行していく!」というコンセンサスが得られた戦略です。この場合は「笛吹けども踊らず」になる心配はありません。一方で陥りがちなのは、取組みを進めるうちに社員がそれぞれの方向感や成果基準を持つようになって、いつの間にか組織として決めた方向性から外れ、パフォーマンスが落ちてしまうことです。最悪の場合には「会社はお祭り状態なんだけれど、全然儲かっていない」という状況にさえ陥る場合があります。

社員が勝手な方向感や成果基準を抱くのはなぜか?「そうなんだ。社員とは自分勝手な考えに走る場合がある。」というよりも、会社がそれを明確に示していないことが原因になっている、というのが、長年にわたって企業の取組みを支援してきた者としての印象です。何の取組みをいつ迄(数値)に何回(数値)行うか。それにより如何ほどの成果(数値)を出すことを目標にするのかを明確に表現すれば、社員が勝手に方向感を変え成果基準を落としてしまう現象はほとんど無くなります。

言語化して数値化することが、戦略の実現性を高める第一歩です。これはまた、金融機関の納得を引き出し、応援団となってもらう第一歩でもあります。コロナ禍が長期化して厳しい資金繰りが続くとみられる現状では、金融機関に応援団になってもらうことほど心強いことはありません。是非、取り組んでみてください。


<本コラムの印刷版を用意しています>

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


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なお、冒頭の写真は写真ACからtom200さんご提供によるものです。tom200さん、どうもありがとうございました。
 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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