「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第193回

新たな試みを始めるため自社を分析する

落藤 伸夫 2022年1月24日
 



令和4年に入ってからのオミクロン株の蔓延が止まりません。沖縄や首都圏では異次元の増加となっています。先日にはWHOが今後6~8週間でヨーロッパの半数が感染する可能性があると予想しました。これまでの経緯から日本の蔓延度合いはそれほどではないと考えたとしても、今の展開について注視していた方が良さそうです。


この状況にどのように対処していくか。これまでコロナ禍の影響を強く受けた業種・業態では、成り行きに任せてしまうのは危険かもしれません。事態を切り拓いていく行動を自ら起こすことがポイントになりそうです。今年に入って2回にわたり、変革をテーマにお伝えし、前回は参考になる戦略的思考「ポジショニング理論」と「リソース・ベースト・ビュー理論」をご紹介しました。今回は「リソース・ベースト・ビュー理論」の活用で前提となる自社分析について、考えてみます。



自社資源を踏まえる理由

戦略を考える時、自らが有する自社資源を的確に捉え、有効活用するアプローチが勧められます。「そうかな?今までの資源では満足な成果が得られなかったので、戦略を立てて新たな試みに乗り出していこうとしているのだ。これまで事業が上手くいかなかった原因である人的資源や物的資産等を踏まえても仕方ない。これらは根こそぎ消し去り、真っ白なキャンバスに最も成功しそうなプランを考えるのが良い」とお考えの方もおられるかもしれません。そう考えた方が良いケースもあるでしょう。しかし平均的には(というか、相当の確率で)これまでの資源を踏まえた方が、戦略の成功可能性は高くなります。


その理由の第1は、ここでいう「資源」とは、従業員などの人的資源や店舗・工場・在庫などの物的資源だけではなく、もっと広い意味で「会社に関係し、事業活動にメリットをもたらすものごと等」を全て含んでいるからです。例えば自社に積み上がったノウハウ(無形資源)、ファンである顧客や彼らの間での知名度、安く・ユニークな商品を仕入れられる取引先との関係等が含まれます。それらの中には新しい事業でも活用できるものがきっとあるでしょう。それらを身に着けるために時間がかかり、障害を克服する必要がある要素なら、それを有することは有力な差別化要因になり、新事業を推進してくれます。


これまでの資源を踏まえた戦略とした方が良い理由の第2は、第1の理由でおおよそ予想がつくと思います、その活用が差別化要因などの優位性に繋がり、事業戦略の成功確率が高まるからです。例えば当社に好意を持ちリピートしてくれる顧客がいるなら、それは代え難い優位性です。「そうかな?そのような顧客がいても、当社の事業は上首尾にはいかなかったのだぞ。」それは仰る通りですが、別の考え方を試して見る価値があります。「現在、確保している顧客は購買力がなくキープする価値もない」と考えるべきなのか、「現在、確保している顧客はそれなりに購買力がありキープする価値があるが、当社が事業性に繋げられていない」と考えるべきか、です。


後者の考え方に則るなら、今までのビジネスを冷静に分析して「当社は顧客上の優位性がありながら売上・利益に繋げられないビジネスモデルだった。ビジネスモデルを変えれば事業性に繋げられる」と気が付くかもしれません。例えば買い置きができる商品を顧客に来店して購入してもらうビジネスモデルは、購入頻度を高めるのが難しい一方で、店舗の零細で立地も芳しくないと影響が大きく出る可能性があります。固定費が大きく損益分岐点が高くなる割に、売上があがらない現象に繋がっていたかもしれません。同じ顧客が喜んで購入する買い置きがきかない商品を、インターネットで販売することで、購買頻度を高めながら損益分岐点を低めることができ、収益拡大・事業性アップに繋げられるかもしれません。



自社分析の方向性

以上から、現状打破を目指すため自社分析する方向性を整理しましょう。第1は自社の強みをあぶり出すこと、第2は弱みを把握することです。今まで数多くの企業をご支援した経験から、強みがない企業などありません。にもかかわらず業績に繋がらないのは、それを打ち消す弱みにも気が付かないからです。このため効果的な対策を打ち出せず、場当たり的な取組に終始してジリ貧に陥っている、という状況が多くみられます。


強み・弱み分析で「できるだけ多くの項目を挙げる」アプローチはお勧めできません。それでは利用できる資源も、克服すべき課題も見えてこない可能性があるからです。自社の強みを的確に挙げると共に、それを打ち消す真の弱みも把握することで、業績改善(時に飛躍的な改善)に繋がる新機軸を描けるようになるのです。




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なお、冒頭の写真は 写真AC から ハル14 さん ご提供によるものです。ハル14 さん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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