「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第185回

改善策の実効性を検証する

落藤 伸夫 2021年11月15日
 



令和3年も11月の半ば、今年も実働は約5週間です。短い期間ではありますが、この間にできることをしておくか、先送りにして来年の課題にするかで、得られる結果が大きく異なる可能性があります。特に課題が、緊急事態宣言は解除され人々は日常を取り戻しつつある中ながら、我が社の事業は本調子ではなく資金繰りが多忙であるなら、取組をすぐに開始する必要があります。「昨年のうちにコロナ特別貸付・コロナ特別保証を利用して資金調達しておいたので、キャッシュが枯渇するのは来年の冬だ。それまでは大丈夫だ」と考えていたら、会社を立て直す貴重な時間を浪費してしまうかもしれません。先週は、どんな経営改善策があるかリサーチすることを考えました。今週は、リサーチして思いついた策について検証することについて考えます。



成功例を鵜呑みにしない慎重さが必要

先週、さまざまな情報源から経営改善の事例をリサーチできること、そして顧問税理士をスタートに行政や商工団体などに支援を求めることができることについて、お話ししました。多くの中小企業経営者は、ビジネスで繋がりのある関係者とのネットワークは持っていますが、経営改善など慣れない取組について相談できる相手は少ないのです。このため自社を最も理解している顧問税理士を起点に、中小企業の支援に積極的な行政や商工団体等の力を借りることがポイントになるのです。実際、経営改善を上首尾に遂行できた企業経営者に話を聞くと、きっかけが顧問税理士や行政・商工団体への相談だったことが、少なくありません。


こうやって経営改善についてリサーチすると、少なからぬ企業経営者が「良い案に思いついた!」と言われます。「我が社の業種・業態に将来はあるのだろうか」と疑っていたところ自社に似た企業の成功例を目の当たりにしたり、自分が長年温めてきたものの成功について自信が持てず逡巡していた策が上手くいった例などを目にすると、「そうか、それなんだ!」と思うのです。その気持ちはとても大切です。ぜひ、その気持ちを失わないようにしてください。


一方で、その気持ちだけに動かされて具体的な取組を始めることは、お止めください。目にした事例の成功理由や苦労したポイントを知った上で、自社で実行した場合の実効性をチェックする必要があります。他社で成功した目標・方法が我が社で成功に導くとは限らないので、それを慎重にチェックするのです。



成功例のコピーが上手くいかなかった例

多くの製造業企業が「買い叩かれる下請けではなく、自社製品で会社を成り立たせたい」と思っていることでしょう。高い技術を持つ企業しか実現し得ない自社製品に成功することで、起死回生を遂げた企業は沢山あります。一方で、製造業企業なら自社製品を持てば起死回生が成し得るかというと、そうとも限りません。ある企業は、自社製品で成功した仲間を模範に取り組みました。自社の高度な技術をさらに研ぎ澄ませながら、製造に必要な各工程の専門企業とも連携して、見事に製品化を成功させたのです。しかし事業的には成功しませんでした。新製品の市場が非常に限られていたので、自社の業績を改善するほどの売上をあげることができなかったのです。


成功した企業を真似たのに、なぜ自社は成功できなかったのか?模範企業を子細に見ると、自社製品実現のために自分より規模の大きな企業や公設の試験機関(公設試)等と連携することが多いように見受けられました。「高技術を身に付けた企業にしか実現できない製品」は、それを売って儲けようというより(多少は販売して利益を得たと思いますが)、製造プロセスを共にして大企業や公設試からの信頼を勝ち得ることが目的だったようです。その後、大企業主体のビックプロジェクトに参加したとの報告も聞こえてきました。


一方で成功しなかった企業は自分と同程度の、大きくても大企業とは言えない企業と連携していたようです。連携後に、それら企業から受注を受けることはなかったのです。自社製品販売でも、それら企業とのネットワークは活用できませんでした。出来上がった製品がどんなに良くても、製造業企業が直接に販売するのは難しく、業績に繋がらなかったのです。



慣れ親しんでいない分野(弱み)が命運を分ける可能性

経営改善の取組は多くの中小企業にとって「初めての取組」です。この時、多くの企業が「自社が慣れ親しんだ分野で勝負しよう」と考えます。強みを生かしながら差別化する観点ではそれが正解ですが、改善の取組から成果をあげようとする場合、弱みが命運を分ける場合が多いのです。検討した製造業のケースでは、慣れ親しんでいない販売がポイントになりました。そこまで考えないと、成功できないのです。


では、どうすれば良いのか?まずは経営改善における実効性のポイントを見極めましょう。「どうやったら良いのかわからない?」専門家の助けが効果的です。StrateCutionsでもご相談に応じます。必要ならば是非、お声がけください。




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本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は 写真AC からfujiwara さん ご提供によるものです。fujiwara さん、どうもありがとうございました。





 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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