「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第149回

「志で顧客を創造」で事業性を創る

落藤 伸夫 2021年2月15日
 


新年早々に発せられた2度目の緊急事態宣言について、当初期限の2月上旬で終了して欲しいとの願いも虚しく、3月上旬まで延長が決定されました。休業要請に対し行政罰則を設ける改正特措法も成立、飲食業や観光関連事業などに従事する企業とっては辛い情勢が続いています。


企業が生き残れるかどうか、短期的には「支払うべきお金を支払えるか」がポイントですが、長期的には事業継続できるか鍵となります。今後の資金調達において金融機関も、企業が事業を継続できるかどうかの見込みに一番の関心を払うでしょう。先日、第3次補正予算として計上されている「民間金融機関を通じた資金繰り支援(実質無利子融資の年度内実施、新保証制度保証料補助)」で掲げられる新制度は、アクションプランの策定が前提になる方向性だとお伝えしました(以下資料のP.17)。

https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2020/hosei/pdf/hosei3_yosan_pr.pdf


「そう言われても、どんなアクションプランを立てれば良いのか、分からない!」では、今日はどんなアクションプランが立てられるか、考えてみましょう。



事業性を高めるアクションを計画する

「アクションプランって何だ?」と検索すると様々な説明が出てきます。訳せば「行動計画」なので、何か行動を起こす計画という意味です。どんな行動かについて特段、制約はありません。ただ、多くの説明で「PDCAサイクルを回して改善しましょう」というフレーズが含まれていることが多いと見受けられました。「なるほど、日頃、改善が必要だと感じる課題に取り組めば良いのだな」と考えると、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。「日頃、従業員の接客態度が良くないと感じていた。そのせいでお客様を逃がしたこともある。今、お客様が少ないタイミングで、接客態度を向上させる研修を受けさせよう」との計画は、ここで期待されるアクションプランに当てはまらない可能性があります。


ここで求められているのは、事業性を高めるアクションプランです。その実行により売上が増える、利益が向上する計画です。接客態度の改善は、普段なら必要な改善策だと考えられますが、コロナ禍でお客様の行動が制約されている中では、接客態度の向上が売上や利益の拡大に繋がるという因果関係は、それほど明白ではありません。それが売上・利益の向上に役立つ理由が問われるでしょう。その問いにきちんと答えられないと、資金調達にはつながらない可能性があります。



事業性を高めるアクションとは

では、どのような行動を起こせば事業性を高められるのか?ドラッカーの言葉が参考になります。ドラッカーは「企業の目的は顧客の創造だ」と言っています。これまでお客様でなかった人々をお客様にできれば、確かに売上が増え、事業性が高まります。そして今、多くの企業が「顧客の創造」に取り組んでいます。今までレストランだった店舗が弁当も販売し、デリバリーにも対応するのも「顧客の創造」でしょう。「しかし今や、この策は誰でもやっている。それだけでは事業性強化だと受け取られないのではないか?」おっしゃる通りだと思います。では、今後に何ができるか?考えてみましょう。


「顧客の創造」と言っても、無から有を生む訳ではありません。今まで他のことをしていた人に行動を変えてもらって、お客様にするのです。お弁当を買ってもらうには、例えば「今までは自分で料理していた人」たちに、弁当を買ってもらう方法があります。行動を変えてもらう方法の1つとして「意味を教える」方法があります。例えば「料理時間をたまには、何か新しい試みをする時間に変えませんか」と提案できるかも知れません。



志で顧客を創造する

「弁当を食べる」意味合いを変えた例として、先日、感心した取組みがありました。東京新宿の早稲田大学近辺の商店街が、学生を配送員とする弁当のデリバリー・サービスを始めたそうです。この取組みから、弁当を食べることに「学生への支援」という意味が加わりました。その裏には商店街への支援もあります。「弁当を頼むことで学生や商店街を応援する志」を発揮できるチャンスを、地元の人々も喜んでいると報道されていました。


行動を変える理由に「自分のメリット」がありますが、「他人のメリットに貢献する志」も大きな原動力となります。では、貢献をお客様に求めるばかりではなく、自社が貢献のスタートを切るのは如何でしょうか?地域の他事業者や、そこに住む比較的スポットライトが当たらない人もメリットが受けられる「貢献の環」を作るのです。「地元を応援したい」との志を抱く顧客を創造できるかもしれません。「そのような環を、自分のビジネスも絡めて作るには何をすれば良いか」を考える計画であれば、事業性を強化するアクションプランと考えてもらえる可能性があります。


このように考えると、今、「志で顧客を創造」アプローチを利用する例がいくつも紹介されています。志のタネは沢山あるはずです。是非、志で顧客を創造するアクションプランを考えてみてください。




<本コラムの印刷版を用意しています>

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は写真ACから fujiwara さんご提供によるものです。fujiwara さん、どうもありがとうございました。



 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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