「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第204回

中小企業活性化パッケージを機能させるために

落藤 伸夫 2022年4月11日
 



ここ3回にわたって政府が3月4日に発表した「中小企業活性化パッケージ(以下、「活性化パッケージ」ということがあります。)」についてお伝えしました。

https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220304006/20220304006.html

今回は、今後に活性化パッケージをどのように活用していけるかについて、考えてみます。



「収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」内容

活性化パッケージは「コロナ資金繰り支援の継続」と「収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」の2部構成であることと、「コロナ資金繰り支援の継続」については先にお話ししました。今回は、「収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」について考えます。支援が必要な企業は「収益力改善フェーズ」と「事業再生フェーズ」、「再チャレンジフェーズ」に分けられた上で、一元的支援体制として設けられた「中小企業活性化協議会」などから、各々のフェーズに応じたきめ細やかな支援を受けることとなっています。


例えば収益力改善フェーズにある企業は、認定支援機関による伴走(収益力改善に向けた計画策定に加え、計画実行状況のフォローアップや助言等)強化と、協議会による収益力改善支援(中小企業再生支援協議会がコロナ禍で緊急的に実施している特例リスケ支援を収益力改善支援にシフト)強化に係る支援が受けられるとされています。多くの中小企業が対象と考えられる認定支援機関の伴走支援は「(ポストコロナ持続的発展計画事業)早期経営改善計画策定支援」として発表されています。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/04.html


この制度は、売上減少や借入増大に直面している企業であっても、その状況が進んで資金繰りの悪化等を引き起こしてしまい経営に支障が生じることを予防するため、資金繰り計画やビジネスモデル俯瞰図、アクションプランなどを含む経営改善計画を策定して資金繰り安定と本源的な収益力改善を目指す場合に、国が認定した税理士などの専門家の支援を受ける費用の2/3を補助する制度です。計画策定により自社の経営状況を客観的に見直す契機とすると共に、金融機関に提出して「この企業は改善に取り組みそうだ」との信頼関係を構築することで、早期の経営改善と資金繰りの安定化を目指します。



制度を活用する出発点

「この制度があれば安心だ。今しばらくはこれまでの取組を継続し、いよいよ危なくなったら活用を考えよう」と考えると、もしかしたら大変危険かもしれません。経営改善計画を策定して収益力改善に取り組んで成果を出し、その姿を見てもらって金融機関と良好な関係を築き、資金調達が必要な場合には事業性評価でもって対応してもらうためには一定の時間が必要だからです。


「月末の支払い・返済原資がない、資金繰りが破綻しそうだ!」と自覚した時になって初めて事業改善計画書の策定を考えたのでは、手遅れになる場合が少なくないでしょう。もしそうなってしまったら、必要なのは早期経営改善計画ではなく、支払い・返済を止めてもらいながら倒産は回避したいと弁護士に頼むしかありません。しかしそのような状況にまで陥ってしまうと、よほど熟達した弁護士であっても支援は難しいのです。


一方で、経営改善計画を策定・実行することで資金繰り破綻を避けようとするなら長大な時間が必要です。売上を拡大するために新規顧客を開拓したり、既存顧客の購買単価・回数を増やしてもらうには、時間のかかる取組を行わなければなりません。比較的に短期間で成果が出ると言われている経費等の削減であっても、実態調査からビジネスへの影響等を鑑みて決定、相手方との契約等を経て支払額が減少するまでには、それなりの時間がかかります。「早期経営改善計画の策定に取り掛かるべき時は?」と問われたら、「今です」が正解です。


「しかし、窮状に至るまでそんなに時間がある時に、経営改善計画を立てようとする経営者は少ないだろう。」仰る通り、切羽詰まらないと取り組もうとしない経営者が少なくないと思われます。だからこそ税理士など普段から中小企業を傍で支えている専門家の支援が必要なのです。今はコロナ特別貸付・特別保証などで調達した資金が残っているので売上・利益が不足しても支払い・返済原資はありますが、このままだと1年もすれば枯渇する可能性に真っ先に気が付くのは税理士です。


「そうならないように、今すぐ対応を始めましょう」と忠告する最適任者は税理士の他にいません。政府がどんなに良い制度を準備しても、使われなければ何のメリットも生まれません。税理士の皆さんには是非、この「企業生命を救うアドバイス」をして頂きたいと考えています。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は 写真AC から keisuke3 さんご提供によるものです。keisuke3 さん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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