「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第138回

「特別な冬」に備える

落藤 伸夫 2020年11月16日
 


11月も半ばとなり、今年もあと40数日を残すところとなりました。大方の予想で2020年は当初、東京オリンピックを中心に様々な面で盛り上がりを見せる年となると期待されていましたが、ふたを開けてみると、新年早々に中国を発生地とする新型コロナウィルスか蔓延してしまい、それに振り回される1年となってしまいました。いや、ここで残念ながら過去形とする訳にはいきません。年末まであと40日、資金繰りについては例年以上に気を抜くことができない年となりました。今日は、その点について考えてみたいと思います。


「借りにくい」との声

ここにきて、よく聞かれるのは「年末の資金調達が難しくなってきた」という声です。これは、中小企業の皆さんからも、それを支援する方々からも、聞こえてきます。年末の資金調達をいつも金融機関プロパーで調達できた企業であっても「今年は信用保証付きで」と言われることが多いようです。こういう経緯で、コロナ特別貸付やコロナ特別保証の2回目を申し込んでも「以前ほど色よい返事がもらえない」との声が聞こえてきます。


金融危機もリーマンショックも凌駕する景気の落ち込みに直面している今、民間金融機関がプロパー融資について慎重に検討しているのは、致し方ないとも考えられます。一方で、民間金融機関がこのような姿勢なら、日本政策金融公庫による特別貸付や、信用保証協会による信用保証が円滑に行われて欲しいところですが、これも難しいと考えられます。


理由については、以前にご説明しました。現在の制度は「従来から存在する貸付・保証制度に特別な利用条件をつけて、それを満たすものは利用枠を拡大する」という発想だからです。どんなリスクを、どれくらい取るかについての示唆はありません。とすると公庫や保証協会としては、取るべきリスクについて保守的にならざるを得ません。既に一度、支援をした先が、それから半年経過して「改善が見られないので、もう一度支援して欲しい」と申し込んでも、公庫や保証協会としては「現制度で想定しているリスクの目一杯のところまでご支援しているので、それを上乗せするのは難しいのです」と考えてしまうのです。これが「借りにくい」の実態ではないかと感じられます。


コロナ特別資本性劣後ローン

このような状況下、金融資金繰りに困っている中小企業が利用できる融資制度は無いのでしょうか?実は政府は既に2次補正予算で、対応する制度を準備しています。それが、日本政策金融公庫等が行うコロナ特別資本性劣後ローンです。これは、公庫等が中小企業を事業性評価して、コロナ禍を生き残る事業性を有している中小企業に資本とみなせる資金を提供する制度です。但し、関係者の話を聞いてみると、この制度の利度は必ずしも進んでいません。逆に言えば、公庫等はこの制度の利用申込みを待っている状況なので、「よし、利用してみよう」とお考えの企業は、是非早めに公庫等にご相談下さい。


事業性評価を申し込む

コロナ特別資本性劣後ローンは、民間金融機関融資を引き出すことをもう一つの目的としているので、一般の貸付に比べて慎重に審査されていると感じます。その時間を待っていられない企業は、通常の融資を申し込むしかありません。但し「去年のように、お願いするよ」と伝えたのでは、去年のようには対応してもらえない可能性があることは、冒頭でご説明した通りです。このため、申込み時には、事業性評価してくれるよう、必要な資料を添えて申し出る方法があると考えられます。実際、知り合いの融資審査担当者(民間金融機関・公庫)から話を聞いてみると、現在は、企業の現状と将来展望について納得のいく説明をしてもらうことがポイントだそうです。これは「事業性評価」という用語は使いませんが、実際は事業性評価を意味していると思われます。


「事業性評価してもらえるよう準備して申し込むと言っても、どのような準備をしたら良いか、分からない」と言う経営者もいらっしゃると思います。ポイントは「現状をきちんと説明」した上で、「将来に事業を盛り立てていく策を講じているので、企業の存続は可能で、借入金も返済できると説明」することです。例えば、公庫のホームページ上に公表されているコロナ特別資本性劣後ローンに向けた事業計画書が参考になるかもしれません。これらを利用して、会社の現状と今後についてしっかりと考えると共に、金融機関・公庫に素早く相談・申込みをすることが、会社を守る方法です。


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なお、冒頭の写真は写真ACから シルバーブレット さんご提供によるものです。シルバーブレット さん、どうもありがとうございました。

 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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