「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第165回

事業性評価のため企業が行うべきこと

落藤 伸夫 2021年6月14日
 



新型コロナウイルス感染症の蔓延が非常事態宣言等の中でも下げ止まりで、切り札であるはずのワクチン摂取も進まない中、飲食業や旅行・観光関連業を中心とした中小企業の経営状況がいよいよ厳しくなっています。本コラムでは再三、金融機関が事業性評価をして持続を強く目指す企業を支えるよう、求めてきました。しかし、事業性評価は専ら金融機関の仕事と考えてしまうことも、問題だと考えます。確かに、金融機関が「事業性評価を行う」と決めなければ事業性評価は行われません。しかし、金融機関が万全を尽くせばできるというものでもないのです。中小企業の側の努力も必要です。今回は、この点について考えてみます。



中小企業が事業性評価に協力する

顧問として中小企業に伴走支援していると、今が非常に苦しい時であることを痛感します。店を開けたくても開けられない、やっと開けられると意気込んでも最大の書き入れ時には閉めてしまわなければならないやる瀬なさは、一方でコンサルタントとして固定費をはじめとした経費がどんどんと流出していることを知っているので、身につまされます。企業として最大限の、いや最大を超える辛抱をしている姿を見ているので、持続を決意する企業には事業性評価を行って必要資金を支援してくれるよう、金融機関に切に望んでいます。


一方で筆者は、金融機関に身を置いてきたこともあるので、金融機関が「その気持ちを汲んで融資しましょう」と言えないことも知っています。経営において、そして企業の持続において、経営者の、あるいは従業員も巻き込んだ「会社を潰さないぞ」という決意が一番大切なのですが、それがあれば大丈夫という訳ではありません。持続化できる状況であることを確認することが必要なのです。それを詳らかにしていくことが「事業性評価」であると言っても、過言ではありません。


「分かった。勇気を出して金融機関に行き、自分の想いを伝える」という経営者の方もおられますが、「その前に準備しましょう」と言っています。先ほども申したように、金融機関は、企業が持続できる状況にあることを決算書などの定量データ、あるいは会社の事業戦略や営業戦略、マネジメントなどの定性データで確認したいと考えています。これを提供せずして金融機関から事業性評価を受けることができません。これら情報を用意することが、企業が1番に行うべきことです。



事業改善・再構築を目指す

ここでもう一つ、お伝えしたいことがあります。コロナ禍が1年も続いてしまった中、先ほど申した「企業の現状を示す定量データ・定性データから見える事業性」だけでは融資できない事例が少なくないことです。昨年から事業活動を制約されて収益をあげられず、コロナ特別貸付・保証を利用して資金調達してもキャッシュが流出してバランスシートが傷んでしまった企業には、企業に非がないことは分かっていても、融資は困難です。融資金が返済されるかについて、確信を持てないからです。


「そんな!どうしても会社を守りたいという我々に、救いの手はないのか?」ない訳ではありません。事業性評価には「将来に花開く確実性の高い事業性を認めて今、融資可能と判断する」という側面があるからです。企業が事業改善、あるいは事業再構築を計画しており、それを実行して、成果をあげる可能性が高いことをもって融資を行うのです。


こちらの事業性評価は、「今ある事業性を認めて融資可能と判断する」事業性評価よりもはるかに困難なので、今まであまり行われてきませんでした。しかしコロナ禍が1年以上続く中、多くの中小企業にとってこの事業性評価が救いの手となる可能性があります。それを知らせて、中小企業と金融機関が検討・取組みを始めるよう期待して「伴走支援型特別保証制度」が設けられたのではないかと、筆者は考えています。



「人事を尽くして天命を待つ」よりもしぶとい努力

こういうと「計画が必要ならコンサルタントに丸投げして作成してもらおう」とお考えの経営者がおられるかもしれません。しかし、それは止めた方が賢明です。コンサルタントの支援を受けることは問題ありません。しかし、実行するつもりがない計画を他人に作らせるのは、百害あって一理もありません。自社の命運を弱らせるだけです。金融機関も、認めることはないでしょう。


今、戦後最大の経済危機と言われており、企業経営にいまだかつてない決意と舵取りが求められています。最善を尽くすという意味で「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がありますが、事業改善・再構築計画で事業性評価しようとする金融機関は、その上をいくレベル、「人事を尽くして計画を立て実行したが、幸運の女神が微笑んでくれなさそうだったら、さらに人事を尽くす。最終的に微笑んでくれるまで、それを続ける」ことを期待しています。まずはその決意を固めましょう。その決意を金融機関に伝えましょう。今が、その時です!




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なお、冒頭の写真は写真ACから fujiwara さんご提供によるものです。fujiwara さん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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