「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus

第261回

中小企業存在意義の在処を考えてみる

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 



最近「借換できないと倒産してしまうと説明しても、金融機関だけでなく信用保証協会までも聞き入れてくれない」という話を耳にします。その理由として「中小企業支援に対する国の考え方が今、融資支援から経営支援にシフトしている。融資による支援で業況を回復できなかった企業に対しては、更に融資するよりも業績改善を目指す経営支援を行う方向性にある」ことが考えられると8月及び9月の記事でご説明しました。「しかし、どうやって業績改善すれば良いのか、これまでさんざん努力しても成功できなかったのに」という声が予想されます。今回は、この点について考えていきましょう。



自社の存在意義を確認するアプローチ

事業改善の基本は売上の拡大で「単価を向上すること」と「売上個数を増やすこと」に分解できます。単価の向上には付加価値を高める、売上個数を増やすにはリピート率を向上させたり販路開拓するなどのアプローチがあります。「分かっているよ。それらは全て実施した。しかし成果が出ないから困っている」との声がありそうです。


この場合、視点を変えてみる手があると考えられます。今まで持続化が可能な売上・利益があった中小企業は「存在意義が顧客や市場から認められていた」と考えられます。それにも関わらず今はそれほどの売上・利益が得られないならば、いつの間にか存在意義が希薄化してしまったと解釈できるでしょう。顧客や取引先、あるいはそれらを包含する地域やサプライチェーンなどに変化が生じてしまい、今まであった存在意義が失われてしまったのです。逆に言うと、変化により新たに生まれた存在意義(あるいは「○○が欲しいのだが、その要望が生まれてあまり時が経っていないので満たされていない。誰か供給してくれたらよいのに」という事情)に対応できると自社の存在意義を回復できると考えられます。


では中小企業の存在価値は、どこにどのような形で見出せるのでしょうか?在処(ありか)として①需要要因、②供給要因、③市場要因そして④戦略的要因が挙げられます。これらをもう少し踏み込んで、中小企業はどんな存在意義が発揮できるかを考えてみましょう。



需要要因

需要特性が理由で供給者は中小企業の方が有利という状況があります。典型的なのは「需要が少ないものの、欠くことができない」状況です。「大企業でも内製できるが間接費が少ない中小企業の方がコスト的にメリットがある」、「内省できるが最終需要(部材等を利用した製商品等の需要)の変動が激しくリスクが高すぎる。リスクを吸収しやすい中小企業とシェアしたい」あるいは「特化することで高品質を実現している外部企業から仕入れた方が信頼性等が高まる」などの事情も挙げられます。



供給要因

典型的なのは「低価格需要等に対応するために間接費等をかけられない」という状況です。自動車の大量生産において小さく安価な部品の取扱の部分は中小企業の方が適切に対応できるという「分業の細分化が進んでいる」状況もあります。また「生産技術や製商品そのものの変化が激しい」状況や、「生産能力(人材を含む)や体制の維持が高額・専門的でリスクがある」状況でも、専業とする中小企業が対応した方が有利と考えられます。



供給要因

「地産地消を原則としている」、「需要者の好みや生産方法等について地域特性等を踏まえる必要がある」あるいは「海外や特定地域等、バリエーションある市場にきめ細かく対応する必要がある」状況では、中小企業の方が有利でしょう。「原材料や生産物の特性等により取扱いに専門性等が必要である」状況も同様です。



戦略的要因

大企業の大量生産品が溢れる中「差別化して極小市場を狙う(ニッチトップ)」状況や、「オーダーメイドを打ち出す」あるいは「大企業製商品のカスタマイズ要望等に応じる」状況では中小企業の方が有利でしょう。「アントレプレナーとして新規市場開発を目指す」状況や、「経営者や作業員等のアイデア、技術・技能、気力等への依存が高い」状況でも大企業より中小企業の方が有利です。


当社は過去、どの要因でどんな形の存在意義を発揮してきたかを探ることが現状打開の第一歩になりそうです。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。


<印刷版のダウンロードはこちらから>




なお、冒頭の写真は 写真AC から bBear さんご提供によるものです。bBear さん、どうもありがとうございました。


 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


Webサイト:StrateCutions

「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?plus

同じカテゴリのコラム

おすすめコンテンツ

商品・サービスのビジネスデータベース

bizDB

あなたのビジネスを「円滑にする・強化する・飛躍させる」商品・サービスが見つかるコンテンツ

新聞社が教える

プレスリリースの書き方

記者はどのような視点でプレスリリースに目を通し、新聞に掲載するまでに至るのでしょうか? 新聞社の目線で、プレスリリースの書き方をお教えします。