「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第201回

中小企業活性化パッケージが発表されました

落藤 伸夫 2022年3月21日
 



コロナ禍が始まって3度目の年度末・新年度を迎えようとしています。1度目は多少の戸惑いや混乱はあったものの企業の業績を大きく悪化させるとはまだ予想されていませんでした。昨年は、収束を望みながら「ウイズコロナが現実的かも」と考えた人もいたことでしょう。現在は「いずれは収束してもらいたいが、当座はウイズコロナ対応が肝になりそうだ」との考えが主流と思われます。経営者を含め人々の意識は大きく変わりました。

ここにきて政府も、方向性を改める動きにあると考えられます。政府は3月4日に「中小企業活性化パッケージ(以下、「活性化パッケージ」ということがあります。)」を発表したからです。記載内容が具体的にどのように実行されるかは4月の施行を待たなければなりませんが、ここで概観してみることにしましょう。

<活性化パッケージ>

https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220304006/20220304006.html



活性化パッケージ・資金繰り支援の継続

経済産業省、金融庁及び財務省が発表した活性化パッケージは、「コロナ資金繰り支援の継続と収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」との副題通り、「コロナ資金繰り支援の継続」と「収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」という2部構成になっています。


「コロナ資金繰り支援の継続」の部の最初は「年度末の資金需要への対応」で、年度末の事業者の資金繰り支援等を徹底するよう内閣府特命担当大臣が金融機関に要請したことと、セーフティネット保証4号が3月1日までだったところ6月1日まで延長されたことが記載されています。


次の「来年度以降の資金需要への対応」では、実質無利子・無担保融資、危機対応融資がもともと今年度末までだったところ6月末まで延長されたことや、日本政策金融公庫の資本性劣後ローンの取り扱いが来年度末まで延長されたこと、納税や社会保険料支払猶予制度の積極活用・柔軟な運用が盛り込まれています。コロナのために資金繰りに支障が生じている中小企業への金融支援策は、しばらくの間、継続されるのです。



収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進

筆者は次の「収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」に注目しています。対象事業者は「収益力改善フェーズ」と「事業再生フェーズ」、「再チャレンジフェーズ」に分けられ、各々に応じたきめ細やかな支援を受けることになります。また一元的支援体制として「中小企業活性化協議会」の設置も示されています。


収益力改善フェーズでは22年4月から、認定支援機関による伴走(収益力改善に向けた計画策定に加え、計画実行状況のフォローアップや助言等)強化と、協議会による収益力改善支援(中小企業再生支援協議会がコロナ禍で緊急的に実施している特例リスケ支援を収益力改善支援にシフト)強化が行われます。


事業再生フェーズでは春ごろから順次、中小機構が最大8割出資する再生ファンド(コロナの影響が大きい宿泊・飲食等の業種を重点支援するファンドを組成する他、ファンド空白地域の解消を促進)が拡充されます。また同じく春頃から、事業再構築補助金に「回復・再生応援枠」(再生事業者が優先採択される枠、補助率:3/4(中堅2/3)、補助上限額:従業員規模により500万~1500万円)が創設されます。加えて22年4月から中小企業の事業再生等のガイドライン(経営者退任原則、債務超過解消年数要件等を緩和)を策定、数百人規模の民間専門家(弁護士等)活用した支援が実施される他、ガイドラインに基づく計画策定費用の支援制度が創設されます。


再チャレンジフェーズでは、21年度中に経営者の個人破産回避ル-ル(個人破産回避に向け「経営者保証ガイドライン」に基づく保証債務整理申出に金融機関は誠実に対応)が明確化された上で、「再チャレンジに向けた支援強化(経営者の再チャレンジに向けて中小機構の人材支援事業を拡大(22年4月~)、廃業後の再チャレンジに向けた中小機構による専門家支援(順次)、及び公庫の再チャレンジ支援融資拡充(22年2月))が行われます。


資金繰り支援の継続と、収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進は補完関係にあると考えられます。コロナ禍が予想外に引き続いて多くの企業が資金繰りに再び窮していますが、以前に支援を受けた企業の中には「これ以上の融資等は難しい」とされた企業もあるでしょう。では、このような企業への支援は全くないのか?そうではなく、「収益力改善・事業再生・再チャレンジの促進」の範疇で支援が受けられる可能性があります。「コロナ禍が引き続いてかなり厳しい状況だ」と感じている企業・経営者には是非、中小企業活性化パッケージに注目してもらいたいと考えています。




本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は 写真AC から torayuki さんご提供によるものです。torayuki さん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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