「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第128回

新しい資本性ローンを検討する

落藤 伸夫 2020年9月7日
 



8月後半から9月に入ったところで、新型コロナ感染症の拡大もスピードがダウンしてきたように感じられます。しかし「これで長いトンネルが抜けられる、旧に復することができる」と安心できる状況を期待するのは早計かもしれません。低調な経済が続くと考えて、万全の準備・対策をとっておくことが求められます。準備・対策を取るべき事柄の一つとして、資金調達が挙げられます。今日はこの点について、考えてみましょう。 



資金調達を長期的に考えるべき理由

「資金なら春先に(夏に)コロナ対策特別貸付・保証制度を利用して調達したが。」それは良かったです。多くの企業は運転資金(もしくは固定費)の数ヶ月分を、コロナ対策資金によって調達したと思います。これにより事業の継続と、キャッシュフローが減少した中でも今までの借入について返済を継続できるようになりました。

業況は如何でしょうか?現在、微妙な状況だと思われます。春先のような全業種で通勤・事業について自粛を求められる状況ではなくなり、東京を除くとGoToトラベル・キャンペーンも実施されているので、多くの業種・業態で「以前ほどではないが、かなり売上は戻ってきた。キャッシュの流出も、資金調達した時ほどではない。事業環境が今後、大きく変わらなければ、手元のキャッシュでしばらくは事業を継続していけそうだ」という状況なのではないかと思います。

一方で、厳しい状況が続く業種・業態もあります。少なからぬ飲食業者や旅館業者で売上が元通りどころか、春先の自粛時期からほとんどアップしていないと報じられています。アパレルも厳しい状況を脱していません。自動車製造大手や電気製品製造大手の系列で部品等を供給している業者は、売上は低迷したままで、キャッシュ流出に歯止めがかかっていない状況です。

春先にコロナ特別貸付・保証を利用して資金調達した企業の多くは元本返済を一時猶予する「据置」を利用していると思います。その据置はいつまででしょうか?多くの企業が半年から1年の据置期間を設定したと思いますので、来年には返済が始まります。その頃にコロナ禍も下火になり、売上が回復して返済が可能になっていれば良いですが、楽観的な見込みを立てられない企業も少なくないでしょう。「石にしがみ付いてでも会社は潰さないが、来年早々に返済が始まると、会社が持たない」そういう企業も、少なくないと思われます。



一定期間返済不要の資金

「コロナ禍は数ヶ月、やり過ごせば良いと思っていたが、今やウイズ(With)コロナを考えなければならない時代。一生懸命に取り組んでいるが、その効果が現れる前に返済が始まって、キャッシュが持たなくなる可能性がある。どうすれば良いか?」日本中の数多くの企業が、この危機に怯えています。「その分、また借りるしかないが、結局は返済負担が増えるだけだ。自分の首を締めてしまう。返済不要な借入ができると良いのだが。」政府は、その要望に答える制度を創設しました。「新型コロナ対策資本性劣後ローン」です。

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/shihonseiretsugo_t.html

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/shihonseiretsugo_m.html



「資本性ローン」という名称は、これが資本金と同じ性質を持つ、(一定期間は)返済不要な借入であることを意味しています。返済不要な期間としては、5年1ヶ月、10年、20年と設定されています。またもう一つ「この借入を資本金とみなしてもらえる」というメリットがあります。専門的な話となってしまいますが、このローンはいざという時の回収において他の借入等の後に行う(劣後する)という、出資と同様の性格を公庫が約束しているので、他の金融機関はこの借入分を企業のバランスシート上「負債」ではなく「資本」に換算することができるのです。このためこの資金が導入されていると、民間金融機関にとっても企業支援がやりやすくなります。



長期的視点で資金調達する

公庫はこれまでも資本性ローンを行ってきましたが、これまでの制度はベンチャー企業か事業再生途上にある企業に限られていたなどの事情もあって、非常に厳密な審査が行われてきました。長期収支計画を含む10枚を超える資料の提出が求められ、「制度が適用できる条件を備えているか」、「この制度の利用で企業が活性化されると見込めるか」などが慎重に審査されてきたのです。

一方でこの。「新型コロナウイルス感染症対策特別資本性ローン」は、コロナ禍で資金繰りに支障をきたしている、もしくは今後きたすと予想される企業の支援を目的としているため、提出書類も最低限に抑えられており、窮地に立たされる企業が積極的に活用するよう、期待されています。事業継続を心に誓いながら当面の業況に不安のある企業経営者は、是非、検討してみてください。





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本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。



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なお、冒頭の写真は写真ACからphotoBさんご提供によるものです。photoBさん、どうもありがとうございました。





 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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