「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第111回

コロナ特別短期保証の提案

落藤 伸夫 2020年4月27日
 

新型コロナウイルス感染症による経済失速を防ぐため中小企業がいち早く資金調達できる手段として先週に、日本政策金融公庫によるコロナ特別短期貸付を提案したところです。今日は信用保証協会による「新型コロナウイルス感染症特別短期保証(以下、「特別短期保証」といいます。)」を提案します。 


予め定めた算定方式から得られる金額以内なら申し込み通りの融資が受けられること、借入期間中は返済の必要がない資本金のように使える資金であること、借入期間を原則1年とし、当初はセーフティネット保証や旧特別貸付で設けられていた売上減少などの要件は付さない(審査期間短縮のため。また、全ての事業者が与れる特別措置として)こと、代わりに1年後にコロナ禍の影響がある場合は特別な支援措置として更新できること、更新できない場合には分割弁済に切り替わることなどは、コロナ特別短期貸付と同じです。一方で、信用保証を得て金融機関が融資をするという構図に対応した仕組みが、この制度の特徴です。



特別短期保証

現在の「セーフティネット保証(以下、「SN保証」といいます。)第4号」及び「SN保証5号」は既存のSN保証制度にコロナ禍の影響を受ける等の要件を加え、要件を満す旨を確認した上で利用できるという仕組みなので、一般の保証よりも審査期間が長くならざるを得ません(「危機関連保証」も同様の仕組み)。SN保証や危機関連保証の要件を満たす旨の認定書を市区町村担当窓口で受ける負担も、中小企業に生じます(この認定を受けるのに時間と手間がかかり、3密状態を余儀なくされるという弊害があります)。これを防止するため、既存の制度とは別制度として設けたのが「特別短期保証」です(以下に掲げる以外の条件も「特別短期貸付」と同様とする)。


・資格:中小零細企業(個人事業者を含む)

   信用保証を利用できる企業とします。それ以外まで広げると、今まで以上に審査期間がかかるからです。

・金額:1億円または月商(年商/12)6月分以内(別枠)

   一般保証、SN保証及び危機関連保証とは別枠とし、既に枠を使い切った企業でも利用できるとします。

・金利:なし(分割弁済時は軽減利率)、保証料:なし

・期間:1年間

・返済:特別短期保証期間中は返済の必要なし

・更新:1年後にコロナ禍の影響が残る場合は更新可能



「金融利用歴」概念の導入

特別短期保証の創設と併せて導入したいのが「金融利用歴」概念です。単に金融機関との取引履歴の長さだけでなく、金融機関との健全な関係を問うものです。


金融機関も(政府系金融機関を除けば)ビジネスとして中小企業と取引をしています。「大企業と中小企業」というと「大企業が優越的な地位を利用して中小企業に不利を強いている」というイメージが浮かぶかもしれません。実際、金融機関と中小企業の場合に、そう言わざるを得ない状況が生じています。歴史ある中小企業の経営者から「ひどすぎる」と思う話をお聞きしたこともあります。


一方で、中小企業にも「金融機関をビジネスパートナーと考えて、もう少し配慮ある言動をした方が良いのではないか」と思う場面があります。昨年まで金融機関が顧客獲得のため金利引下げ合戦をしていた中、苦しかった時に支えてくれた地域金融機関からの借入を金利の安い大手金融機関に乗り換える企業が少なくありませんでした。事業拡大に歩調を合わせて支援を拡大してもらってきた中、借入残高が増えて本部決裁となって審査が慎重になると「あの金融機関は融通が効かない」と他の金融機関に話を持っていく経営者もいます(もちろん、複数金融機関と取引するのは適切なリスク管理ですが、真剣に付き合ってくれる金融機関の手を振り解くために他へ流れるのは如何かと思います)。経営改善の助言をもらい、無料コンサルティングを受けたことについて「面倒を押しつけられた」と言い触らす経営者もいました。


一方で、金利が多少高くとも「今まで支援してくれたから」と受け入れ、本部決裁となったら追加の書類やヒアリングにもしっかり応じ、助言やコンサルティングを受けたら真摯に取り組む企業も、もちろんあります。


筆者は、両者を同じように審査する、具体的にいうと審査にかかる時間が同じなのはフェアではないと感じます。「取引履歴が長い」、「積極的に情報提供する」、「経営改善等に前向きである」、「申込金額や資金使途など信用保証を受けるにふさわしいかを金融機関がチェック、推薦できる」など一定条件を満たす取引歴を金融機関が証明できる先には、資格要件以外の審査は簡易に済ませ迅速に保証承諾することがフェアと考えます。努力にふさわしい対応をすることで「金融」を健全に利用する企業を増やすことができるのではないかと、筆者は考えます。



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本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は写真ACからサンサンさんご提供によるものです。サンサンさん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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