「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第145回

事業性評価相談センターの機能(提案)

落藤 伸夫 2021年1月18日
 




新年早々、コロナ禍拡大防止に向けた非常事態宣言が発出され、その後に対象地域が拡大されるなど、先行きの読めない事態が続いています。政府は非常事態宣言について「感染拡大が広がらないよう予防措置」と述べていますが、実際には感染拡大が広がっている中での中途半端な対応である可能性もあり今後の予断を許しません。企業経営者としては楽観的になることなく、コロナ禍が続いて、事業展開が思うようにいかない時期が政府の見通しよりも長引いてしまう事態に備える必要があると、考えられます。資金調達について、特にそう言えます。


一方で企業が資金調達しようにも、金融機関が応じてくれないという声も多く聞きます。実際、今は金融機関にとって融資に応じにくい状況であることも確かです。このため少なからぬ企業が、春夏と違って今回は融資に応じてもらえず、困惑しているとのお話をお聞きします。このような企業・経営者の相談相手となるべく、昨年末、信用保証協会が窓口となる事業性評価相談センターの創設を要望しました。今回は、当該相談センターに期待する機能について考えてみます。


資金調達ができなくなった企業

コロナ禍に苦しめられる中小企業の資金調達が、今や、春・夏頃よりも格段に厳しくなっていることは、驚くに当たりません。このような企業はキャッシュの流出が続いてバランスシートが弱ってしまったので、金融機関にとって「融資しにくい」体質になってしまったからです。このような企業への支援に慎重になるのは、民間金融機関はもちろん日本公庫や商工中金も、民間金融機関をバックアップする信用保証協会も同様です。

しかし、それは金融機関の都合です。もともと事業性があり、経営者に意欲がある企業であるにもかかわらず、資金調達できないために退出を余儀なくされてしまうのは、社会にとって大きな損失です。このような企業が減ってしまうと、コロナ禍収束後の日本経済復興のスピードも鈍化するでしょう。今、窮地に陥っているが意欲のある中小企業に資金調達の門戸を開くことが、とても重要なのです。そのような企業へ「事業性評価」で対応する道が残っているのに、それが企業に知られておらず、金融機関も及び腰なので、対応が進んでいません。システマチックな仕組みが必要と考えられます。このため年末に、信用保証協会を窓口とする事業性評価相談センターを創設するよう、要望しました。


事業性評価相談センターの機能

創設する相談センターの機能の第1は、資金調達が苦しい中小企業に、あまり知られていない事業性評価という選択肢があることを伝えることです。但し、これは今までの「コロナ特別貸付・特別保証制度がある」ことを伝えるのとは、次元の違った話です。コロナ特別貸付・特別保証の場合、制度の存在を伝え「所定の申込書に記入して申し込んで下さい」と言えば役割が終わりますが、今の時期、中小企業が金融機関に事業性評価を申し出るとは、自社の事業性をしっかりと伝えることが必要になるからです。多くの企業にとって、そのために、事業(改善)計画書の策定が必要になるでしょう。その指導まで、相談センターに行ってもらいたいと思います。

相談センターの機能の第2は、事業(改善)計画書策定プロセスで企業・経営者の「コロナ禍を乗り越える!絶対に会社は潰さない!!」との意思を確認することです。今になっても先が見えない、いやそれどころか当分、コロナ禍は収束しないと考えられる状況下、この一年で相当、資本状況が悪化してしまった企業の支援には、平時での事業性評価よりもシリアスな事業性評価が求められます。ここで大切になるのは、事業(改善)計画の中身も当然ですが、経営者の「会社を潰さない!」という決意です。事業(改善)計画書策定プロセスで企業・経営者と伴走することで、相談センターには、経営者の決意を確認してもらいたいと考えます。

相談センターの機能の第3は、事業(改善)計画書が策定された時点で、金融機関と調整することです。中身のある、実現性の高い、そして経営者に固い決意のある事業(改善)計画があるからといって、全ての金融機関が前向きに事業性評価できるとは限りません。実際、既に取引のある金融機関は最大限の支援を行っているので「プラスアルファは難しい」という状況もあり得ます。とすると、今は取引のない金融機関に新たに支援を依頼するしかありませんが、これは今までの危機時には、ありえなかった取り組みです。しかし、どこか、そのような金融機関がなければ、やる気のある企業が必要資金を手にできないとしたら、その調整を行って欲しいと考えます。それが、相談センターの最も大きな機能です。


以上の次第から、この相談センターは、地域の信用保証協会に運営してもらうのが一番だと考えています。やる気のある中小企業の持続化のため、そして日本がコロナ禍収束後に速やかに復興できる切り札として、事業性評価相談センターを速やかに設置するよう切に求めます。




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本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は写真ACから FineGraphics さんご提供によるものです。FineGraphics さん、どうもありがとうございました。






 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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