「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第173回

会社を守る「積極経営」を

落藤 伸夫 2021年8月9日
 



17日間にわたって熱戦が繰り広げられた東京オリンピックが終わりました。今回はコロナ禍の中、市井での行動制限と晴れやかなイベントとのギャップがあまりに大きく、複雑な影を落としてしまう大会となりましたが、競技に眼を留めれば選手たちの一心不乱の取組みに感動したのではないかと思います。状況は随分と違いますが、コロナ禍の中で一心不乱の取組みを行っていることは、中小企業経営者も同じだと感じます。選手たちの真摯な態度に見習って、頑張っていきましょう。


先週は、多くの中小企業が長引くコロナ禍でも会社を維持できるよう資金調達したが、あまりにも多額の借り入れとなったことに不安を感じている経営者の皆さんに向けてエールをお送りしました。今日もその続編として「積極経営の勧め」をお送りいたします。



正解はない、後付けで判明する

先週、ある企業の経営者が「あまりに多くの金額を借りてしまった。金融機関に叱られるのではないか」と不安に思っていたところ、あにはからんや「借入しておいてくれて良かった。コロナ禍が当分続いてもキャッシュが尽きないと分かったことで、安心して支援できる」と評された、というお話をしました。企業にとって一番避けるべきはキャッシュが尽きることで、こうなると持続することは困難です。そうならないよう先手を打って資金調達したことは、英断と言えるでしょう。


一方で、その経営者は「こんなにも多くの借入を背負ったことに、恐怖感を感じる。普段以上に借入をし、売上が急速に減少したことで、借入が年商比で2倍以上になってしまった」と言っておられました。そのお気持ち、とても良く分かります。「では、借入は止めておけば良かったのでしょうか?」とご質問すると、「その答えはNoだ」と仰います。とても不安定な、心境なのです。多くの経営者が、同じ思いでおられると思います。


先の経営者には「借りたのは良かったのか、間違いだったのか、正解はないのですよ。正解は、これからの行動で決まるのです。前を向いて、勇気を出して、行動していきましょう」と申し上げました。前職で倒産審査マンとして働いていた時に、しみじみと感じたことです。1つの行動に、正と負の2つの答えがあるのです。



借りたお金を原動力にして繁栄した企業

筆者は前職の日本政策金融公庫で信用保険制度の審査マンをしていました。信用保証協会が代位弁済した案件について保険金を支払う、倒産審査マンです。筆者は約30年のキャリアで1万8,000を超える審査をしましたが、様々ある倒産模様に一つの共通点があります。それは「お金を借りたから、それを返済できなくなったので倒産した」という構図です。その意味で筆者は、お金を借りることの怖さを人一倍、いやそれ以上、感じています。


しかし一方で、適切な時に借入をしたことが企業を生き長らえさせ、繁栄に導いた例も知っています。「どんな企業だ?」と問われたら「今、日本を代表する企業のほとんど全部」と答えます。特に100年を超える歴史を持つ企業は、皆さんも記憶されているだろう平成10年頃の金融不況やリーマンショックはもちろん、太平洋戦争の荒波などにも耐えてきました。資金調達が今よりはるかに厳しい中で調達し、借入金の重圧にも耐えて生き残り、繁栄したのです。借入は劇薬にも特効薬にもなります。多くの場合、お金を活用する企業の姿勢がポイントです。



積極経営が切り札になる可能性

「とはいえ、思いつく策は全部試みた。万策尽きた」とお考えの経営者も多いことでしょう。そのお気持ちも、良く分かります。そのような中、一つの言葉を思い出しました。物理学の大発見者、アインシュタインの「同じことを繰り返しながら違う答えを求めてどうする?」という言葉です(表現には諸説あります)。「万策尽きた」との言葉には、「今までの事業を継続する前提で」という枕詞があることが多いようです。コロナ禍が猛威を振るい、社会そのものが変化しつつある中、それでは答えは出ないかも知れません。違う答えを出そうとするなら、これまでとは違う試みが必要かもしれません。


先ごろ、事業再構築補助金の第3次募集が始まりました。筆者は安易に補助金の利用をお勧めする者ではありませんが、「万策尽きた。でも事業は続けたい。従業員と共に会社を発展させたい」と願う経営者の皆さんには、事業再構築を真剣に検討するようお勧めしています。方向性を改める「積極経営」が切り札になる可能性があるのです。「一緒に考えてくれる専門家がいてくれたら。」そうお考えなら、是非StrateCutionsにお声掛け下さい。




次週はお盆休みとさせていただきます。



本コラムの印刷版を用意しています

本コラムでは、印刷版を用意しています。印刷版はA4用紙一枚にまとまっているのでとても読みやすくなっています。印刷版を利用して、是非、資金調達する方法をしっかりと学んでみてください。

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なお、冒頭の写真は写真ACから RRice さんご提供によるものです。RRice さん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


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