「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第163回

StrateCutionsが提案する事業性評価枠組み

落藤 伸夫 2021年5月31日
 



新型コロナウイルス感染症蔓延による戦後最大の経済危機に瀕している中小企業の金融支援策として、政府は、この4月から「伴走支援型特別保証」を設けました。これが「事業性評価」として運用されることで、苦しい中でも持続を決意した中小企業が生き残りのための資金を調達できる可能性が高まります。とは言え、事業性評価は簡単ではありません。それを行うために従来の「信用格付」に比べ審査に手間と時間がかかることはもちろん、そもそも事業性評価により審査する「枠組み」が存在しない金融機関が多いと考えられるからです。このためStrateCutionsでは、「事業性評価支援士®︎養成講座(初級養成コース)」において「従来の信用格付にアドオンする形での事業性評価の枠組み」を提案しました。今回は、枠組みを簡単にご説明したいと思います。



金融庁が「融資審査枠組み」を示さなかった理由

StrateCutionsが事業性評価による融資審査の枠組みを提案したと聞いて、「金融庁が示さなかったものを、なぜ一介の中小企業診断士が提案できるのか」という疑問が湧くと思います。そのお気持ち、非常によく分かります。しかしこの答えは、金融庁が示さなかった理由を熟慮することで得られると考えられます。金融庁は、なぜ、事業性評価の枠組みを示さなかったのか?それは、正解がないからです。全国を通じて上手く機能する唯一の「事業性評価の融資審査枠組み」は、存在しません。


このことを筆者は再生支援の枠組みを見て、思いつきました。筆者は公庫在籍時に、平成18年から始まった信用保証協会による事業再生支援制度運用に携わりました(正確には、制度創設から関わっていました)。そこで感じたのは「各地方に、それぞれの事業再生の形がある」ことです。事業再生は、企業の状況、そして企業が事業再生を必要とする経緯等にバリエーションがあるため、単一のパターンで対応できません。それにプラスして、地域の経済状況や金融状況、例えば各種金融機関の数や勢力関係等も影響します。このため事業再生は、各地域に設置された「再生支援協議会」のもと、各々地域にマッチした枠組みが作られ運用されるようになりました。


筆者は、事業性評価にも同様の事情があると考えています。企業・地域・金融状況等に違いがあれば、事業性評価の枠組みも変わって当然です。「それを無視して画一的な枠組みを示すことはできない」と金融庁が判断したとしたなら、それはとても合理的な判断だと考えます。



枠組み欠如で事業性評価が停滞しないよう草の根で提案

事業再生のように、(金融庁が事業性評価を唱導し始めた平成26年頃から)各地域に「事業性評価実施機関協議会」のようなものが設置されていたら、今頃各地に、その地域で機能する「事業性評価による融資審査枠組み」ができたと考えられます。それをベースに各金融機関は、自分の事情も鑑みてベストと考えられる枠組みを創設できたでしょう。しかし、実際はそうはなりませんでした。


そして今、事業性評価が必要な、切迫した状況が生まれています。4月から始まった「伴走支援型特別保証制度」を活用しなければ、さらには事業性評価として機能させなければ、事業継続に向けて熱い決意を固めている企業の中に、適切に事業性評価してもらえず資金調達できないことが原因で継続できなくなる者が出て来ないとも限りません。事業性評価でもって融資審査する枠組みがないことが原因で当該制度が活用できないなら、それはとても残念なことです。それを避けるためStrateCutionsでは、代表者がこれまで顧問先企業について事業性評価が受けられるよう支援する時に前提とした枠組みを発表することにしました。強制力ある金融庁は提示できないが、草の根で「私がこれをベースに支援したら上手くいきましたよ」と提案するのは構わないだろうとの構図です。



StrateCutionsが提案する事業性評価審査枠組み

ここで、StrateCutionsが提案する事業性評価による融資審査枠組みを簡単にご説明しましょう。これは、これまでの信用格付の考え方を踏まえながら、金融機関が評価できる事業性を階層化するものです。


① 正常先に僅差で至らない先の多くは「事業性が隠れた状況」で、それを明らかにする(隠れた事業性の評価)

② 存在する事業性の発露を邪魔する要素がある場合には、対処の取組みを評価する(秘めた事業性の評価)

③ 今の事業性が脆弱すぎる場合は、それを育てる計画的取組みを評価する(事業性強化の評価)

④ 計画実行が頓挫した経緯がある企業は、新たに取組みを始めて進捗・実現を評価する(事業性実現の評価)


事業性実現の評価でも対応できない企業は、再生支援を行うべき先となります。金融機関は、事業性評価が必要な企業について、これら4階層のいずれに該当するかを見極め、各階層に必要とされる措置がなされているかを確認する、あるいは自ら支援することで事業性評価を行います。興味をお持ちの金融機関にはご相談に応じます。ご遠慮なくStrateCutionsにご照会ください。




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なお、冒頭の写真は写真ACから coji_coji_ac さんご提供によるものです。coji_coji_ac さん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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