「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第151回

事業再構築補助金でアフターコロナに備える

落藤 伸夫 2021年3月1日
 



企業が持続・発展を考えるにあたって「新型コロナウイルス感染症」を無視できなくなったと感じています。これは「新型コロナウイルス感染症による影響は、思ったよりも長く続くぞ」との憶測をお伝えしたいという意味ではありません。ワクチン接種がスタートしたこともあり、早めの収束を心から願っています。


ここでお伝えしたいのは「新型コロナウイルス感染症が収束しても、世の中は2020年1月頃までの状況に戻ることはないだろう。例えば収束が2021年10月(これは、仮に設定したタイミングです)であるなら、現れて来るのは2020年1月の続きの世界ではなく、不連続な、新しい世界だろう」という意味です。時に耳にする「アフターコロナ」もしくは、それまでの「ウイズコロナ」という言葉は、それを意味していると思います。今回はこのことについて、考えてみます。



不連続な未来「アフターコロナ」

事業活動を行っていると、時として、不景気や災害、事故などのインシデントにより、事業を継続できない、もしくは事業基盤が破壊されることがあります。世界的な不況や、地域全体、時には日本国中に影響を及ぼす台風等が来襲した時、企業としてなす術はありません。それが過ぎ去るのを待ち、過ぎ去った後には以前の状況にいち早く戻れるよう「復旧」を目指します。


多くの場合、対応はそれで良いのですが、時として、復旧では上手くいかない場合があります。インシデントにより事業環境が大きく変化してしまった場合などです。例えば、ある街を台風が襲い、自社店舗が破壊された場合、台風が過ぎ去った後、店舗を以前のように作り直せば良いのでしょうか?今までの街がそっくりそのまま復旧するのなら、それで良いでしょう。しかし、住民の多くが「この街は自然災害に弱い。家を建て直すなら、近隣の別の街が良い」と考えるなら、以前と同じに復旧するのは得策ではないでしょう。


コロナ禍でも、それと同じ現象が生じると考えられます。例えば、コロナ禍への対応としてテレワークが推進され、働き手がビジネス街から消えてしまいました。コロナ禍後、働き手は全員、ビジネス街に帰ってくるでしょうか。それは期待薄で、以前より少ない人数しか帰ってこないと考えられます。この1つだけをとっても、アフターコロナは以前とは違う世界です。



未来は予想できないが、周囲を見通そう

「そうか。では、アフターコロナがどんな世界か、予想することが大切なのだな。」多くの場合、そのアプローチは難しいでしょう。未来の世界を予想できたことは、いまだかつて一度もありません。「では『アフターコロナ』なんて言葉があること自体、ナンセンスだ。」そこまで、言い切る必要はないと思います。世界は予想できませんが、周囲を見通すことは、できるはずです。


周囲とは、お客様や競合先、それらを含む市場、そして技術等の事業環境などのことです。お客様について、先ほど、ビジネス街を歩く人は少なくなりそうだと見通せました。街の同業他社も数が減りそうです。市場そのものが縮小するでしょう。街にいなくなった人々は自宅周辺で活動するようになるでしょう。そちらの市場は拡大します。一方でITやインターネットの利用、ひいてはDX(デジタル・トランスフォーメーション)が急速に発展しています。これら動きの見通しは、確実でしょう。



「事業再構築補助金」でシミュレーションする

アフターコロナの「世界」は予想できませんが、「周囲」を見通すことはできます。但し、これだけで自分の将来が見える訳ではありません。将来の「自分のあり方」を、描く必要があります。例えば今、街で店舗販売しているなら、その街に留まるか、移転するか、その他の業種・業態にシフトするかは、周囲の見通しから自然と生まれる訳ではありません。自分で描く必要があります。


「しかし街に留まるか、移転するか、もしくは転業等するかなど、いきなり決められない!」仰る通りです。ならばシミュレーションしてみてください。例えば「転業したら、どうなるだろう?何が必要で、どんな成果が期待できるだろう?」とシミュレーションするのです。政府は今春から「事業再構築補助金」を始めると予告しています。移転や転業等に取り組む中小企業を、今までにないほど強力に支援する制度です。


そこではもちろん事業計画書が求められます。先ほど立てたシミュレーションで「転業すると、この街に留まっても光明が見えてきそうだ」と分かれば、その実行に向けて補助金を申請できます。迷いがあるなら「移転する場合のシミュレーション」も作って比較し、望ましい姿を選ぶことができるでしょう。周囲をしっかり見通した上でシミュレーションして「自分のあり方」を描けたら、是非「事業再構築補助金」で実現に向けた歩みを進めてください。




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なお、冒頭の写真は写真ACから craftbeermania さんご提供によるものです。craftbeermania さん、どうもありがとうございました。








 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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