「事業性評価」が到来!あなたは資金調達できますか?

第167回

「今までと違うことをやる」を成功させる

落藤 伸夫 2021年6月28日
 



この夏は「今までに体験したことのない夏」になりそうです。一生のうちに2度あることは稀な東京オリンピックが開催される(筆者は以前のオリンピック時に生まれていましたが、記憶がある年齢ではありませんでした)ことももちろんですが、それが新型コロナウイルス感染症の影響が未だ収まり切れていないタイミングで行われることになりそうです。オリンピックが「コロナ禍の克服を祝う気の早い狼煙」になれば良いのですが、予断を許さない状況だと感じられます。


このような状況下、我が社の持続化を目指す企業経営者は「最善を尽くす」しかありません。多くの企業にとっては、それは路線を切り替えることを意味するでしょう。今までと同じことをしていたのでは血路は見出せないと考えられる場合には、今までとは違ったことにトライするしかありません。困難な道ではありますが、価値あるトライにできる可能性があります。「なに?『価値あるトライにできる可能性がある』だと。そんなあやふやな、無責任なことを言うのか?」そういう声をよく耳にします。責任逃れのために、こう表現しているのではありません。トライを価値あるものにするのかしないのか、それは企業の取り組みに左右されるからです。今日はこの点を考えてみます。



「今までとは違うこと」が必要になる理由

コロナ禍が1年間継続して痛感するのは「今までと同じことをしていたのでは血路は見出せないかもしれない」という企業が増えたことです。今までの不況では、例えば金融危機にしてもITバブル崩壊、リーマンショックなどにしても、景気に悪影響を及ぼすインシデントが収束すれば「旧に復する」と期待できました。それがかなり長期間にわたったとしても「いずれ元に戻る」と考えて(一部の特殊な業種・業態・地域などを除くと)間違いはなかったのです。


しかし、今回のコロナ禍では事情が違うと考えられます。特に今もコロナ禍の影響を色濃く受けている業種・業態・企業の多くは、コロナ禍が終わったとしても元に戻るとは考えていないでしょう。その理由の一つに、コロナ禍が社会を変えてしまったことがあります。ある和風居酒屋の店主は、コロナ禍をきっかけに営業の仕方や働き方など企業活動が大きく変わったことを鑑みると、以前の売上は絶対に見込めないと言っていました。


「今までとは違うことをやる」必要性のもう一つとして、外面では過去からの流れの中で察せられなかったが、世の中が既に変わってしまっていることが挙げられます。端的な例として、先ほど指摘したテレワークがあります。インターネット回線の高速化やアプリケーションの高度化等が進むにつれ、遠く離れた地点の参加者が一堂に会せるビデオ会議や、パソコンの遠隔操作などは以前から可能でした。しかし、その利用は一部に限られていたのです。それが、コロナ禍をきっかけとしたテレワーク需要を満たすものとして、一気に普及していきました。



今までと違うことを成功させる「戦略計画」

中小企業経営では「過剰なリスクを取らないよう工夫する」ことが、これまでのポイントだったと感じています。今まで手がけたことのない事業を始めるために多額の投資をする、そして軸を旧事業から一気に新事業に切り替える、などという取組みはリスクが大きく、かなり体力のある企業でなければ勧められるものではありませんでした。既存事業がジリ貧となって赤字が続き、時には債務超過に陥っている企業の場合には、大転換よりも着実な変化を勧めることが多かったと感じています。


しかしコロナ禍がこれほどまで続いてしまったことで一部の業種・業態・企業では、現況から急速に脱することが必要になっています。「今までと違うこと」を、かなり大きなリスクを覚悟しながら、スピード感をもって取り組んでいくのです。「そんなこと、無理ではないか?」と感じる方もおられるでしょう。しかし方法がない訳ではありません。「戦略計画」を立てて取り組んでいくのです。戦略計画は、大企業でさえリスクが大きすぎるような革新的な取組みを成功させるためのツールとして利用されてきました。中小企業も、もちろん利用できます。


「戦略計画とググってみたが、よくわからなかったぞ」という声が聞こえそうですね。「こういう形式を取れば戦略計画になる」という定義はありません。筆者は戦略計画とは、形式ではなく内容だと考えています(そのご説明は次回に譲ります)。戦略計画を綿密に立てることで冒頭にも申した通り、「今までとは違うことに取組むことを、無謀ではなく『価値あるトライ』にできる」のです。多くの読者がお気付きのように、現在に募集されている事業再構築補助金で作成が促される事業計画書も、ここでいう「戦略計画」にすることで成功確率を向上できます。「今までとは違うことへの取組み」を成功させるには、良い計画が不可欠と言って過言ではありません。




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なお、冒頭の写真は写真ACから 丸岡ジョー さんご提供によるものです。丸岡ジョー さん、どうもありがとうございました。


 
 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫


中小企業診断士・MBA
日本政策金融公庫に約30年勤めた後、中小企業診断士として独立。 企業を強くする戦略策定の支援と実行段階におけるマネジメント支援を得意とすると共に、前向きに努力する中小企業の資金調達も支援する。 「儲ける力」を身に付けたい企業を応援する現在の中小企業金融支援政策に共感し、事業計画・経営改善計画の立案・実行の支援にも力を入れている。


HP:StrateCutions

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